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飛竜落とし姫は振り向かない ~戦う聖女は騎士団所属~  作者: 米野雪子


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6/12

王子と婚約なんてお断りします



「なるほど…」



ステラ様から私の魔力判定の結果を聞き、陛下は考え込んだ。

そして、私に視線を移す。

私は、これから何を言われるのか怖くて、

グレンさんにセミみたいに、しがみ付いていた。



「サトミ殿」


「は、はい…」


「まあ、そう怯えないでくれ。そなたの嫌がる事をするつもりはない。

 ただ、提案として聞いて貰えるだろうか?」


「はい」


「…我が国としても、君の様な素晴らしい魔力を保有した人材は貴重だ。

 保護の名の下で、王子の誰かと婚約をするのはどうだろうか?」


「折角のご提案ですが、お断りします…」


「ふむ…そうか。君の世界は自由恋愛だったね。無理もないか。

 王家の権力の庇護を得るには、これが一番手っ取り早いのだが…

 だが、親の私が言うのはなんだが、我が息子達はなかなか見目麗しいぞ。

 それに、教養も充分あるし性格も穏やかだ。

 試しに会ってみてくれないだろうか?」


「嫌です。いくら綺麗でも人格が素晴らしい方でも、

 庶民の私に王族の世界は合いません。

 王子様もこんな異世界人など宛われて、ご迷惑だと思います。

 それに、会った上でお断りしたら…尚更失礼ですし…

 王子自身も屈辱だと思います」


「なるほど。謙虚だな。そういう所も好感が持てるのだが…

 うむ…そうか。分かった。その線は一旦諦めよう。

 私としては、そなたが娘になってくれれば嬉しかったのだが。

 サトミ殿は、騎士団の皆と随分仲良くしているようだしな」


「そうですね。騎士団の皆もサトミさんに無理強いすれば、

 抗議してくると思います。

 彼女は非常に好かれていますし、あそこに馴染んでいますから」



グレンさんの答えが嬉しくて心が一瞬でポカポカ温かくなる。

私、みんなに好かれてたんだ。



「サトミ殿の料理が美味しいと、騎士団伝え聞いておる。

 今度私にも振る舞ってはくれまいか?」


「はい。陛下さえよければ…」


「そうか、楽しみにしているぞ。

 あと弓道だったか?それも今度見せておくれ」



私が毛を逆立てた猫のように全力で拒否したので、

どうやら諦めてくれたようだった。

その変わりステラ様が陛下に、魔法塔に預けてくれと必死で交渉したが、

私と陛下にも却下され、私は今まで通り騎士塔預かりになった。

ただし、魔力の基本やコントロールを学ぶために、

魔法塔の数人が講師として、辺境の騎士塔に来る事になった。



「…はあ~…」


「大変だったな」


「はい…」


「まあ、そう気落ちするな。嫌なら今日みたいに断ればいい。

 それより町の探索は良かったのか?」


「疲れてしまって…折角なんですが…そんな気分じゃなくて…

 もう…騎士塔に帰りたいです」


「では、またの機会にしよう……まだ不安なんだね?」


「はい…思ったより、責任が重い立場になってしまいましたし…

 少なくとも行動範囲の制限や役割は発生するだろうし…」


「大丈夫だ。騎士団の皆もついてる。1人で抱え込むな」


「はい。ありがとう、グレンさん…」



私は慣れない経験をして衰弱してしまい、帰りの馬車の中で熟睡した。

途中グレンさんが、馬車を止めて買い物に行ったのは全然気が付かず、

私や騎士団の皆にお土産として、王都でしか食べられない

焼き菓子やケーキを沢山買ってきてくれていた。

なんとも気が利く、紳士である。



「ステラ師団長殿、全属性とは…神聖力と暗黒力も含まれるのだね?」


「はい、勿論です。陛下。神聖力が全体の3割をしめています」



水晶玉の中には、赤、青、緑、黄、黒、金の光が

ふわふわ浮かんでいる。



「なんと素晴らしい…」


「ええ。稀人の伝説は、あながち膨張された物ではないでしょう。

 魔法塔に戻ってから更に細かい分析をして報告します」


「しかし惜しい…先に王子との婚約の件を提案するべきではなかったな。

 私としたことが…気が急いた」


「そうですね。警戒して全力で拒否されましたし…

 ですが、あの反応の方が珍しいとは思いますよ。

 普通は光栄な事で大喜びでしょうに…」


「困ったことに、非常に欲がない…」


「ええ。籠絡しづらいですね」


「だから、だろう」


「…といいますと?」


「その膨大な魔力を私欲で使わない者に、与えられたのだ…」


「ええ、そう思いますが…ですが本人の意思が強かろうが、善良だろうが、

 利用しようとする輩が、群がってくるのは避けられないでしょう。

 あの素直さは、少々心配になります」


「あれは素直だが賢い娘だ。そんな簡単には、騙されないだろう。

 だが…所詮か弱い女の身だ。拐かされるやもしれんし…

 大切な者を盾に脅された場合は、優しい娘だから危ういな…」


「騎士団だけで大丈夫でしょうか?

 最強の精鋭部隊ですから武力は充分ですが…」


「王都から知能面で秀でている者を送ろう。これくらいはいいだろう。

 定期的な報告も含めて、王都の騎士も彼女の近くに仕えさせようと思う。

 魔法塔からの講師の人選を頼んでもいいか?」


「ええ、お任せ下さい。講師は私も立候補します。

 次の登城は3週間後ですよね?」


「ああ。……まあ良い。次の登城で、王子達をさりげなく接触させよう。

 少しの可能性にもすがりたい」


「企みがバレたら、益々嫌われますよ?」


「うーむ…何とかならんか?サトミ殿の好みの男でもいい。探ってくれ」


「…グレン団長でしょうね。あの打ち解けた雰囲気、ご覧になったでしょう?

 私も外見には自身があったのに、対応を謝って敵意向けられましたし…」


「やはりそうか…強い男が好みか…」


「彼は無愛想ですが、強くて誠実な男です。信頼されているんでしょう。

 今本人達は無自覚かもしれませんが、時間の問題でしょうね」


「仕方ない。今の所は…様子をみるか」


「この国に留まってもらわねばなりませんので、

 くれぐれもサトミさんの機嫌を損ねないようにお願いします、陛下。

 真面目な子を怒らせると怖いですよ。絶対に許してくれませんから…」


「何だ?経験者のような言い草だな。はははっ」


「ええ…まあ…」



何を隠そうステラ師団長は、仕事の忙しさと婚約者の優しさに甘えてしまい、

10度目の約束をすっぽかした所で、真面目な婚約者に烈火のごとくキレられ、

問答無用で婚約破棄をされたばかりだった。


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