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主人公に憧れたモブ  作者: グレンリアスター
第1章
5/6

初の戦闘

 今日も俺は森の中でスキルの鍛錬をしていた。

 だけど今の俺はまだ五歳児。

 子供だ。

 だから少し鍛錬をするだけですぐに疲れる。

 けれど主人公になるために俺は鍛錬を続ける。


「やぁ!たぁ!」


 俺は【機械化】の能力で左腕を剣に変形させ、振るっていた。

 初めてやった時と比べると、たいぶ成長している。

 ただ剣で戦うよりも拳で戦った方が楽だ。

 だからボクシングや空手の動画を見て、格闘術を学んでいる。


「ふぅ……こんなものかな」


 スキル【機械化】を解除し、元の姿に戻った俺はタオルで顔に浮かんだ汗を拭く。

 今日は疲れたな~。少し休むか。

 俺が大きな石の上に座ろうとした時、


「グルルルルル」


 獣の唸り声のようなものが聞こえた。

 声が聞こえた方向に視線を向けると、そこには四足歩行で立っている不気味な生物が立っていた。

 大型犬ぐらいの大きさで、足から鋭い爪を生やしている。

 全身黒い鱗に覆われており、瞳をギョロギョロと動かしていた。


「ドラゴン!なんでこんなところに!」


 ドラゴン。地球とは別の世界からやってくる地球外生命体。

 知能はなく、人の血肉を好んで食べる化物。


「やばい……逃げないと!」


 俺は逃げようとして……足を止める。


 逃げてどうする。

 主人公になるんだろう。

 ここで逃げたら……俺はきっと後悔する。

 俺がなりたい主人公は……どんな敵だろうと逃げないで、戦うやつだ。

 だから……逃げるな!


「覚悟を決めるか」


 俺は肉体を機械化させ、左腕を剣に変形させた。

 ドラゴンは俺を睨みつけ、ゆっくり近づく。

 そして、


「ガァ!!」


 鋭い爪を振るった。

 俺は左腕の剣で爪を弾く。

 金属音が鳴り響き、火花が飛び散る。


「グアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 ドラゴンは爪を何度も振るう。

 俺はなんとか剣で防ぐが、力が強すぎて後ろに下がってしまう。

 

 クソッ!このドラゴン……強い!

 だけど!!


「俺だって!」


 俺は爪撃を躱し、剣でドラゴンの顔を切り裂いた。


「グアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 顔に傷を受け、ドラゴンは血を流しながら悲鳴を上げる。


「今だ!」


 俺は剣をドラゴンの胸に突き刺した。

 青い血が刺した場所から噴き出し、俺の顔や服を青く染める。

 ドラゴンは口からゴポッと血を吐き、痙攣した。

 そしてドラゴンは両目から光を失い、地面に倒れる。


「た…倒せた」


 はぁ…はぁ……と荒い息を漏らしながら俺は地面に座り込む。

 はぁ~……マジで疲れた~……戦闘ってこんなに大変なんだ。

 でも、


「倒すことは……できた」


 俺は初めての戦闘で勝利できた。

 疲れたというより、嬉しいという感じが大きい。

 だけどまだまだ鍛錬は必要だな。

 主人公になるには……まだ遠い。


「今日は帰ろっかな」


 俺は森を出て、家に帰った。

 その後、ドラゴンの血を浴びた俺を母ちゃんがとても怒り、父ちゃんがとても心配したのは言うまでもない。


 

 

 

 読んでくれてありがとうございます。

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