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第1話   ゼログラビティ・チャウジャンプ

「わっせ、わっせ……」

 ”(´・∞・` )”



 夕方、商店街で買い物をしたボクは、走って家に帰ります。

 口にくわえたトートバッグの中には、安くしてもらった合い挽き肉。おつとめ品のエリンギ、厚揚げと食パン。プリン。



 エリンギ目当てで行ったのに、ついつい他のも買っちゃった。


 厚揚げはこの間知ったレシピを試してみたかったし、食パンはそろそろ無くなりそうだったから丁度いい。

 プリンは栄養剤です。薬です。



 とはいえ、走るのが苦手なボク。

 走ってるとは言いながら、小走りに近くて、姿は小走りでありながら実際の速度はまったくありません。

 



「ふーっ。着いたぁ」

 (´・∞・`;)


「おかえりー。また買い物? えらいねぇ」



 あ、大家さん。



 ボクの住んでいるマンションの大家さん。

 まだ若いのに、自分で建てたんだそう。


 管理人として毎日キレイに掃除もしてて、好感の持てる方。

 ご自身も、とてもキレイな方です。




 大家さんと別れてエレベーターまで行くと、ちょうど上の階から人が降りてきてスムーズに乗り込むことが出来ました。 



「………………」

 (`・∞・´ )



 ボタンを見上げるボク。


 ボタンの並び上、すこし……というか、結構高いところに押すべきボタンがあるんです。



「………………」

 (´ー∞ー` )


「……見えた……! 水の一滴(ひとしずく)ッ!」

 (`・∞・´  )


「ゼログラビティ・チャウジャンプ! やー!」

 \(`・∞・´ )/


「わー」 

 ”(´>∞<`;)”


「また、ダメだったの? ざんねん、ざんねん」



 どどしーん、と派手な音を立てて転がったボクのもとへ大家さんが駆け寄ります。



「はい、これでよし。次は届くといいね」



 代わりにボタンを押してくれた大家さんが、ボクの顔まわりをモフった後、手を振ってドアの外へ。


 大家さん、毎回、一回は黙って見ててくれるんです。

 いつかは、自分でボタンを押せる姿を見せたいな。




「チャーウチャーウチャッチャーウチャ、 レディフォーマイチャウ。

ばんざーい、ツマブぅキ、コウジはタマキぃ、チャウチャウチャーウ。チャウチャウチャーウ。チャーウチャー……あ、着いた」

 ”(´・∞・` )”



 鼻歌を歌いながら数字のランプを追っていると、ボクの住んでいる階に到着しました。 


 部屋の前まで行くと、



「おかえり、チャウ吉。またプリン買ってきたでしょ」



 この部屋の主、そしてボクの飼い主「センセー」がドアを開けてくれます。



「センセー、プリンは常備薬です。使ったら補充しないと。もしもの時に困るじゃないですか。ふんっ」

 (`・∞・´ )


「プリンは薬じゃないから。あと、使ってるのも、困るのもチャウ吉でしょ?」



 センセーは甘い物が苦手です。

 本当に人間なんでしょうか。

 

 毎日、にがくて泡まるけの黄色い水を飲んで喜んでいる変態です。

 もしかしたら、アンドロイドかもしれません。



「ぐるぶぅっ」


「ただいま、ニャーちゃん。今日も、ありがとね」

 ”(´・∞・` )



 我が家のもう一匹の家族、ネコの「ニャーちゃん」。


 ボクが帰ってくるのを察知して、毎回センセーに知らせてくれます。




「すぐ、ごはん作りますねー」

 ”(´・∞・` )”



 以前、センセーが作ってくれた台座に乗って、台所に立ちます。


 センセーは、ソファーにダイブしてゴロゴロ。


 ニャーちゃんは、お気に入りのクッションの上で香箱座りをしてウトウト。




 センセーは家事全般がダメで。

 おまけに極度の面倒くさがり屋で、食事にも気を遣いません。


 すでに調理されたものを食べてくれるぶんには、まだいいんですが――何もないと、何でも火を通さず食べようとするので危険なんです。


 この間、生米をボリボリやって(ボク)をドン引きさせるような人です。

 やはり、アンドロイドなのかもしれません。


 

 でも、別に食べること自体に興味がないというわけではないようで――



「チャウ吉ー。あたし、今日ポテトな気分」


「それ、朝も聞きました。だから今日はポテト使った料理にしますよー。ひき肉も買ってきたんで、ちょうどいいです」

 ”(´・∞・` )



