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〈連載中〉飛竜落とし姫は振り向かない ~戦う聖女は騎士団所属~  作者: 米野雪子


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南の辺境からの魔獣討伐要請



「いつまで経っても慣れないなぁ…その太刀筋」


「あははっ。この世界で通用するとは思いませんでした」


「サトミさん、腕力あれば相当凄い剣士になるよ」


「でも残念ながら、しょせん女は物理的な腕力で負けするんですよ。

 私が剣術を鍛練するのは、男性や魔物に勝つ為じゃなくて、

 いざという時の回避手段や護身目的になるんですよね」


「でもさ、あっという間に低い姿勢で間合い詰めて突いてくるのは、

 何度喰らっても冷や汗ものだよ。

 俺達の大剣は1回の破壊力はデカイけど、大降りだから隙が出来やすい。

 サトミさん、動き早いから暗殺者に向いてるかもなぁ…」


「レイ副団長に、認めて貰うなんて光栄です♪」


「そういえば、週末グレンと出掛けたんだって?楽しかった?」


「えっ!あっはいっ!丁度豊穣祭があって…楽しかったです!」


「はははっ。そりゃ良かった。二人してブローチつけて帰ってくるから、

 団員が大騒ぎしてたよ?」


「え……あれって、何か意味があるんですか?確か大切な人に贈るって…」


「あれ?もしかして知らなかった?まあ、大切というか…

 主に、恋人同士とか夫婦間、家族とかで贈り合う物なんだよ」


「えっ!そうなんですか?」


「まあ、でも間違ってはいないんだろ?」


「…私としては、いつもお世話になりっぱなしで…

 少しでもお返ししたかったんですけど…」


「あいつは、サトミさんが笑ってくれるだけでいいと思うよ?」


「おはよう。2人で朝練か?」


「おう、おはよう。団長」


「お、おおおおはようございます!グレンさん」



今日は訓練だけだから、みんな軽装でいつもより体の線が出ていて

スタイルの良さが際立っている。

職業柄筋肉もついて、非常に男らしい引き締まった体は目の保養だった。



「…髪留め使ってくれてるんだな」


「えっ?はい!これ凄く可愛いですし、髪まとめるのに便利です!」


「そうか、それは良かった」


「ふふっ、素敵な物をありがとうございます」


「おーおー、朝から仲がよろしいことで」


「ちょっ、レイさん」


「団長!おはようございます!王宮から伝令鳥で、呼び出しかかってます!」


「おはようアレン。王宮から?」


「はい。魔獣討伐要請です。あ、ミス豊穣のサトミさん、おはようございます」


「ちょっと、アレンくん…」


「は?最近は魔物の出没はないはずだが?」


「こっちの北の辺境区ではなくて、真反対の南の辺境です。レイ副団長」


「管轄外じゃないか!なんでウチに要請がくるんだよ?

 南の辺境騎士団は、何をしてるんだ!」


「まあまあレイ。南は一番魔物の出現率が低い。

 だから、騎士の腕も素人に毛が生えてる程度だ。

 しかし、わざわざウチに要請してくるのはおかしいな。

 距離的に西か東に依頼すべきだろう」


「その詳細の為、登城して欲しいそうです」


「わかった…準備してくる。サイラスも同行する。伝えてくれ」


「はい!」


「…グレンさん」


「大丈夫。状況を聞きに行くだけだ。まだ決定じゃない」


「しかし、北に頼り過ぎだろ…ここが一番死人が出てるってのに…」


「そう言うなレイ。今日中には帰るが、留守を頼む」



…どういう状況なんだろう…

グレンさんが戻るまでは、騒がない方がいいだろうけど。



「少し平和に落ち着いたと思ったら、これか…」


「魔獣の出現場所が、変わってしまったんでしょうか?」


「ん~…そうだね。もしそうなら、部隊の区間入れ替えあるかもなぁ…」


「もしかして、私のせいですか?私がいるから魔獣が他へ移動して…」


「いや、違うと思うよ。

 もしそうなら、西か東にまず高確率で出没するはずだ。真逆ってのがね…」


「そっか、そうですよね…」


「まあ、団長が戻るまでは分からないから…

 調査としての派遣はあったけど…他の区の討伐要請は

 今まであまりなかったんだ。それが引っかかる。意図的のようで嫌な感じだ」



南の辺境の国境を管理している騎士団は、隣国とは同盟国で

関係は悪くないらしい。

隣国のリジア国の国境騎士団とも、共闘して魔獣を討伐していたらしく、

それでも、今までは手に負えない程の襲来はなかったという。

だから、意図的だとレイ副団長は憂いているのだ。


この世界は、命を脅かされる人間以外の存在が常に身近にいる。

平和な世界にいた私は、これに慣れるのは時間がかかりそうだと改めて思った。



「今日は、第10部隊の新人2人が護衛につくから」


「2人?多くない?」


「第9と10部隊は、新人のひよっこだらけだからねー。

 あと来週から、王都派遣の護衛も何名かくるよ」


「ええっ?更に護衛増えるの?」


「付き従うのは、今まで通り1、2人だよ。この塔自体の護衛だから安心して」


「…うん…」


「グレン団長が心配?」


「そうだね。みんなが危険な目に合うのが心配。

 職業柄国を守るための仕事だし、危険なのは仕方ないけど…

 やっぱり、あえて酷い目にあっては欲しくない」


「それは、サトミさんに対しても同じだよ。

 サトミさんって他人のために、自分を疎かにしそうだもん」



アレンくんにそう言われ、ドキリとする。

ステラ様との会話を聞いていたかのような物言いだ。

この子は幼い顔に似合わず、内面は大人で賢くて勘が鋭いんだった。



「だから、サトミさんも自分を大切にしてね。

 俺達の大事な女神なんだから」


「女神とかやめて…ほんとに…あっ、食堂で夕飯の支度しなきゃ」


「今日メニューなんだっけ?」


「かぼちゃスープにミートパイ、チキンあらため飛竜南蛮、

 デザートはベリータルトだよ!」


「やったー!」



その後、護衛騎士2名をぞろぞろ連れて食堂へご飯作りに行った。

食堂が開いて騎士団の皆が入ってきて、食事をトレーで配り始めた所で、

グレンさんも姿を現した。

笑顔で出迎えてトレーを渡すと彼も微笑んだ。

良かった…大丈夫そうだ。


後で正式に通達すると言われたが、カウンターで食事しながら

軽く教えてくれた。


原因が不明な為、調査という名目で半部隊づつ南と北で

一時的に入れ替えるそうだ。

そして、私にも同行をお願いされた。

私が居ることで、魔物出没率が変動するか試してみたいとの事。


真反対への国を跨いだ横断は、馬車で片道10日間かかる。

出発は1ヶ月後と正式な王命が下され、南の辺境区へ向かうこととなった。



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