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〈連載中〉飛竜落とし姫は振り向かない ~戦う聖女は騎士団所属~  作者: 米野雪子


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愛馬と遠乗り




愛馬は、真っ白で他の芦毛の軍馬より一回り小柄だった。

私の体には、こっちのサイズの方が乗りやすいだろう。

そっと鼻を撫でるとぐいぐい顔を押し付けてきて、随分人慣れしている。



「綺麗で可愛い…ふふっ、これからよろしくね」


「おや、サトミさんに懐いたな。良かった」


「え?この子人慣れしてるんじゃ…」


「いや、ちょっと神経質な所があって、

 連れてくるまで大変で、少し心配だったんだ。

 でもサトミさんなら、大丈夫かなって」


「そうなの?

 でも、神経質なのは警戒心が強くて頭がいい証拠ですよ。ね~?」


「ブルルルッ♪」


「はははっ、まいったな。そうだ、名前をつけてやるといい」


「名前かぁ……白い…から……ユキなんてどうかな?どう?」


「ブルルルッ♪ヒヒンッ!」


「気に入ったみたいだな」



その後、2人別々に騎乗で連れだって遠出をした。

私の乗馬は、グレンさんの指導のおかげで上達していた。

ユキは振動も少なくスルスル走る馬で私には凄く乗りやすい。

流石グレンさんが選んでくれただけある。


さっきの文官の不愉快な挨拶などすっかり吹っ切れて、

お祭りの時に見えた、あの湖を折り返し地点にして、休憩することにした。


馬つなぎを教えてもらい、

ユキとグレンさんの愛馬を近くの大きな木にロープで繋ぐ。



「うわぁ~、実際来てみると凄く大きい!」


「水質も綺麗だろう?」


「うん。透明で、底まで見えそう…この湖、魚いるのかな?」


「そうだね。あまりこの村の人は食べないけど…」


「ええ~美味しいのに…釣り竿持ってくれば良かった…」


「はははっ、それは今度にしよう。何もないが、いい所だろう?」


「はい。涼しくて気持ちいい…あれ?向こう岸に建物がある…

 誰か住んでいるんですか?」


「あそこは民宿だ。住み込みで夫婦が営んでいる」


「へぇ~、可愛い建物。今度泊まってみたいな…」


「そう…だな。今度、泊まりがけで…

 景色もいいし、そんなに遠くないから今度利用してみようか?」


「うん!ちょっと水に足入れてみるっ」


「ああ、…ん?今なんて?」



ポイポイとブーツを脱ぎ捨て、スカートをたくし上げて、

迷わず湖にズカズカ入っていく私を見てグレンさんは呆然としていた。



「うわー冷たいけど、気持ちいい!

 あっ魚いますよ!グレンさん!ほらっ!」


「サトミさん!足、足出てるっ足‼︎ 」


「えー?聞こえない!グレンさんもおいでよ!」


「そうか…この国の常識をまだ知らないんだったな…」



その後、散々はしゃぎまくって戻ると、

足を人前で、さらしてはいけないと理不尽な事を言われた。


何でも、下着姿で人前に出るのと同等の破廉恥な行為になるそうだ。

俺だったからいいけど、他の男の前では絶対駄目だと、

コンコンと顔を真っ赤にしたグレンさんに注意された。



「ごめんなさぁ〜い…」


「いや、綺麗な足だった……ああ、いやっ、そうじゃなくて…んんっ!

