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〈連載中〉飛竜落とし姫は振り向かない ~戦う聖女は騎士団所属~  作者: 米野雪子


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魔力分析と驚愕の事実



別室に案内されると、国王陛下はソファに座り、

その目の前のテーブルには私が持参して、

侍従さんに陛下に渡してとお願いして預けたサンドウィッチと

唐揚げが入った、バスケットが置いてあった。



「おお、よく来てくれた。待ちかねたぞ」



挨拶も早々に、ワクワクしてる陛下に私の料理の説明を求められた。

今まで見たことのない、具の組み合わせのサンドウィッチに陛下は興味津々。


毒味役の侍従が一口食べて、小さい声で微笑みながら美味しい…とつぶやき、

それを引ったくるように、陛下は口に入れた。



「うむっ!なんとっ…これは美味い!…」


「第一騎士団のお昼です。日替わりで食堂で提供してます」


「こんな美味い物を毎日食べているのか…お主らは…羨ましい」



夢中でモグモグしながら、食べている国王陛下に、

後ろに控えている、護衛騎士と侍従達はソワソワし始める。



「どれも美味いな…具材の組み合わせと味付けが絶妙だ。

 前の世界の料理なのだろうか?」


「そうですね。私独自の物もありますが、

 材料がこちらでは少し違うので、多少はアレンジしてます」


「なるほど……こっちは何だ?」



ほとんどのサンドウィッチの味見をして、飛竜の唐揚げに注目する。

横で陛下の食べ残しを毒味役の侍従が、

目を丸くしながら美味しそうに食べている。



「この間、討伐した飛竜の肉の唐揚げです。

 通常は鶏肉を使って調理するのですが、

 これもサトミさんの代替え案です。非常に美味いので、ぜひ。

 エールと最高に合う、騎士団員皆に大人気の料理です」


「ほお、これは飛竜の肉なのか?初めて食べるな…どれどれ…」



多目に作ったので、良ければと後ろの護衛騎士さんと侍従さんにも進めてみる。

いいのですか?と目をキラキラさせていて、何だか可愛い。



「おおっ!!何だこれは!肉がやわらかくジューシーで

 外がパリパリで…なんという美味!!いくらでも食べられるぞ!」


「…美味しい…こんなの初めて食べた…」


「今まで食べた事のない味付けだが、美味しい!肉に合ってる…」


「飛竜の肉ならば、大量にとれるし…

 こんなに美味く食べれて、凄く効率的だ…」


「たしかに、エールが進みそう…」



国王陛下の感想の後に、護衛騎士と侍従も口々に喜びの声をあげる。

良かった。口にあったみたい。

まあ、あれだけ騎士団員に絶賛されてるから、大丈夫だとは思ったけど。



「油で揚げているので、少しくどいと思ったときは、

 レモンを絞ってかけるとさっぱりとして食べやすくなります。

 さっきグレンさんより、説明がありましたが

 本来は鶏肉を使った調理法なのです。良ければレシピをお渡しします」


「そうか、是非頼む。宮廷料理人にも作らせよう。

 王子達にも、是非食べて欲しいからな」


「彼女はスープや、デザートも得意なのですよ。特にシュークリームやタルト、

 ロールケーキやプリン等、どれも団員達の好物です」


「なんと!菓子も作れるのか?また今度、持参してはくれまいか?」


「ええ、是非。またお持ちします」



王子という単語に少し、肩がピクリと揺れたが聞かなかった事にしよう。

この表彰式と懇親会で、王子を接触させるのではないかと警戒していたが、

そんな事はなく、自意識過剰だったかと少し安心した。

あれだけ拒否したから、流石にないか。

そんな風に和やかにしていると、ステラ師団長が再び入室してきた。



「これはこれは…食事会でしたか?」


「おお、ステラ師団長殿。騎士団食堂で美味いと噂のサトミ殿の料理だ。

 噂以上の美味であった。残念だが、そなたの分は無いがな」


「おや、それは残念です…私もご相伴したかった」



少ししょんばりした、ステラ様を横目に、

テーブルの上の空になったバスケットを片づけると、

紙の束がドサリと置かれた。



「これが、聖女サトミさんの魔力の詳細鑑定結果です」


「何だ、これは…」


「ええ、サトミさんには、魔力制御の仕方も我々が教えますが、

 物理的にも、制御した方がいいと思いまして…」


「ふむ…魔力制御の魔具を使うのか?」


「彼女が魔力制御をコントロール出来るまでは

 念のために、付けておいた方がいいかと…」



鑑定結果をパラパラと見ていた国王陛下とステラ様は、

私を呆然として見てくる。


何だろうこの既視感…


隣でグレンさんも見ているが、眉間に皺が寄っている。



「この国の命運は、もはや…そなたの良心にすがるしかないようだな」


「…え?」


「あなたの魔力は、神の領域に近い。我々では制御不可能です」


「私は、この魔力で何かを支配したり、壊したりなんて…望んでいません。

 騎士団の…魔獣の討伐とか、そういう守りに必要な時に使うべきだと

 考えています。それ以外は、私は普通に暮らしたいです」


「そなたは、そう言うと思っていたよ。相変わらず謙虚で欲がない」



やさしく微笑んだ、国王陛下の安心したような言葉にホッとする。

