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飛竜落とし姫は振り向かない ~戦う聖女は騎士団所属~  作者: 米野雪子


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知らない世界で粋なりピンチ



「うわあああっ‼︎ どいてどいてーっ‼︎」



川を目がけて崖から飛び降りた先には、まだ岸があり、

そこには馬に水を飲ませてる休憩中の騎士達がいた。

そのど真ん中に私は落ちてしまったのだ。



「…君…大丈夫か?なぜ崖から飛び降りてきたんだ?」


「あれ?痛くない…あっ!ごめんなさい!

 お、下ろしてください!私追われてて…」



お姫様だっこで受け止められていて、思わずジタバタする。

だ、誰?この人!凄い美丈夫!

目が綺麗なアイスシルバーで髪が黒じゃなくて…藍色⁉︎


顔が近すぎです無理です。

早く下ろしてくれ、放してくれ!



「追われてる?」


「目が4つあるオオカミみたいなっ…」


「団長!ガンウルフ接近!北東から5頭!」


「多分それです‼︎ 5頭いました!」


「危ないから、君は後ろに下がって。全員配置に付いて構えろ!」



彼等も臨戦態勢で剣を構え、私は解放された。

そして、私も片膝を突き弓を構える。


次の瞬間、私が飛び降りた崖から、

さっきのオオカミが飛び出してきた。


先頭の1頭に向かって矢を放つ。

丁度腹のど真ん中に命中した。

他の4頭は、あっという間に騎士の方々が始末してくれていた。

騎士さん達、体幹しっかりしてるなぁ…無駄のない太刀筋が格好いい。

しかも、あのオオカミ達はとどめを刺すと、

黒い霧のようにブワッと消えるのだ。


何これ…普通じゃない。


私は弓道サークルに所属している19歳の女子大生。

サークルの練習場が、校舎から離れた裏山の中腹にあり、

その移動中にいつの間にか知らない森の中に迷い込んでいた。

そして、あのオオカミとの鉢合わせである。

今まで裏山にオオカミなんて出たことなかった。

しかも目が4つもあるなんて度肝を抜かれて、とりあえず逃げた。



森の中を走って逃げていた途中で、

眼前に見えた川に飛び込もうと崖を飛び降りて

この騎士団の方達に出会ったのだ。


流石に、コスプレじゃないよね…

あの4つ目のオオカミだって、私の世界では見たことないし

呼び方違ったし…いろいろありえない…


これはもしかして…別の時代と国に来たのだろうか…


私は、そんな事を考えながら矢を回収に行った。

ここでは大事な武器になるかもしれないのだ。


足がガクガクする…ああ…そうか…

私…怖かったんだ。

逃げるのに必死で…忘れてた。



「君凄いな。弓矢が使えるのか。変わった形の弓だが…」


「あ…はい。ありがとうございました。助かりました」


「いや、魔獣の討伐は我々の仕事だからね。

 …それで、君はこんな山奥で何をしていたんだ?1人か?」



魔獣…?これは…益々イヤな予感…



「えーと…迷ったのは迷ったんですが…

 つかぬ事を伺いますが、ここは何処ですか?

 国の名前とか教えて欲しいんですが…」


「遭難したのか?そういえば…見たこと無い衣装だ。髪も目も黒いし…

 ここはガレリア国の北部の山奥で、隣国レガリア国との国境近くだ」



「……ガレ、リア?」



聞いたこともない国だ…どういう事?

ここ、地球でもないの?



「西暦何年ですか?」


「西暦?すまない。それは何だろう?」



嘘…通じない…



「では、日本という国はご存じですか?あるいはジャパンとか…」


「イ…オン?いや…聞いたことないな…」



嘘でしょ…別の時代と国どころか、別の世界に来ちゃったの?



「やはり遭難したのか。では、こちらで保護しよう。

 君のお陰でガンウルフも討伐できたことだし、遠慮は無用だ」


「えっ…いいんですか?」


「ああ、それも我々の仕事だ。他に荷物は?仲間はいるか?」


「私一人です。荷物もこれだけです」


「そうか。では、もうすぐ暗くなるから移動しよう。

 夜は魔獣が更に出てくるから危険だ。

 まだ聞きたいことはあるが、後は騎士塔についてからにしようか」


「はい…お手数おかけしますが、お世話になります。

 よろしくお願いします」



とりあえず親切な人で良かった…


あれ?私どうやって移動するんだろうと、立ち尽くしていたら、

近くに馬に乗ったさっきの美丈夫が来て、手を差し伸べる。

おずおずと手を出すと、ぐいっと凄い力で引っ張り上げられ、

馬の上に横向きにストンと乗せられた。

膝の上に乗せられ相乗り…そりゃそうか。

近いから、顔見ないようにしよう…



「馬は初めて?」


「はい。初めてです…」


「結構揺れるから、しっかり捕まって」


「はいっ…」



馬ってこんなに高いの?怖いんだが…落ちたら死ぬんじゃ…

彼の言う通り凄く揺れるし、早いし、落ちたくない一心で、

恥ずかしさなんてかなぐり捨てて、思わずガシッと

逞しい騎士様に両腕回してしがみついてしまった。


馬の揺れにも慣れてきた頃、私は安心感と疲れからか、

強い眠気に飲み込まれていった。



「団長、もうすぐ騎士塔です。……おや?」


「ああ、眠ってしまったな…疲れていたんだろう」


「隣国人ではないですね…その変わった衣裳…」


「そうだな。顔立ちも目と髪の色もこの辺の者じゃないだろう。

 何か事情があるのかもしれない。さっきも変に話しがかみ合わなかった」


「諜報員の訳ないですよね?この姿では目立ちすぎる…

 随分幼いし…14歳くらいでしょうか?可愛いなぁ」


「諜報員はありえないだろう。

 魔獣だらけの森から侵入するなんて、

 魔力持ちでも命がいくつあっても足りない。

 現に彼女は、我々が居なかったら死ぬところだった」


「そうですね…何とも謎が多い不思議な子です。

 変わった弓も持っていましたね。あんな大きなの始めてみました」


「あれで見事に1頭仕留めたからな。こんな若い娘が勇ましい事だ。

 手足に切り傷があるから、手当もしてあげなくては。

 しかし、異常に痩せているのが気になる。逃亡奴隷ではないと思うが…

 詳しい話は、彼女が起きてからだな」



ほとんど体重を感じない細い体。

抱き上げた時に、あまりの細さと軽さに内心動揺した。

だが、長いまっすぐな黒髪は艶やかで、衣服も綺麗で上等な作りだ。

酷い環境にいたようには見えない。一体何者なのだろう…この娘は。



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