 くし切りにしたジャガイモを、多めの油で揚げ焼きにして、肉団子も入れて。

 エリンギで食感にアクセントを。

 チーズをたっぷりのせて出来上がりです。


 味付けはシンプルに、塩(強め)・こしょうと、味〇素で甘味とうまみをプラス。


 おつまみにも、ぴったりです。



 ジャガイモは、あらかじめレンジにかけておくと、他の食材との火の通り時間のラグも解消されて楽チン。


 


「よし、今日はこれを試してみよう」

 (`・∞・´ )

 


 この前、教えてもらったレシピ。

 ひと口大に切った厚揚げに、小麦粉を薄く纏わせてプライパンで焼き、ソースとマヨ、かつおぶし、で「たこ焼き」に。


 たこの代わりに、小さく切ったウインナーをぶち込みます。



「センセー。今日はキャベツですかー? レタスですかー?」

 (´・∞ ・` )



 ちゃんと野菜も摂らせないと。

 センセーは野菜の好きキライはないので、ちょっと助かります。



「あー……『キャベツもりもり』な気分かも」


「四分の一ぐらい、いけますー?」

 (´・∞ ・` )


「いけるー」



 センセーは、キャベツとレタスは何もかけずモシャモシャ食べてしまう人です。



「トントン、トントン、日〇の二(トン)

 ”(´・∞・` )”



 キャベツを千切りするボク。



 ところで……。



「オキヅキ…ダロウカ……?」

 (´ ゜∞  ゜` )


 ボクとセンセーが普通に会話をしていることに。



 そう、ボクは人の言葉が話せる犬なのです。


 でも混乱を避けるために、センセー以外とは話さないようにしています。



 どうして話せるようになったかは、追々。


 だけど、そのついでにボクは人間の味覚と内蔵機能も手に入れてしまいました。

 「ひょんなことから」ってやつです。気にしてはいけません。



「これで味見をしても安全」

 ” (`・∞・´ )


「さっきから、誰と話してるの?」


「なんでもないです。できましたよー」

 \(´・∞・` )


「来た来たぁー。ビールっ、ビールっ」

 


 センセーは、今日も泡まるけ苦水(にがみず)を飲むようです。




 

「んまー。もうこれ『たこ焼き』じゃん。ちょっとトロっとしてる『たこ焼き』じゃん」


「ですね。小麦粉が効いてる感じがします」

 ”(´・∞・` )



 「厚揚げたこ焼き」は想像以上でびっくり。


 ソースとマヨの(ちから)、おそるべしです。



「んー……でも、ウインナーはウインナーだったね」


「たしかに。これは改良の余地ありですね。……変えるなら、何がいいかなぁ……」

 (´・∞・` )


「あれは? ……あのー……ほら、カリコリしたやつ。黄色とか白とかあって」


「なんですか? それ」

 (´・∞・`;)


「なんだっけ。うーんと……あー……大根のやつ」


「たくあん、ですか?」

 (´・∞・`;)


「そう、それ」


「コリコリし過ぎですよ」

 (´=∞=`;)


「じゃぁ~…………イカとか……!」


「それ、もう、たこ入れればいいじゃないですか」

 (´・∞・`;)


「たしかにカニカニ」



 それはそうと――



「肉団子、下味つけるの忘れました……」

 (´ー∞ー`;)


「あー、まぁ、たしかに『肉!』って感じだけど。でも、ポテト味強めだし、そんなに悪くないよ? バランスとれてるとは思う」


「でも、下味ついてたほうが絶対おいしいし……」

 (´ー∞ー`;)


「だいじょうぶだってば」


「えー……でも……。あぁぁ……今からじゃ直せないしなぁ……」

 (´=∞=`;)


「めんどくさい犬」


「なんだとぅ! このー! ローリングチャウキャノンボール!」

 ”(・∞・  )” まるーん!


「ぐわー! もふってる! ……だがっ!」


「わー!」

 ”(´>∞<` )”



 力およばす転がされるボク。



「なっちゃいない! 本当になっちゃいないぞ!」


「……くっ!」

 (´;∞;` )



 そんなこんなで、今日も一日が過ぎていきます。


 洗い物をして、センセーをお風呂に入れて、歯磨きさせて。


 酔っ払いをベッドに押し込んでから、ゆっくりプリンタイムです。


 

「効くぜ」

 (´=∞=`*)



 やはりプリンは薬です。


 

「明日は卵買いに行って……あ、たしかカップ麺も安かったはず……」

 (´ー∞ー` )



 明日の買い物の予定を立てながら、ボク用ベッドで眠ります。


 明日はエレベーターのボタン、届くといいな。




顔文字ついてるので((´・∞・` )こんなん)、縦読み表示だと「なんじゃもんじゃ(´゜∞゜`;)」だとは思いますが、お付き合い頂けたらうれしいです(´・∞・`;)面目なーい

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