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幼少期
澄子は戦後すぐ生まれた。
海の見える田舎に産まれた。
4人兄弟の2番目。
姉、澄子、弟2人の4人。
姉は出来が良く、親の自慢の子供だった。
澄子は頭が良くも悪くもなく、運動は得意だった。
しかし、親は姉ばかり優遇し、澄子ばかり家の手伝いをさせた。
それでも、澄子は親といられ、母親の喜ぶ顔が嬉しくて、どんなに寒い日も、井戸の水で手を真っ赤にしながら、洗い終わった洗濯物を運んだりと手伝いに勤しんだ。
夏休みと、冬休みは朝の五時からバイトに行った。
澄子の家は、裕福ではなかった。
父親は体が弱く働けず、母親が働く。母の稼ぎでは8人は養えない。だから、澄子は働いて助ける。
それが、澄子の喜びになった。