第39話~いざ、勝負~
「マリアーノ様は本当のところどのような仕組みで成り立っているとお考えですか...。」
「私はさっき言った通りの説で間違いはないと思うわ。光を屈折させて次元を歪曲させる。彼ならそれくらいやりかねないわ。ただ攻撃してきたのは意外ね...。」
「私もそれが引っ掛かってて...。周囲の光の操作とともに並行して攻撃はできるものなのかってところで...。」
「いや、理論的にはできないわ。周囲のものに干渉する際はそれにかかる力の方向は自身から見て放出方向ではあるからそれの応用って言えばできなくもないけどその時には必ず力の方向は一転に集中するわ。つまり攻撃をしてくるときには姿を現すはずよ。」
「なるほど...。でもそれだとどうして上から攻撃が降ってきたのでしょうか...。ハピダル様は空を飛ぶことは不可能。つまり上にいるとしたらそれは何かの上に立っていることになります。でも土台のようなものはどこにも...。」
「それはそれ自体を隠しているからよ。彼は私と同じ魔法の神官。光と闇の両魔術は全属性の中でもトップクラスの応用の幅をもつわ。つまり使い方次第ではなんでもできるってわけ。だから私は攻撃参加できたり精神攻撃を仕掛けられたり、さっきみたいに人探しまでできたりするの。それに私だっで陰のあるところでは姿を消すことだってできるわ~。」
「だからって何もかもを見えなくするのは...。」
「彼の魔術ならできるわ。さっきの攻撃、少し火力が弱かったでしょ。いくら首長になるときに攻撃能力が低下するからとは言っても地面に何も痕が残らないなんて言うのはおかしいわ。」
「それはつまり光を屈折させながらこちら側に光を集めて撃ったということでしょうか...。」
「そう言うことだわ。こちらから一発高火力をお見舞いすれば反射に使うエネルギーも大きくなるから必ず姿を現すわ。」
「なら私が...」
「いや、陽介!上に何発か火力の高い魔術を撃って。」
「神官の仰せのままに。」
そうすると陽介は上空にエネルギー弾を三発撃ち込んだ。
すると三発目が見事に的中したが、そこに現れたのはジッパーのような空間の切れ目であった。
そこには鍵のようなものが付いていた。
「ジッパー...なのかしら...。」
「マリアーノ様、あれは...。」
「恐らくハピダル自身が創り出した特殊な隔離された空間よ。私たち特殊属性(光と闇)の最大の特徴がそれを創り出せる能力よ。正直意味の分からない話だと思うけど四原則と言われる春香ちゃんやエリス、イザベラには生成できないわ。」
「隔離された空間...?神官、それは俺にも...。」
「えぇ、もちろん陽介には可能だわ。ただまだその領域まで達していないだけよ。」
「んで、どういうものなんですか...。」
「陽介でも分かるように説明すると隔離された空間って言うのは外からは干渉できないパーソナルスペースのことよ。ただその空間に入り込む唯一の方法があるわ。それは”キー”よ。そのキーはその空間の支配者が自由に決めることができる。だからそれを突破するのは極めて難しいという意味も込めて完全個人空間って揶揄やれることもあるわ。」
「つまりそのキーを探せばいいということでしょうか...。」
「恭介、正解よ。ただそのキーは必ずしも鍵ではないの。それに適した何かでも突破することができるわ。」
「なら答えは簡単に見つかりそうですね。マリアーノ様、ハピダルの狙いはどのように予想されていましたか?」
「ハピダルは私たちをここに誘き寄せることが目的だわ。」
「ですが最終目標は...。」
「陽介の強奪...。つまり陽介が”キー”の可能性ってことかしら...。」
「えぇ、私はそう考えますわ。ですがもう一つ可能性が。それは先ほどマリアーノ様が語られたようにハピダルは目的の為なら手段を択ばない。我々を殺してでも陽介を...って。私かマリアーノ様がキーの可能性も捨てきれません。」
