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飛竜落とし姫は振り向かない ~戦う聖女は騎士団所属~  作者: 米野雪子


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ただいま騎士塔




「おかえり!サトミさん!どうだった?」


「アレンくん、ただいま!」


「アレン、各部隊の隊長、副隊長、副隊長補佐の全員を

 第3会議室に集合させろ。国王陛下より箝口令が出た」


「防音室に集合って…サトミさんに関係あるの?」


「そうだ。その会議の後、団員皆にも連絡が行く。それまで待て」


「はい!…サトミさん大丈夫?」


「うん。大丈夫。ちょっと、予想外な事になったけど。

 でも私は変わないから、今まで通りにしてくれる?」


「もちろんだよ!じゃあ、伝えに行って来ます団長」



アレンくんが、元気良く走り去っていくのを見て、

少し気分が晴れ、ホッと息を吐く。


ああ…ここにいると落ち着くな…



「私がここに留まることで…ご迷惑になるかもしれないです…

 護衛の仕事が増えてしまうんでしょう?」


「そんなの気にするな。王宮預かりになったら、もっと大がかりになる。

 ここの方が、君は自由にできるよ。

 それに…俺も、君にはここにいいて欲しい」



そう言って、私の私室までエスコートして送ってくれた。

疲れただろうから私は休むように言われ、王都のお土産をどっさり渡され、

不安そうな私の頭を撫でて、グレンさんは会議にいった。


私…魔力持ちなんだ…しかも稀少な全属性持ちらしい。

ぜんぜん体に変化もなかったし、気づかなかった。


そして、この騎士塔の皆に私が国の重要保護対象者となった旨が通告された。

交代で護衛騎士が常に付き従うが、それ以外はいつも通り暮らしていいそうだ。

後日、王都より何人かこちらに護衛目的で派遣されてくるらしい。

要は監視役もあるのだろうが、これくらいは仕方ないとグレンさんは言っていた。

こうなってしまうと、自立して自分の家を持つという目標は当分無理そうだ。


今後、魔術の基礎も学ぶため、魔法塔から講師が1週間に3回

こちらへ派遣されてくる事になり、それと同時進行で、この世界に馴染むための

マナーや一般常識、歴史、地理なども学ぶ事になった。



そして、もう1つ疑問に思っている事を聞いてみた。



「そういえば、エリカさん、この国って女性をあんまり見ないんだけど…

 家にこもっているの?」


「いいえ?ほとんど働いて……あ、サトミ様はご存じないんですね。

 この世界は女性が少ないのですよ」


「やっぱり?王宮でも全然見なかったし、

 この騎士塔でも、エリカさんと食堂のおばさん位しか見ないから…

 そうか…少ないんだね」


「はい。産まれる子もなぜか圧倒的に男児が多くて、

 比率ですと男性10人に対して、女性は1人しかいません」


「えっ!そんなに?原因は分からないの?」


「歴史で習うと思いますが、50年前に魔法でも治癒できない流行病がありまして…

 女性ばかりが亡くなったんです。それで一気に人口が減りました。

 きっかけはそれで、男児の多産は原因不明です」


「そっか…そんな事があったの…大変だったんだね」


「それから、貴重な女性を保護対象とし、

 人口増加の為に一妻多夫制で、これでも徐々に持ち直している所です」


「一妻多夫制…」


「はい。少しでも沢山の遺伝子を残す為です。

 ご希望なら何人でも旦那様を迎えられますよ?

 もちろんサトミ様もです」


「私は遠慮しとく。

 あっ!だから騎士団の人、あんなに美形なのに独身の人が多いの?」


「騎士団だけじゃなく全てです。

 特にサトミ様は、国の宝ですから選びたい放題ですよ!

 ちなみに私は、幼なじみの2人の恋人がいます!

 未婚で子を儲ければ、即結婚と決まってますが、

 国から子育ての全面支援があり安心なんです」


「え……いや、無理だって。私は1人で充分だからっ」


「まあ~謙虚ですねぇ。遠慮なさらずともいいですのに」


「遠慮じゃなくて、私は何人も平等に愛せるほど器用じゃないっていうか…」



ん?みんなが親切なのって…それも影響してる?

私が女だから?

いやでも、みんなガツガツ来ないし、紳士だし、

それに好みもあるだろうし、そんなに自意識過剰になる必要ないか…



「今は落ちつきましたけど、女性不足で一時大変な時があったんです。

 女性を攫ったり、強姦したり、監禁したり…女性の尊厳を奪うような、

 無理やりの酷い行為に耐えられず、数少ない女性が自死を選ぶ事案が多発して。

 それを重く見た先代の国王陛下が、女性の意志を無視する行いをした男性達に

 厳しい罰則を設けられました。

 そして、女性の心理や体の仕組みを学ぶ義務教育を男性達に儲けられたんです。

 ですから、この国の男性は女性に愛情深く紳士で、大切に扱ってくれるのです」



ここは魔獣以外は、みんな親切だし平和な国だなんて

暢気に思っていたが…壮絶な過去があったのだ。



「あのさ、奥さん1人と旦那さん多数で一緒に住んでいるの?」


「それはまちまちです。同居してる方もいますが、

 通い婚にしている方もいます」


「この国の結婚や恋愛は、女性に主導権があるんだね…」


「ええ。でも女性に望まれれば、まず断る男性はいませんよ?」


「これだけ女性が少ないと、好みとか言ってられないから?」


「男性にとっては、女性に指名されるのは名誉な事ですからねぇ。

 所帯持ちになると、国の支援で給与も上がりますし、

 子を儲ければ国が繁栄するし更に支援がつくしでメリットしかないですもの。

 あ、もちろん浮気は厳禁です。それは女性も同じで、一度性行為をしたら、

 きちんと恋人として、伴侶として誠実でいなくてはいけません。

 ワンナイトや快楽だけの無責任な性行為は禁止。それらは厳しく処罰されます。

 でなきゃ、女性側が保護を盾に、やりたい放題になりますから~」



そういう価値観か…なるほど。


でも、やっぱり私は無理かな。

1人の人を深く愛したいし愛されたい。


これは前の世界の影響だと思うけど、

何人も好きになれるほど私は器用じゃない。


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