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〈連載中〉飛竜落とし姫は振り向かない ~戦う聖女は騎士団所属~  作者: 米野雪子


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最強騎士団と聖女の共闘





「どうなってるんだ!粋なりこんな大群が押し寄せて」


「次から次へと!切りがない!」


「おい、団長達は、まだ戻らないのか?」


「もう少しで援軍が来る、踏ん張れ!」


「おいおい、やばい!飛竜も来たぞ‼︎ 」


「ひっでぇ追い打ち。はははっ、あー不味い…押されてるぞ」


「25m後退して隊列立て直せ!怪我人は後方部隊に下がれ!」



もう少しで、半部隊の騎士団が派遣先から戻ってくるという時に、

突如として魔獣の大群が押し寄せてきた。


入れ替わりで来ていた、南の騎士団も帰還した後だった。

北は現状、半部隊の戦力しかない。

まるで計っていたようなタイミングだった。


やがて、南から帰還した半部隊が騎士塔に到着するが、

騎士団員が誰一人いない異変に、団員達はざわついていた。



「おい…なんだ。何で誰もいない?」


「何か、あったのか?」


「あっ‼︎ アンタ達帰ったのかい!」


「食堂のおばちゃんじゃん。ただいま~。なあ、何で誰もいねーの?」


「魔獣の大群が襲撃してきたんだ!

 帰って早々悪いけどアンタ達も行っておくれ!

 国境中央付近で、みんな今戦っているんだ!」


「はあ⁉︎ 」


「嘘だろ…何だよそれ‼︎ 」


「帰還した途端これか!あー最悪だぜぇ‼︎

 ほら、すぐ向かうぞ、用意しろ!」


「エリカちゃんは騎士塔に入って避難しな!」


「は、はいっ‼︎ 皆さんお気をつけて!」



長旅の荷物の整理をする間もなく、皆臨戦態勢で騎乗して次々向かう。

その姿を見送りながら、エリカは祈るように両手を合わせる。



「グレン団長、副団長…補佐…サトミ様っ…

 ど、どうかっ、早く、早くお戻りください‼︎ 」


「大丈夫だよ。伝令鳥で知らせてある。すぐ来てくれるさ」


「は、はい…」



一方、グレン団長、レイ副団長、サイラス副団長補佐、サトミは、

探知能力者のレイ副団長の指示のもと、

騎士塔ではなく、国境の方へ馬を走らせていた。



私は、レイ副団長から手渡された弓矢をタスキがけのようにして、

激しい向かい風の先に目を凝らしていた。


そして、前方に黒い煙が立ち上っているのが視認できた。



凄い瘴気…




「団長もうすぐです!魔獣の大群を探知!

 中央付近に集中して、北の部隊が戦闘中!押されてます!」


「分かった。ありがとうレイ。

 サトミさん、とりあえず結界と浄化を同時にできるか?

 少しでも魔獣の侵入を防ぎたい。

 前線を見つけ次第合図するから、矢を放って結界と浄化を頼む」


「はいっ!大丈夫です!」


「馬で魔獣と騎士団の間を走り抜ける。その間に打ち込んでくれ」


「分かりました!」



馬上から打つなんて、流鏑馬みたいなのしたことないけど、

今は、やるしかない…



「見えてきた!もうすぐだ!あと10m!」



レイ副団長の指示に従い、

前を注視して、弓を地面に向かって構える。



ああ…見えてきた…みんな、いる‼︎



でも、めちゃくちゃ揺れる…構えにくいっ!

しかも落ちそうなんだけど!


すると、グレンさんが後ろから私の腰に手を回して、

シッカリ支えてくれる。


片手で手綱持ってる…すごい、この人…

でも、お陰で構えやすくなった。



「5m!」



「団長、今です!」



「打て‼︎ 」




シュンッ!ドスッ!




地面に刺さった矢から、カッと光の柱が高い壁のように

空へ高く突き抜けて、さらに横に大きく広がり始める。

付近にいた魔獣が悲鳴を上げて後ずさっていく。


その後も馬で移動しながら、次々と結界の矢を打ち込んで、

魔獣を追い払って遠ざけ、近くの魔獣を消炭にしていく。



「団長!魔獣の群はここまでです!」


「よし、戻って我々も結界内に残る魔獣の討伐に参戦する!」



中央付近に戻ると、皆ホッとした顔で戦闘中の騎士団員がこちらを見る。

すぐにグレンさんが、良く通る声で指示を飛ばす。



「サトミさんが結界を張った!これ以上魔獣は侵入してこない!