そして、これから私に王都からの護衛が、

辺境騎士団に派遣される具体的な説明があった。


魔物の襲来があった場合の討伐サポートや

瘴気で汚れた土地を浄化する必要がある時、

そして瘴気による重病人の治癒など、

私に聖女としての派遣要請が、ある旨も説明された。



「あなたの魔力は未知数です。

 これから我々も魔力制御の手伝いをさせていただきます。

 くれぐれも知らぬ人物や知人でも、一人きりでは対応しないでください」


「はい。分かりました」



来週から、魔法塔より講師も来るし、

この国の一般常識やマナーを学ぶ時間を与えられた。

いよいよ、私は聖女として役割を与えられ、この世界の住人となるべく前進する。

そう決意を新たにしていた所で、ステラ様が気になることを言った。



「サトミさんの出現した場所ですが…少し不可解なんです…」


「ああ、それも調査していたな。何か分かったか?」


「はい、魔力の痕跡を辿って、その付近に行ってみましたが、

 ガレリアとレガリアの両方の国境を跨ぐように…

 召還魔法陣の魔術の残留がありました」


「なん…だと?」


「人為的に…彼女は、この世界に召還されたのですか?」


「……え……」


「その可能性が大きいかと…」


「一体誰が……異世界より、人為的に召還するのは、

 自然の摂理に反すると禁止している筈だ。

 偶然何らかの事故で、稀人がこちらの世界に落ちてくる以外はありえない…」


「我が国ではな…」


「隣国レガリアは、違うのですか?」


「はい。禁止はされていません。ですが非常にリスクがあり、

 稀人を召還するには師団長クラスが魔力枯渇し、

 魔術師の10名の命と引き替えにする程の膨大な魔力が必要になります。

 しかも稀人の伝承は、隣国では真逆の意味に解釈されています」


「いい意味ではないと?」


「はい、厄災を招く忌み子と。

 サトミさんはガンウルフに追い立てられるように

 国境を越えてこちらに来ました。

 恐らく、我が国への攻撃にサトミさんは利用されたのではと…

 ガンウルフに対して恐怖にかられ、無意識に魔力を発動させてたかもしれない。

 魔力を制御できず、彼女のあの魔力量で魔力暴走が起これば…

 ガレリアは軽く半壊します。

 そして、その場所は我が国の北の辺境、最強部隊を確実に潰せる位置。

 意図的と考えた方が……自然かもしれません」



私は声を発せ無いほど、衝撃を受けた。

ぐらぐらと目の前が揺れる。



…確かに…そうかもしれない。

恐ろしさで訳も分からず、自分の身を守るために

魔力暴走を起こしても不思議ではない。

しかも、異世界の人間だから足もつかない。


私は、運良くグレンさん達に助けられ、今ここにいるだけなのだ。

一歩間違えれば、私がグレンさん達に害をなしていたかもしれない…


この国を破壊するために、悪意を持って、人為的に召還されたなんて…

そんな…そんな事って…




まるで人間兵器だ。




「…また…私のように、誰か異世界人が…召還されたら…」


「いえ、ありえないでしょう。召還するには代償が大きいのです。

 もし事実であれば、隣国の魔法塔の師団長は2年程の眠りに付いているはず。

 その間、魔力による国の防衛結界の力も落ちます。

 今回の事は、レガリアにも予想外だと思います。

 ガンウルフから逃げ延びて、しかも、この国の聖女として覚醒し、

 保護され迎え入れられているとは、想像しなかったはずです」


「…もし…私の存在を知ったら…」


「ええ、この間の光の柱といい、噂は知れ渡っていると考えたほうがいい。

 しかも、タイミング良く、レガリアの親善大使が国の交流を深める為、

 王子を留学させたいと遊学を求めてきました」


「これはまあ、分かりやすい。確認したいのだろうな」


「あからさま過ぎませんか?」


「逆手に取っているのでしょう。

 普通だったら、そんな後ろ暗い事をしていれば、

 大人しくしている筈だと考えますが、

 あえて、知らない不利で堂々と踏み込んできた。

 舐められたものです」


「確たる証拠もない今、もし、こちらが指摘すれば開き直って、

 我々が召還したのだから、サトミさんを返せと言われる可能性もある」


「そん、な…」


「だから、君は尚更王宮にいない方がいい。

 こういう輩が出入りするからね」



そう言って、グレンさんは不安でぐらつく、私の手をそっと握ってくれた。

国王陛下は、苦虫を噛んだような顔をしている。

私を王宮へ近づけさせない大義名分を立てて、牽制されてしまったのだから。



「それに、聖女の存在は表立って目立たせない方がいいでしょう?

 政治利用は勿論、羨望と嫉妬はどのみち厄介な感情です。

 それに興味を持つのは、隣国だけとは限りませんから」



グレンさんは、国王陛下に追い打ちのクギを思いっきり刺して、さらに牽制した。

何だかしょんぼり陛下が可哀想だったが、王族に関わりたくない私を思っての

ことだろう。


王宮に宿泊するように言われたが、着替えを持ってきてないというと

用意すると言われてしまうので、疲れたし慣れた場所で眠りたいからと

お断りして帰路に就くことにした。





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