 …今後気を付けてくれ」



私としては何か納得できない。

肩と胸回りは結構露出が凄くて、こぼれ落ちそうな衣裳が多いのに

足は駄目って…よく分からない文化だな。

ちなみに私は、その衣裳が嫌で首まで隠れている服を好んで着ている。


一般常識&マナー講師に質問したら、

何でも胸の豊かさの露出は、子供を沢山育てられます健康的です。

またはいい母乳アピールだとか。

対して下半身は、子供を産む大事な場所、相手の殿方しか知らない、

秘め事の部分だから、第三者に無闇に見せてはいけないそうだ。


でも足はいいだろ。足は。

やっぱ納得できない。

このせいで、女性のパンツスタイルも敬遠されているし、

長いスカートなんて、夏とか暑いし足裁きが悪くて嫌いなのに…

この世界の常識は、当分慣れそうにない。



「少し休もうか?」


「うんっ」



ブランケットを敷いて、2人で木陰の下で横になる。


風が、気持ちいい…


ザワザワとした葉擦れの音と鳥の声、湖の水音、

真っ青な空に浮かぶ白い雲。

こうしてると異世界だなんて、思えないほど同じ風景に見える。


でも、魔獣とか飛竜とか、魔法とかあるんだよなぁ…

一妻多夫だし…


うつらうつらしていると、肩に手が添えられ撫でられて、

引き寄せて軽く抱きしめられている感じがした。


……ん?…ああ、グレンさんか……


私は、半覚醒のまま体を彼の方へ向けて寝返りを打ち、

彼の逞しい胸に顔を埋めて抱きついた。

ピクリとグレンさんが反応したが、構わず腰に腕を回して、

無邪気にぐいぐい抱きつく。

恋人同士なのだから、これぐらいの甘えは良いだろう。

そんな軽い気持ちである。


気が付くと、彼の足が私の足に絡んでいて動けなくなっていた。

サラサラと私の髪を撫でてくれる手が気持ちいい…

すると、頬にも手が添えられ上を向かされる。


どうしたんだろう…と薄目を開けると、

彼の顔が直ぐ近くで、覗き込んでいるのが見えた。


あれ?…グレンさん、寝ないのかな…


私は、目を開けて彼を見た。

日の光に反射してキラキラしたアイスシルバーの瞳。



「グレン、さん…」


「ん?」


「…目が綺麗…キラキラして…宝石みたい…」


「もっと…近くで見る?」



彼は微笑んでそう言うと、グッと近くなり、

ピンボケして見えなくなったと思ったら、

唇と唇が触れ合っていた。


……え?…この感触は…あれ?


ぐるぐる考えていたら、何度も触れるだけの軽い口付けを落とされた。

その流れのまま、頬と額にも口付けされて、

グレンさんの前髪が額や頬に触れてくすぐったい…


嘘………心の準備がっ…


てゆーか寝込み襲うなんて…と思ったが、

自分から抱きついてるし、そういう行動した私には拒む権利などない。



「………っ、…」



うめき声が出てしまい、唇が少し開いた時に

更にグイッと押し付けられるように、深く口付けされる。


羞恥から少し手をジタバタして抵抗したが、

両手に指を絡まさせながら逞しい腕にがっしり押さえられて、

覆い被さる体制になっていたから、当然逃げられない。


今まで紳士だった彼から、男性的な情欲を向けられて、

少し恐怖を覚えつつ、女として意識してくれているという喜びもあり、

感情がポジティブになったり、ネガティブになったり、

私の心拍は上へ下へ、大きな波型を描いて大騒ぎである。



これ…グレンさん…もしかして…今まで結構…我慢してた?



深い口付けをされながら、押さえていた手を離して背中と腰に移動していく。

今度は抱きしめながら、なぞるよう撫で回している。

彼から伝わってくる体温のに包まれて段々…心地よくなってくる。

いつの間にか、私も彼に縋り付くように抱きついて、

抵抗もせず、彼のなすがままに受け入れていた。


私は…処女じゃない。


前の世界では高校時代に同級生の恋人がいた。

同意の上での行為だったし、勿論口付けだって初めてじゃない。


でも、学生時代の幼い恋は、あっけなく終わり、

付き合ったのは彼1人で、それから誰とも付き合ってないし行為もしていない。

なので、決して経験豊富ではないのだ。


だから…こんなに深くて執拗で、情熱的なのは初めてで…

もう、どうしていいか分からない。

深く触れ合って溶け合うような…

エロチックな状況に溺れて…卒倒寸前だった。


やっと唇を解放されて、呆けたままの私が彼を見ると、

グレンさんが目を見開いて狼狽した。



「そんなっ…可愛い顔しないでくれ…理性が…」


「え?あっ、ごめんなさ…」


「いや、俺が悪かったんだ…眠っている君が綺麗で…少し触れたくなって…

 君に抱きつかれて、タガが外れた…すまない、我慢できなくて…」


「ううん…大丈夫…」


「いきなりこんな事して…嫌じゃなかった?」


「うん、嫌じゃないから、その…気にしないで…少し、驚いただけ」


「ずっと…君にこうしたかった」


「もう、私たち恋人同士だし、いつでも大丈夫だよ?」


「では、もう一度しても?」


「え…」


「ダメ?」


「ううん…」



グレンさんの優しい微笑みが素敵すぎて、無言で頷くしかない。

彼は、私の瞼に短いキスをして、私の髪を撫でながら、

再び長い口付けを交わす。


首と耳にも舌と唇で嬲られ、変な甘い声が出てしまって、

再度羞恥で死にそうになった。

グレンさんは、めっちゃ嬉しそうだったけど。



「やっと、男として君に触れることが出来た」


「グレンさん…」


「ん?」


「グレンさんが一緒なら、私この世界で生きていける。

 だから、ずっと一緒にいてね…」


「勿論だよ。ずっと側にいる」



私は、グレンさんがいるから、この世界で生きていくと決めた。


彼は初対面の時から、不思議なほど親近感があって距離が近かった。

この人と半年間ずっと側にいたが、私は自然体でいられたし、

いつの間にか、隣にいるのが当然の存在になっていたのだ。




いつも読んでくれている方々、ありがとうございます。モチベ上がりまくりです。

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