 まず、前線にいる魔獣を優先して討伐!取りこぼしは後方にまかせろ!

 俺は、先にそこの大群を焼き尽くす!100m後退しろ!

 レイは右側、サイラスは左側の指揮!

 サトミさんは、飛竜の打ち落としを優先で頼む!」


「はいっ!」



そこからは、流石最強の精鋭部隊。

息の合った戦闘で、あっという間だった。

次々黒い煙のように消え去っていく魔獣達。


それにしても、グレンさんの火魔法すごい…まるで業火だ。

強いとは聞いていたけど、人間業とは思えない。

確かに、あの近くにいたら、こっちもコンガリ焼けるな。


さらに火魔法使いながら、横から襲い掛かる魔獣を

片手で大剣を振り回して、叩き切っている。


かっこいいなぁ…

翻るマントさえ絵になる美丈夫。

そして、現場を一瞬で把握した統制と指揮が完璧だった。


私はグレンさんの勇姿に見惚れながら、

飛竜目がけて次々矢を打ち込み、見事に打ち落とした。



「よし、でかしたサトミさん!これでまた美味い唐揚げが食えるぞっ!」


「俺は飛竜南蛮がいい!」


「牙とか爪とか、高く売れる素材だからな~。外皮と骨も丈夫だし、

 この前のもあるから人数分の鎧でも作るか?」


「そうだ!お帰りなさい!団長、サトミさん!副団長、補佐!助かりました!」



皆んなの無事を確認して、私がホッとしていると、

彼らは元気に飛竜を解体し始めた。


急な襲撃だったが、とりあえず間に合って良かった…



「サトミさん!大丈夫か?怪我は…」


「グレンさん、大丈夫です。

 飛竜も無事打ち落として、お肉確保しました!」


「はははっ、君って人は流石だな。

 無事で良かった。…大方片づいたな。

 ありがとう、君の結界のお陰で随分戦い易かった」


「私はその為にいるんです。お礼なんて必要ないですよ。

 どんどん使ってください!それより、みんなが無事で良かったです」


「ああ…何とか間に合った…」


「団長!これ見てください!

 討伐を優先したので、こっちの報告が遅れて申し訳ありません」


「レイ?どうし…」



レイ副団長が、手に持っていた物を覗き込んだグレンさんは、

ギョッとしたように目を見開いた。



「…なぜ、これが、ここにあるんだ?」


「どうしたんですか?」



私も駆け寄って見に行く。


レイ副団長の手の中には黒い石があった。


南の辺境区の国境にあった、魔獣を発生させた原因。

あの暗黒力を付与された魔石だった。



「な、んで…」



私は、それだけ言うのが精一杯だった。



「まだ…あるかもしれない…」



その後、国境付近に魔石を探索に行く羽目になり、

疲れを癒す時間もないまま忙しく動き回った。

そして、合計10個の魔石を見つけだし、これも王都に提出する事となる。


途中で王都から増援で来た騎士団も合流して、

討伐後の後始末の手伝いをしてもらい、全て終わったのは夜中になった。



「くそ…失敗だ…あれだけ綿密に進めたのに……

 こんなに、あっさり押し戻されるとは……撤退する!

 おいっ、見つかる前に急げ!」


「だから、言っただろうが…こんな雑な作戦じゃ無理だって…」


「うるさい!一旦引く。次の指示を待つしかないだろう!」


「北の辺境騎士団を舐めすぎだ。

 彼奴等がどれだけ犠牲を出して、魔獣と死闘を繰り広げてきたと思っている?

 お偉方には、分からんだろうがな」


「予想外の奴らのせいだ…まさか襲撃に間に合うなんて…」


「あの幹部3人の戦闘能力がズバ抜けている…

 そして、あの女…忌み子の存在だ……

 あいつのせいで、南の魔石も排除された」


「おいおい、我らの伝承とは随分認識が違う存在のようだが?

 なんだあの巨大な結界と浄化は!まるで救世主じゃないか!

 どうなってる!」


「あの結界がなければ…もう少しで崩せそうだったのに…

 次は、あの女の排除が優先事項だ!

 今回は完全に惨敗だ。撤退する!早くしろ!」



長く艶やかな黒髪を靡かせて、まっすぐな正義感を映す澄んだ黒い瞳。

華奢な体に似合わず、あの膨大な魔力量。

そして、飛竜まで撃ち落とす弓矢の狙撃力も只者じゃない。


始末される前に、直接本人に会ってみたい。


そう頭を擡げた好奇心は止められず、

俺は自然とあの娘に足が向いていた。




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