第38話~奪還作戦~
約一カ月ぶりの更新となりました。
大変お待たせして申し訳ありません。
私事ながらテストや年末年始、成人式等に一区切りついたのでまた投稿頻度を上げていけたらなと思っています。
また楽しみにしていてください。
「どうじゃろうか...。今頃貴様を探してあいつらは動き出してる頃じゃろうな...。貴様、柊よ。なぜ妾が貴様を攫えと命じたか分かるか?」
「そんな事どうだっていいわ...。早くここから出しなさい!!」
「おぉ...。反抗的な女子も妾の好みじゃのぉ。でも答えないと...。貴様の想い人がどうなっても知らないぞ...。」
「...。分かったわ...。それは、陽介を誘き寄せるためよ...ね...。」
「それもあるがこの作戦の本質はそうではない。貴様で誘い連中を一網打尽にするのだ。もちろん貴様も同様だ...。」
「それじゃあ春香さんまで...。」
「あぁ当然だ。あいつもここを出ていった以上もう妾の配下ではない。妾が本当に欲しい配下の条件は信頼に値するか否かだ。裏切った以上あいつにも命はない。」
見張りもいない二人きりの空間は、実はハピダルにより創り出された隔離された空間であり、通常外部からの直接的な干渉は難しい。
そのような空間にただ二人、凄まじい緊張が走っていた。
隔離された空間に立ち入るには、場所を探し出すことに加えて、空間内に侵入するためのトリガーが必要となる。
仮に場所を探し出したとしてもトリガーがないとその空間には干渉できないのが最大の特徴だ。
「妾がこの異空間を創り出したのには訳がある。一つはどこかに隠すとしても春香には全てお見通しだ。そしてマリアーノの探知魔術にも簡単に見つかってしまう。そしてもう一つはこの空間のトリガーは佐藤陽介だ。」
「それってどういう...。」
「簡単なことさ。あの小僧の何かがここに当たった時、この空間は開放される。そしてそれと同時にやつを捕獲する。それに貴様がいないとエクスパンドライズもなかなか苦戦しているようじゃ。ほれ、下を見てみろ。」
ー 流石にあの程度の軍勢は倒されたか...。
「貴様を頑張って探してるぞ。どうせこんな場所見つかりやしない。貴様は攻撃魔術を使えないただの回復術師だ。反抗なんてできやしないよなぁ!上からお見舞いするぜぇ破壊光線。」
「みんな避けてぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「声が聞こえる...?」
ーズドォォォォォォン
大きな音とともに一向の前に破壊光線は落ちた。
「上ね...。陽介、エリス、イザベラ。貴方たちは敵襲に備えておきなさい。またいつ来るかわからないわ。それにこの威力にこの技、恐らくハピダルが近くにいるわ。」
「マリアーノ様のおっしゃる通りですわ...。この魔術はハピダル様によって撃たれたもので間違いないでしょう。ただ上には邪魔となる木々は一つもない。だとしたらどこから...。」
「分からないけどとりあえずここら辺にいるってことは分かってるわ。それは私の闇の碧眼も証明しているわ。恭介、念のため結界を張っておいて。」
「了解いたしました。上空にいるとしたらハピダルは雲の上まで登って行ったのでしょうか...。」
「いや、それはないと思うんです。俺には微かになんですけど柊っぽい声があの魔術が地面に刺さる前に聞こえたような気がするんです...。」
「私には聞こえなかったけどもし陽介の言ってることが本当ならそこまで高い位置にはいないようですね...。しかしマリアーノ様。このような場所で姿を隠すことってできるのでしょうか...。いくら大魔術師:アブドゥル=ハピダルだとしてもこんな開けた場所で姿を完全に消すなんて...。」
「それは正直私にも分からないわ...。けど彼ならできないようなことじゃないかもしれないわ。彼は陽介と同じ光属性の魔術師。つまり自身の周囲の光をコントロールすることができるわ。」
「俺と同じ...。つまりそれはどういう...。」