「そのキーの可能性...。神官、一度俺にやらせてください。あの人が俺の存在を必要としているならそのキーとやらも恐らく自分でしょう。だからと言って俺はハピダルについていくわけでもないしこのみんなで苦楽を共にするって決めてるんで。」
「それでキーが解けたら完全個人空間はどうなるんでしょうか...。」
「消えるわ。そのキーがそこに干渉した瞬間に消える。けれどあっちからはこちらの様子が見えるようになってるからすぐの攻撃が来る可能性があるから注意が必要ね...。それに全力の魔術を当てなくてもキーとして認識されるわ。陽介、頼んだわよ。」
ー 頼まれたとしても完全個人空間は上空にある。
ー 射程の長い魔術を放てばその後もハピダルとある程度の距離を保ったまま会敵できるけどそれではスピードで劣る。
「なら方法はただ一つのみだよな...。」
陽介はそうつぶやくと瞬間移動で空間があるであろう場所まで移動し光電の剣を右手に携えた。
陽介が近づいた先には予想通り完全個人空間が存在していた。
能力によって創り出す空間のため寄って肉眼で見ると多少の空間のズレが生じている。
陽介はまるでフェンシングのような構えから右手に携えた光電の剣で一突きしてみせた。
すると目の前にはハピダルと拘束された柊碧依の姿があった。
陽介は一瞬の隙を突き、柊の拘束を光電の剣で破壊し瞬間移動によって奪還を成功した。
「あ、ありがとう陽介...。」
「今は感謝なんかいいから...。ハピダルをみんなで倒す。それに力を貸してくれ...。」
柊を奪還し地上へと戻りマリアーノらと合流した。
「これで揃ったわね...。ハピダルをここで倒す。数的有利ではあるけど相手は私と同じくらいのレベルの能力者よ。もちろん私も攻撃に参加するけど陽介、エリス、イザベラの三人を中心に攻める。恭介と柊は後方支援を任せるわ。春香ちゃんは...。」
「ハピダルの首は私が落とします...。それは私の、自分としての一つのけじめをここでつけるために...。」
「分かったわ。ならば好機が来るまで私と一緒に後方からの攻撃支援といきましょうか...。難しい戦いになるかもしれないけれど一番大切なのは自分の命よ。捨て身の覚悟でここに立ってるかと思うけど本当に死んじゃいけない。みんな一人ひとりの命がエクスパンドライズの財産で決して欠けてはいけない大切な存在よ...。必ず生きて帰ってきてちょうだい...。」
「俺たちは後ろを信じて前向いて進むだけです。信頼してるから背中を預けられる。必ず生きて帰る...。」
そういうと陽介は空中で浮かんでいるハピダルの元へ飛んで行った。
「とうとうここまで来たか小僧が...。」
「あぁ、貴様を倒すためにな...。」
「貴様は春香に修行つけてきたときからなんも変わっとらんのぉ。少し魔術的に成長しただけではないか...。」
「それはそうかもしれないな...。でもよ、たくさんの仲間が死んで、大切な人が攫われて、そんなんで燃えないわけがねぇんだよ...。」
「でも燃えたところで何もお変わらないんじゃろ?貴様は良くも悪くも妾と似た能力をしている。貴様にできないことを妾はできる。双方技術者だから少しは期待していたものの所詮ただの転生者。妾の相手には千年早いわい。」
「何言われても俺は気にしないけどよ...。今の俺は一人じゃない。一緒に前線で戦うエリスにイザベラがいる。いろんな面でサポートしてくれるリーダーがいて柊がいる。魔法の神官がいる。そしてお前とのけじめをつけに来た春香さんがいる...。みんなすごくて信頼できる俺の仲間だ。」
「何を言いおるか、この小僧が。妾の前に数など関係ない。妾は妾の野望のために殺す。それは敵だろうと味方だろうと大切な人であろうと関係などない。覚悟はできているのか、佐藤陽介。」
「覚悟はここに来る前にはできている。同系統の能力者の中でもトップクラスの存在と手合わせできること、光栄に思うよ...。」
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