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「執事・砂漠・鉄棒」

「執事・砂漠・鉄棒」

私にとってこの屋敷が自分の世界だった。幼少期からこの屋敷に住み、物心ついたときにはここでお嬢様の執事として働いていた。一度たりともこの屋敷から出たことがなく、ときおり空を見ていた。空はどこに行っても青いらしい。

「空はどこに行っても青いということを知るために、世界を回ってみる必要はない。」ドイツの詩人ゲーテの言葉だ。

私にはこの屋敷が全てだったので、言葉の本当かどうかさえ分からなかった。その他にも本の内容で出てくる「砂漠」「海」「山」などの単語の意味は知っているが、本当にそのような場所があるのかも知らなかった。

執事は外の世界に興味があったが一度も行ったことのない世界に行くのが怖かったし、長年仕えてお世話になった人たちに対しても失礼だと思っていた。

ある日屋敷の庭に鉄棒だけ作られた。お嬢様たってのお願いだという。

ある日お嬢様に作った理由を聞いてみると「鉄棒で回ってみると世界が回って見えるのよ。」とだけ答えた。

 聞いたときは何を言っているのだろうと思った。夜寝るときや屋敷の掃除をする時などに言葉の意味を考えてみたけれど何も分からなかった。1週間考えてみたが理由が分からなかった。一回実際に回ってみればわかると思い、鉄棒で逆上がりをしてみた。

しかし私はできなかった。できるまでにかなりの時間が掛かった。

逆上がりが成功した時世界が回った。どこかの本で書いてあったようなフレーズだがその通りだった。

それがきっかけで私はいろいろなことに興味を持ったが、お嬢様の体があまり良くない状態だということも知った。

前よりも外の世界に興味を持ち、外に出たいという気持ちが強まったが、お嬢様の身体が心配だった。

ある日お嬢様に呼ばれ中庭にいてみるとベンチに座りながら、鉄棒を見ているお嬢様の姿がそこにあった。お嬢様は私がそこいるのを確認すると話始めた。

「あなたも薄々知っていると思うのだけど、私の身体があまり良くない状態なの。だから一つ私のお願いを聞いてほしい。私は生まれてから一度も外の世界を見たことがない、だからあなたが私の目になっていろいろな世界の姿を見てほしい。」

私はただ頷くだけだった。




私は今砂漠に立っています。あれから早1年が立ちました。あの日の願いを叶えるべく、私は今でも世界を飛び回っています。

お嬢様が病気と闘いながら、私の送った写真と手紙の返事を欠かさずに書いてくれることを私はとてもうれしく思っています。前の手紙では次は砂漠を見たいとおっしゃっていたので砂漠に行っています。

約8000万歳の砂漠と言われているほど昔からあったとされている砂漠では赤色の綺麗な砂の山が連なっていました。

ほかにも約1000万kmの面積がある砂漠があるそうです。今度一緒に行ってみたいです。

そしてお体のほうもお大事にしてください。早く病気が治るのをいつも祈っています。

無理をせず、少しずつ頑張ってください。お嬢様と笑顔で出会える時を心待ちにしています。




私は砂山の上でふと空を見上げました。ゲーテの言った通りどこの世界でも空は青かった。この空はどこまでも続いており、大切な人たちの場所まで続いているのだ。

そう考えるとどこかこの空が愛しく思えてきました。この世界には当たり前だと思っていても、実は大切な物がいくつもありました。私は外の世界に出てこんなにも世界は素晴らしいもので満ち溢れているということに気付きました。本当にありがとう。

私はどうかこの空の下にいる大切な人達が昨日よりも幸福であるようにと願います。


つたない文章ですが、よろしくお願いします。アドバイスなどあればうれしいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 詩人ゲーテさんの言葉を一つの軸として作られていてロマンティックな作品でした。 [気になる点] 執事が屋敷の中の世界しか知らない筈なのに鉄棒の逆上がりを知っているのは不自然に感じました。例え…
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