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イカレた五人組の異世界観光記  作者: ディオ
王都出発編
5/19

2日目ー1

 夜が明けて次の日。俺が起きたら光牙はまだ寝ていた。

 予定を聞くため、起こすことにする。

 

 「おい!光牙起きろ!」

 「ん?ああ、零もう朝か?」

 「ああ、そうだ。今日の予定を教えてくれ。」

 「いいぞ。まず、朝ごはんを食べてから、王様に謁見だ。」

 

 なるほど。ならば、そこで、城を出ることを伝えよう。

 

 「その後、なんかよく分からないけど、神様に会うらしい。」

 「・・それ、正気か?」

 「俺だってよく分からない。でも、そこで戦う力を神様がくれるらしい。」

 

 うん、よく分からねえ。まあ、どうにかなるだろう。

 

 

 「ほう、お前たちが異世界の客人か。」 

 

 朝飯をすまし、ただ今、王様に謁見中。

 光牙に聞いたことによると、ここで勇者が王国に力を貸すことを誓うらしい。

 

 「俺の名は、ジルガ・ラー・ローレシア。ローレシア王国国王だ。」

 「まず、謝っておこう。お前たちを召還したことを。」

 

 そう言ってジルガ王は名乗るなり、いきなり頭を下げた。

 おいおい、一国の王が簡単に頭を下げていいのかよ。

 その王に声をかけるのは、光牙。

 

 「頭を上げてください、王様。僕たち皆、気にしておりません。」

 

 その声に王は頭を上げた。

 

 「ありがとう。召還した身でありながら、お前たちに頼みたいことがある。」

 「何でございましょう。」

 「今、王国は隣の帝国と戦争をしている。」

 「それは昨日、アリシア様から聞きしました。」

 「それだけなら良かったのだが、帝国は北の魔王と同盟を結んだのだ。そのせいで、こちらの分が悪くなってしまったのだ。」

 「!!!」

 

 初めて聞いた、魔王の存在。その言葉に、皆が動揺する。

 それを見た王が口を開く。

 

 「戸惑うかもしれないが、王国の皆を救うため、勇者の力、異世界の皆の力を貸してほしい。」

 「分かりました。僕たちの力を王国のために使うことをここに誓います。」

 

 これで、一応謁見の儀は終了。

 

 「雀ヶ森君、どうする?」

 「零、どうすんだ?」

 「早く行けよ、零」

 「割り込むのか?」

 

 そんなこと決まっている。

 

 「この5人で割り込むぞ。」

 

 そう、言って王の前に出る。

 

 「異議あり!」

 「っ!零、そこどけよ!」

 「まあ、いいじゃねえか、光牙。俺たちも王様に言いたいことがあるんだよ。言ってもいいかい?王様。」

 「お前たち、王の前で無礼が過ぎるぞ。」

 

 怒り出した大臣を軽く手を上げて止め、王は言った。

 

 「よかろう、申してみよ。」

 「ならば、遠慮なく。王よ、俺たち5人は城を出る。」

 「?なぜだ?」

 「せっかくの異世界。俺たちは、観光したいのさ。それに・・」

 「それになんだ?」

 「俺たち5人には[キョウ]の称号があるからさ。」

 「!・・・・・・それは真か?」

 「もちろん本当だ。だから、城を出る。」

 「だが・・」

 

 言いよどむ王様に言ってやる。

 

 「俺たちがいたら、国の兵たちの士気が下がるだろう?」

 

 そう俺が言ったとたん、王様は苦虫を噛んだような顔になる。

 いや、王だけではない。俺たち異世界組以外の全員がそんな顔をしている。

 

 「どういうことだ?」

 

 不思議がる光牙(バカ)に教えてやる。

 

 「勇者が召還されたと国の人が聞けばどうなる?」

 「それは、皆喜ぶだろう・・!そういうことか。」

 「分かったぽいな。そう、皆喜ぶだろう。だが、それと同時に[キョウ]が召還されたとなれば、その喜びが消えるだろう。」

 「なるほどな。」

 「そういうことだろ。王様。」

 「その通りだ。」

 「というわけで、俺たちは城を出るよ。」

 

 そう言って、謁見の間から出ようとする。

 そんなとき、王の声が響き渡った。

 

 「少し待ってくれ。」

 「なんだ?まさか、城を出ちゃいけないとか?」

 「違う。城を出ることは許そう。だが、ジガルデ様には会って行ってくれ。」

 「ジガルデ様?」

 「そうだ。皆に戦う力をくれる神様だ。これに会ってから城を出てほしい。」

 「しかし、[キョウ]持ちを会わす訳には「うるさい。」」

 

 大臣の反論を黙らし、王は言う。

 

 「これは、私の謝罪だ。レイだったか?私の謝罪を受け取ってくれるか。」

 「・・そうだな。ならば、そのジガルデ様とやらに会ってみるか。」

 

 これはやられたな。

 王の謝罪を受け取らないとか不敬罪で捕まるだろう。

 なかなかに賢い王らしい。

  

 そういうわけで、ジガルデ様に会いに行くことになった。

 面倒くさいな。


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