2日目ー2
光牙が光に飲み込まれていく。
ただ今、天恵の間。ここでジガルデ様に会うらしい。
天恵を貰ってないのは残すところ、勇者たちと俺たちだけ。
他の人を見る限り、どうやら、天恵とは、その人だけの装備のことらしい。
「雀ヶ森君はどんな装備だと思う?」
「零、俺はどんな装備だろうな。」
「はやく、はやく、装備をくれ~~」
「箒で空を飛びたいな。」
「おい、次の番、零だぞ。」
5人でしゃべっていたら、俺の番が来た。
ついでに、俺を呼びに来た光牙は輝く鎧をまとっていた。
あの光る鎧が、光牙の天恵らしい。
「じゃ、行って来る。」
そう言って俺は、光の中へ飛び込んだ。
そこは、白い場所だった。辺りを見渡していると後ろから声が聞こえた。
「お主、面白い称号をもっておるのう。」
振り返ると、白髪白髭のおじいさんがいた。
どうやら、この人がジガルデ様らしい。
「あんたが、ジガルデ様か?」
「その通り。[万の戦神]ジガルデ じゃ。」
「あんたが、天恵をくれるのか?」
「そうじゃ。」
1番気になっていることを聞いた。
「天恵ってなんなんだ?」
「フォッフォッフォ。そんなこと聞いてきた者は初めてじゃ。さて、お主の問いの答えよう。天恵とは、スキルと装備のことを言う。」
「どういうことだ?」
「焦るでない。説明を続けるぞ。天恵とは、魂に眠っておる能力のことじゃよ。ワシはそれを目覚めさしておるだけじゃ。」
「ようするに、天恵とは能力を与えられるのではなく、能力を目覚めさせる、ということか?」
「その認識で間違いないぞ。さて、疑問も解けたところでお主の天恵を目覚めさせるぞ。」
「ああ、頼む。」
ジガルデの手の光が俺の胸の中に消えていく。
「これで目覚めたのか?」
「よく見ておれ。」
そして、俺の胸の中から光が出てきて、紅く黒く輝く宝玉、漆黒の防具に変化した。
「これがお主の天恵じゃ。」
「詳しい説明とかないのか?」
「・・・お主、気づいていないのか。」
「なんのことだ?」
「自分のステータスや天恵は詳しく見ることでその説明がでるぞ。」
「・・マジか。全然知らなかった。」
落ち込むのは後にして、今は天恵の説明を見てみよう。
まずは、宝玉。
◇◇◇◇◇
名 <血ニ塗レタ拷問ト血ニ染マル処刑ノ宝玉>
説明
すべての拷問の器具と処刑の道具を司る宝玉。
宝玉の所有者は器具と道具を自在に操ることができる。
◇◇◇◇◇
すごいな。これ。防具も期待できそうだ。
◇◇◇◇◇
名 頭 <破滅ヲ司ル闇ノ面>
胴 <混沌ヲ司ル闇ノシャツ>
脚 <混沌ヲ司ル闇ノレギンス>
腕 <深淵ヲ司ル闇ノグローブ>
足 <深淵ヲ司ル闇ノブーツ>
アクセサリー <破滅ヲ司ル闇ノローブ>
説明
この世の闇を司る防具。命を狩る者を助ける。
これに飲み込まれれば、世界を滅ぼすまで止まらない。
◇◇◇◇◇
あぶないな・・。防具大丈夫かなぁ。
「さて、どうやら見ることが出来たようじゃな。では、身に着けい!」
「ああ、分かった。」
そして、俺は防具を着ることにした。
今までの服を脱いで、シャツ・レギンスを着て、グローブをはめ、ブーツを履いた。見事に黒1色。最後に面を顔ではなく頭の横につけた。
『お前の体を寄越せえぇぇ。』
!!頭の中に声が聞こえる。おいおい、説明本当だったのかよ。
ふむ、説得してみよう。
『これは、俺の体だ。お前のではない。』
『知るか。俺はこの世界を滅亡させたいんだ。』
『こっちこそ知るか。俺はこの世界を観光したいんだ。』
『お前の体を寄越せ!』
面倒だな。よし!
『ならばこうしよう。世界を見て回って俺が気に入らないところがあれば、俺が滅ぼすことにしよう。』
『・・・本当だな。』
『ああ、本当だ。』
『ならば、待とう。お前が世界を滅ぼしたくなるその日まで。』
そう、言い残して声は消えていった。
どうやら、納得してもらえたらしい。
ふう、一安心だな。
さて、宝玉をどこにつけるか。
・・・・・・決まらない。面倒だな。どっか体に入らないかなぁ。
そう思ったとたん宝玉が光り俺の左眼に入っていった。
「!おい、ジガルデの爺さん。俺の左眼どうだ?」
「ふむ・・左眼は黒いぞ。どうした?」
「いや、宝玉が入った感じがして・・」
「ほう・・左眼が紅くなったぞ。」
「どういうことだ?」
「たぶん、宝玉の力を使うときに左眼が紅くなるのじゃろう。」
マジか。オッドアイとか絶対目立つな。
あまり使わないことにしよう。
さて、爺さんともお別れだ。
「またな、ジガルデ様。」
「フォッフォッフォ。またの~~」
そして、俺は光に包まれた。