プロローグ「美少女の回し蹴り」
初めてなので色々下手だとは思いますが、読んでくれたらうれしいです。
いつも、ふと思う。この世界が存在している意味を。大昔、宇宙のどこかでビックバンの大爆発によって生まれたこの世界は一体、何の為、誰の為にあるのかと。
答えが出ないのは分かっているけど、つい考えてしまうんだ。
そしてそんな何の為にあるのかも分からない世界で特にやりたい事も無く生きている自分に価値があるのかと・・・。
いつも答えは出ない。
でも、考えてしまうんだ
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「あぢ~~!」
ツンツンと逆立った髪にどこかだらしなく着た制服。
うだる様な暑さの中、俺の隣で、悪友の海下神次が絞り出すように声を上げた。
俺はついイラッとして本音を漏らした。
「うるせーな!!また今日から学校が始まるってのに、いきなり帰りたくなる様な事を言うな!!!」
すると神次は、「ヴヴ~~~」と恨めしそうに俺を睨んだきり、何も話さなくなってしまった。
まあ、神次がこうなるのも仕方ない。俺達は昨日まで高2の夏休みを満喫していたのだ。
急にクーラーでキンキンに冷えた部屋からセミも泣き止まない外に放り出され、学校に向かっているわけだから、さっきの様な声が出るのも理解出来る。
だが、だからと言って、ただでさえ暑いのに更に暑苦しい気分にさせられるのは我慢ならなかった。
学校に着く前から帰りたくて仕方ない。
そんな時だった。この暑さの中、汗ひとつ流さず、涼しい顔で歩いている女子が前の角から現れた。こちらには振り向かず、真っ直ぐに俺たちと同じ高見ヶ丘高校へ向かって行く。
顔はあまり見えなかったが、身長は150位だろうか。肩まで伸びた金髪が印象的な小柄な女子だ。きれいな髪ではあるが高見ヶ丘では校則違反だ。
何より、制服が高見ヶ丘とは違っている。
これらの事から、俺はある一つの結論に至った。
(もしかしたら転校生かもしれない)
そう思い見ていると、突然その女子が物凄い勢いでこちらを振り向いた。
余りの勢いで振り向いたので、今まで暑さで回りの事など気にも留めていなかった神次も、その女子に気付いた様だった。そして明らかに驚いていた。
というか、俺も驚いた。その女子が振り向いたことにではない。想像を絶するレベルの美少女だったからだ。
日本人ではあり得ない白くきめ細かな肌に、少し幼さを残しながらも整った顔立ち。体は全体的に細く、そこらのモデルよりもよっぽどモデルに向いていそうだ。
そんな訳で、俺と神次が驚いて固まっているとその美少女は足早にズカズカとこちらにやってきた。
そしていきなり俺の襟首を思い切り掴むと自分の顔の前に引き寄せた。何なんだこの状況は!?
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
美少女は何も喋らず、真っ直ぐに俺を見つめていた。余りに近いので、、美少女の鼻息が俺の顔にかかりむず痒い。不覚にもドキッとして胸が高鳴る。その時だった。
「ちょっと待てやああぁぁぁああああああぁあああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
・・・その声は俺からでも美少女から発せられたものでも無かった。
その声の主は・・・・・・・・・・・・・神次だった。
「何なのお前ら!?俺だけ仲間外れ!?おかしいだろ!!俺にだって美少女とのイチャラブイベントが合ったっていいだろうが!!!」
・・・・はっきり言って聞くに堪えなかった。今の今まで浮かれていた俺の心は一気に熱が冷め、氷点下まで冷え込んだ。
俺の至福の時の邪魔をした神次に文句の一つでも言おうとしたが、またしても俺の声が発せられることは無かった。代わりに、
「うるっせぇんだよ!!!!!」
美少女はそう叫ぶと、俺から手を放し、左足を天高く振り上げた。そしてその勢いを利用し、回転しながら神次の顔面を蹴りつけた。・・・・・回し蹴りだ。
俺は心のどこかで、スカートの間から除くものがパンツでなくスパッツだった事にガッカリしながら、ブロック塀に叩き付けられる神次を見つめていた。
「ぐえっ」
地面に叩き付けられたカエルの様な声を出し、神次はブロック塀の横に倒れ、動かなくなった。
・・・・多分、死んでいないと思う。・・・・・・・・多分、
「何なのよあいつ、気持ち悪いわね。」
髪をかき上げながらゴミを見る目で美少女は言った。
小さいくせに随分と偉そうだ。
そう思ったのをを知ってか知らずか、俺にまで冷たい視線を向けながら美少女は口を開く。
「何よ、文句でもあるわけ?」
「い、いや、そんな事はありません!」
文句など言えば俺もブロック塀の横で寝る事になる。それが分かっているのに文句を言うほど俺は死にたがりではない。
・・・・それに、神次の扱いに関しては最初から文句など無いし。
「ふんっ、まあいいわ。それよりあんた名前は?」
「えっ、・・・ま、的場煉。」
「マトバレン?変な名前ね。ま、覚えとくわ。残念だけどあなたはギリギリ不合格なの。」
「は?不合格?何の話だよ?」
俺は訳が分からず質問する。が、美少女は薄く笑いながら学校の方へ駆けて行ってしまった。
俺はそんな美少女をただ茫然と見送る事しか出来なかった。
・・・ふと我に返りスマホで時間をチェックすると登校時間がもうそこまで迫っていた。
もう、歩いている時間も、神次が起きるのを待っている時間も無い。
俺は神次に優しく微笑みかけると、そのまま背を向け学校へ走り出した。
(すまない神次、だが俺まで送れるわけにはいかないんだ!)
道端で倒れている悪友に振り返る事はもうない。これもまた友としてあるべき一つの形なのだ。
(何て日だよ、全く!!)
心の中でパトスを迸らせながら、俺はただ全力で走るしかなかった。