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30話 お父さん
結論から書くとお父さんは助かった。しかし、いつ同じような発作が起こるのか分からないと医師にいわれた。
そしてその時はもう……
その事実に私はただ泣くしかなかった。
そんな私をみて、久美子は一度家に帰ることを勧めた。
私は小さく頷き、久美子さんではなく、お母さんについて行った。
車中、お母さんと私は無言だった。
お母さんもつらいに違いなかった。
実際、帰宅してそのまま、自室に入って行った。
私も同じく自室に入り、目を閉じ横になった。
それは眠るためではなく落ち着かせるためだった。
「お父さん……」
ポツリ呟いた言葉は静かな部屋に悲しく消えた。




