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29話 急変
私は真輝が自室に入ったところでお粥を作る。
その間も真輝が咳き込んでいて心配になる。どうしてもお父さんと重なってしまう。
大丈夫と自分に言い聞かせ、お粥ができたところで真輝の部屋に持っていく。
「あの、お粥を作ってみたのですが」
「ありが……」
また咳き込んだ真輝は辛そうだった。
「大丈夫ですか?」
大丈夫、と真輝と返すがそうは見えなかった。
「あの、た、食べられますか」
レンゲを横になっている真輝の口元の近くまで持っていく。
「大丈夫だよ」
恥ずかしそうに断る真輝が少し可愛く見えた。
「じゃあ、何かあったら呼んでくださいね」
そう言い残して私は部屋から出て行った。
それから家事を済ませ、携帯を確認する。
タイミングを計ったように電話が鳴る。
「奈穂、すぐに病院きて」
ただならないお母さんの言葉に私はすぐに支度をして、家を出て病院に向かった。




