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転生魔術師の覇道譚  作者: 蒼翔ユウキ
第二章~インテグラリッシュ王国編~
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第41話~感情~

 それからエクスパンドライズに戻った一向であったが、陽介はマリアーノの部屋を訪れていた。


 「神官。無事仲間の仇をとることができました。ですが本当にこれでよかったのでしょうか...。一応ハピダルも神官の戦友であると伺ってますし、俺がしたことは間違っていないのかなって...。」

 「何も心配することはないわ。貴方は何も間違ってない。私も私なりに一つのけじめをつけられてよかったんじゃないかしら。それに私が大切に想ってるのはハピダルじゃなく貴方たちエクスパンドライズの仲間だわ。今の私はみんながいたからあるし、みんながいなかったら今の私はどこにもいないわ。だから貴方は何も気負わなくていい。むしろ仲間のために戦った自分を誇りに思うべきよ。」

 「あ、ありがとうございます...。俺、今まで関係のある人を殺めるなんてしてこなかったからどちらかというと戦いに勝ったことに対する快感というか...。その殺しについて相手の気持ちなんて考えてもこなかったというか...。この世界に来てからは殺しも一つの快感のように思えてきてたんですが、ハピダルを倒し、いなくなったということを実感すると少し気持ちが大人になったというのか...。今までのような快楽を味わうというよりかは心の底のところに少し穴が空いたような...。」

 「一応陽介も関わりがある人物だからねぇ...。でもハピダルも言っていたじゃない。自分の正義の為なら手段を選ばない。彼の正義が世界征服だとしたら貴方の正義は何?意味のない戦いじゃないって証明できる心に誓った思いって何?今はもう終わってしまったから感じてなくてもきっとあの時は心のどこかで感じていたはずよ。」


 ー 俺の正義...。きっと今とはまた違う感情で動いていたと思うけどきっと何か感じていたんだろうか...。怒り、誓い、責任。俺は何に動かされていたんだろうか...。そしてこの心に空いた穴のような感覚は何の感情なのか...。虚無、後悔、罪悪感、あるいは何だろうか...。


 陽介はハピダルを殺めたことに対して今まで感じなかったような感情が露見し、自分の行動の真意を見つけるために一人考え込んでしまう。

 陽介にとってハピダルとはどのような存在なのか。

 ハピダルはマリアーノの旧友且つ戦友であり好敵手。

 春香未来にとっては自分を呼び出した師なる者。

 自分にとってどのような存在の人物であるかを考えていると陽介は頭を抱え込んで床に突っ伏してしまった。


 “ああ神よ、彼の殺しについての許しを。佐藤陽介は此処エクスパンドライズの誇りであり教会の責務を全うしただけであります。我々の亡くなった仲間の心を救ったのも彼の戦いからでしょう。”


 そのような声がしたのは教会の方であった。

 そこには修道服に身を包んだマリアーノと大量のシスターの姿があった。

 神聖で厳かな空間で行われていたのは“祈り”であり、戦によって亡くなった全ての人への祈りとそれに関わった人全ての許しを請うためのものであった。


 神に祈りを捧げ、願い請う。

 そんな様子を見ると今まで見てこなかったような教会としての意味を感じ取れる。

 入口の大聖堂で行われるこの祈りは日常的にやっている朝礼や終礼とは異なり、神に報告をし、それに対し報いを得るための祈りである。

 しかしそれは決して知られることはない教会関係者でも祈り請うものしか知らないという。

 この行為を明らかにしない理由というのが戦うものは戦いに専念しなければならないという背景がある。

 それは、戦闘員に戦いというストレス以外のストレスをかけさせないためというものが一番強いという。

 すべてを背負うマリアーノならではの配慮であり責任なのかもしれない。


 「春香ちゃん...。ごめんね...。私の指示でハピダルがあんなんになっちゃって...。」

 「マリアーノ様、顔を上げてください。私の心は既にここにあります。ハピダル様は私の召喚主であり師でした。ですが長い間、召喚者として抗えない洗脳に悩んでいました。でもそれから解放してくれたのはマリアーノ様であり、それからマリアーノ様に忠誠を誓っています。だから私は心配しないでください...。」

 「でも陽介がすごく心配していたわ...。彼も彼なりに貴女のことを思ってたんじゃないかしら。でも陽介のことはもう心配いらないわ。ただ気にしてたよって話で...。」

 「陽介が...。また少しお話が必要ですね...。私のことは本当に心配いらないんで大丈夫です。それより早く次のステップに進みたい思いでいっぱいなんでまた稽古つけてください。」


 春香は想像以上に吹っ切れた表情をしており、常に先を見据えた未来の話をしていた。

 本心は分からないが、春香未来という人物がどれだけの修羅場を潜り抜け、どれだけの経験をしたかが分かるような感じであった。


 「陽介。ちょっといい...?マリアーノ様から陽介が私の心配してたって聞いてさ...。」

 「は、はい...。俺がハピダルを殺したからもしそれで何か抱えているとかだとしたらそれは俺にも責任がって...。」

 「責任ねぇ...。ならどうとってくれるのかな...?」

 「えっ...。...。俺にできることなら...なんでも...。」

 「なんでもねぇ...。それなら一生私のために尽くしてもらおうかしら...?」

 「えっ...あ...。あ~そういえばリーダーに呼ばれてるんだった...、あぁ~...。」

 「ちょっ、陽介逃げるな~!!」


 ー でも陽介があんまり引きずってないようで良かったのかもしれないわね...。私のように師を欺くことを覚悟して臨んだ戦いじゃないだろうに、きっとそれもあの子の正義と心の強さなのね...。


 こうしてインテグラリッシュ王国は国王不在となったためフロストウィングを中心とした新しい国家が誕生し、エクスパンドライズの傘下となった。

 エクスパンドライズが今回負った傷の多くは仲間の死。

 実にエクスパンドライズの人口の五分の一もの人が亡くなった。

 発端となった奇襲はインテグラリッシュ王国によって計画されたものではなく突発的なものであり、かなり短時間で幕を下ろした戦いとなった。


 「怒り、悲しみ、苦しみ、憎しみ、恨み、妬み、不安などの負の感情が蔓延るこの世界ではどうしても人のネガティブなところが露わになりやすい。それは幸福の感点は人それぞれであるけど、負の感情は誰もが似たような物事で感じるの。戦を引き起こすのは人の怒りや憎しみ、恨みや妬みが形になったものだし、それはどの世界においても共通の感情だわ。どんな事象にも必ずついてまわるものが感情だし、人間はその中でも負の感情を感じやすい生き物なのよ...。まだみんなには教えてないけど陽介がハピダルを倒すまでの魔術を発動できたのはイメージしてるときに怒りと恨みって言う二つの感情が入り混じっていたのよ。それが結果的に力を生み原動力を与える。人間の成長力ってそりゃもちろん向上心みたいなさ、前向きな感情もあるけどそれ以上に私は負の感情を払拭しようって思う力が引き起こしていると思うの。もちろん技術的なところも精神的なところもだわ。私も精神攻撃が中心の魔術師ならこういう所もちゃんと抑えておかなきゃだわ...。」

第二章最終話長らくお待たせしました。

ご覧いただきありがとうございます。

こちらの作品は不定期更新となっております。

また作者の語彙力のなさなど思うところはたくさんあるかもしれませんが、温かく見守っていただけると幸いです。

また、本作品はTwitterでの投稿告知を行っておりますので是非「転生魔術師の覇道譚」(@tenseimajutsusi)で検索していただけると助かります。

今後ともよろしくお願いします。


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