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22話 踏み出す一歩
翌日、起きた私は普段通り、真輝と朝食を食べていたところ、少し遅れて久美子さんが起きてきた。
「おはよ」
「おはよございます」
挨拶をして久美子さんも座り、いつもと変わらない朝が流れる。
「じゃあ、バイト行ってくるね」
真輝がいつも通り、バイトに向かった。
それを待っていたのか久美子さんの雰囲気が変わった。
「ねえ、奈穂、やっぱり、きちんとお父さんと話してみない?」
「……」
久美子さんの提案に賛成も否定もできなかった。
いつかはちゃんとお父さんと話さないといけないと分かっていた。
しかし話すことが怖かった。
その矛盾の感情に閉じ込められていた。
「話さないと何も分からないよ」
「……」
「いまから行かない?」
私は小さく頷き立ち上がった。




