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・目的地であるショッピングセンター・


目的地に着き買い物を済ませていよいよ帰路につこうとしていた。

「は〜...無事に買えました...

でも、流石に荷物が重過ぎます...これは危ないで...きゃぁっ!」

予想通り模造紙含め、借りた紙袋を盛大に落としそうになった。

勿論、雪子も転ぶ寸前である。

『あ、お借りしたものが...!』

色々間に合わない。そう思った瞬間───

「おっと!」

「〜!!!

......あ、あれ?」

痛くない。そして、物を落とした音もしない。

頭の中で疑問符が巡っていると声が落ちてきた。

「こんなに沢山荷物を抱えて...自分のキャパ分かってんのか?」

甘く伸びやかな声とは裏腹に、言葉には棘を感じた。そんな声の方を振り返ると、目に飛び込んできたのは...

「あの...えっと...」

セットしているのか自然に任せているのかわからない不規則な、それでも一本一本がとても細く人形のような綺麗な...朱色の髪。

宝石のアクアマリンをはめ込んだかのように美しく陽光が屈折してキラキラと輝く瞳を持った、まだ幼さが少し残っているであろう美少年がこちらを見ていた。それもかなりの至近距離で。

『太陽...みたいです...』

思わず見惚れてしまい、お礼を紡ごうとしてるのに緊張と突然の出来事に言葉が出なくて口ごもっていると

「あれ?助けてやったはずなのに礼も無しか?それとも口がきけないのか?

...もしくはこのオレに見惚れていた...とかか!?ま!どれにしろ良くねぇが!でも最後のは悪くないな!むしろ良い心地だぜ!」

「はう...えと、口はきけます...すみません助けて頂きありがとうございます...!」

「ん?本当だ!きけるじゃねぇか!んで、礼もちゃんと言えたな!やったな!オレが独り言を言ってる寂しい奴になっちまうとこだったじゃねぇか!」

会話になってるのかなってないのか、はたまた噛み合ってるのか噛み合ってないのか。

ズレを感じながらも雪子ははてなを浮かべながら半分放心してしまっていた。

「...ところで、いい加減オレもこの体勢が辛いんだけど、もう一人で立てるよな?」

その一言で、我に返った。

「...はう!?」

そう、雪子は転びそうになっていた所を抱きかかえられたままで静止していたのだ。

それも、彼の腕の中にすっぽりと。

側から見るとほとんど後ろ抱き状態である。

「す、すみません!今すぐ体制を整えます!(どうりでお顔が近いと思いました...///)」

「おっと!急に動くなよ!だが、オレは優しいから気にしないぜ?んで直ぐにお前の荷物を渡してやるよ!ほら、どーぞ☆」

「ありがとうございまs...わぁっ!」

「おっと、折角オレが落とさないでいたのに結局落としちまったな?」

「すみません...親切を無駄にしてしまいました......」

雪子はしょんぼりしながら結局ばら撒いてしまった紙袋の中身を拾おうとしていた

「...ん?」

美少年は落とした一部である雑誌を手に取った。

「あ...」

「お前はこれを運んでたのか。ふ〜ん、お前はAKABOSHI(アカボシ)が好きなんだな!こいつは良い心地だぜ!!!」

美少年が雑誌を持って大げさに、嬉しそうに両手を広げた。

「あなたもあか...ぼしをご存知なんですね

やっぱり知らない私はおかしいんですね...」

「あれ?オレが思ったのと違う反応だな?

う〜ん...まぁ、オレが助けた時に「そういう」反応を示さなかったから変だとは思ったんだがな...

地方ではあるがホームの筈だし...」

「すみません...アイドルという存在...いえ、言葉の意味は分かるんですけど、私には実際には全く分からない未知の存在...なんです」

「未知の存在...ね...」

「貸して下さった方も勉強した方が良い...そう言って貸して下さったんです...

きっと私があまりにも知らな過ぎて...私が世間に置いてかれないように...きっと...」

「ふ〜ん...ま、お前に対してその子がどう思おうと、ましてはお前がなんと思おうと、そんなのはオレにはまっっったく関係ないけどな!」

「...!あはは...私にここまで正直に物事を言ってくれる人初めてです、それも初対面で...

ふふ、新鮮で少し嬉しいです」

この美少年は貸してくれた子になんとなく似てるかもしれない...そんなことを思っていると

「なあ、AKABOSHIの事をこの雑誌やブルーレイを見ただけで全部知った事になると思うか?」

「...え?」

「この雑誌のAKABOSHIの特集ページ見てみると綺羅の事ばっかり載ってんだよ...出版社はどこだよ!?オレのことが全然載ってねぇじゃねぇか!」

「オレの...こと......?」

「そしてブルーレイ!これ酷いんだぜ?オレが格好良く歌って踊ったシーン殆ど綺羅にすげ替えられてるんだぜ?表紙なんか9割綺羅で占められてるしよ!?」

「歌...踊る.........???」

「だから、こんなのは全然AKABOSHIじゃないんだよ!...お前、ここまで言ってもまだわからないか?」

ここまで言っても。

妙に引っかかる言葉と共にあるページが開かれた雑誌を差し出された

『【特集】AKABOSHI4人を徹底紹介』

そこに目を通すと4人の世間一般的に言えばイケメン、且つ個性が溢れる美少年たちが掲載されていた。

読み進めていると目を疑う光景を目の当たりにしてた事に気づいた。

「...大星(おおぼし)......カイ......さん.........?」

そう、雑誌に掲載されている「AKABOSHI」が「アイドル」が目の前にいるのだ。

大星 カイと呼ばれる美少年はにっと笑いながら

「やっっっとオレの事が分かったか!!鈍感かつ物分りが悪すぎる1等賞をくれてやるぜ!!!」

雪子は、今起きている現象を理解出来かねていた。

「オレは優しいから自己紹介してやるよ!

オレは大星カイ。エフェクトプロ所属のグループ「AKABOSHI」のセンターとしてアイドルをしてる、よろしくなっ!」

大星カイと名乗る美少年は高らかに自分を鼓舞するかのように自己紹介をした。

「わ、私は音無雪子です...!歩鳥山(ほとりやま)高校に籍を置いてます」

「雪子...って言うのか!よろしくなっ!ところで雪子、改めて聞くがお前は雑誌やブルーレイだけでオレたちAKABOSHIを知った事になると思うか?」

「......

そういわれると...ならない...ですかね?」

「おうおう!その通りだ!理解が早くて助かるぜ!んじゃ、早速行くか!」

そう言ってカイは雪子の手を引っ張り歩み出した。

「ふえ!?い、行くってどこにですか?」

「決まってるだろ?」

「?」

「オレたちAKABOSHIはこれからある場所でライブをする予定なんだ、無知なお前に見て欲しいと思ってな!」

「ラ...イブ...???」

「そう、ライブだ!歌って踊ってお前たちを、楽しませて笑顔にさせてやるのがオレたちアイドルだ!」

「楽しませて...笑顔に...」

カイは妖艶な笑みを浮かべながら雪子に語りかけた

「んじゃま、オレだけを見てろよ?───」


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