「目でものを識別できるのは光が反射してそれが網膜に投影されるからだわ。つまり周囲の光を意図的に屈折させて空間の歪みを現出させてるってこと。分かりやすいように説明すると自分たちの特殊な空間を創り出すためにわざと光を自分たちにあてないようにしているってこと。」
「すんません...。俺にはちょっと難しすぎて何言ってるか全然分かんないんですけど...。」
「仕組みさえ理解すればいずれかは貴方も使えるかもしれないのに勿体ないわね。技術よりも頭の方が弱いなんて思いもしなかったわ...。」
「もしかして私と特訓してる時の戦術理論の話もほとんど理解してなかったりして...?」
「実は...なんも理解してない...です...。何となくやってたらできちゃった...みたいな...。」
一同から出た大きなため息で空間が覆われた。
「ちょっ、なんでそんなみんなため息ついて。」
「いや、陽介よ。こんな緊張した場面でバカ丸出しのお前が悪いんだからな...。」
「バカってなんすか、リーダー。俺なんかしました?」
「全く陽介ったら...。みんないいわね。今のこのバカは正直使い物にはならないわ~。陽介抜きで何とかするわよ。」
「ですがマリアーノ様...。恐らくですが陽介が何かの鍵を握っていると...。私の考えですとハピダル様は我々を誘き寄せるためにここまで碧依ちゃんを連れ去ったのは分かっているとは思いますがそれ以上に何かもっと重要なことを考えていると...。」
「だとしたらそれは陽介を手に入れることだわ。ハピダルは昔からそうだった...。自分の野望のためならば手段を択ばない。例え何か大切なものを失っても必ずそれを手に入れるために動いていた。あの時だって...。」
「あの時...ですか...?神官、それは何が...。」
「私とハピダルが互いに首長になる前は一緒に戦っていたって言う話は前もしたと思うわ。私には特に思いはなかったけどハピダルは元々陽介と同じ転生者。前世での後悔からこの世界に降り立つことを選択した身よ。そんな彼にはこの世界を手中に収めたいっていう野望があるって語っていたわ。そんな彼はある程度の実力をつけていくと敵だろうと見方だろうと関係なく排除しようとしたわ。例えそれが恩師であろうと盟友であろうと関係なんてないわ。そして第三次魔法大戦が終わったころ、彼は当時まだそこまでの知名度がなかった国を乗っ取ってインテグラリッシュ王国を建国したの。そしてその乗っ取った国の王って言うのが私や彼と一緒にチームで動いていた言わばチームリーダー的な存在のやつだったわ...。大切な存在を殺してでも自分を主張する人間である彼の性格を考えればここで狙われるとすれば私か春香ちゃんの二択ね...。」
「でもどうして俺を争ってみんなを巻き込む必要が...。」
「それは前も言ってでしょ?貴方は双方技術者よ。この世界でも十数人しかいない貴重な存在なのよ...。春香ちゃんが攻撃魔術を捨てるってなると近くにいるのは貴方だけなの。いくら貴方が強くなろうと彼は魔法の神官よ。一人では到底追いつけないような存在よ。」
「だから俺たちが巻き込まれてやるってことだ、陽介。俺もアルザードのリーダーやってて気づいたことは沢山あるけど一番大切なのはリーダーらしく部下を守ることなんだよ。だから俺は俺らしくお前をサポートするぜ。」
「そうね...。恭介の言う通りだわ。陽介は最初にあった時からなんも変わりやしない。いつも独りよがりでいつまでたってもこの私を頼ろうとしない。この私の炎をもっと信じなさい。」
「私もエリスと一緒ね...。そこそこ長い時間一緒に過ごしてきたつもりだけどちっとも先輩らしいところなんて見せれてないかしら...。さっきも一人で春香さん守りに行って...。もっと頼ってくれてもいいんだけど...。」
「エリス...イザベラ...。」
「確かに陽介は一人で何でも完結させようとしすぎることが多いわ。それはもしかしたら私と行った秘密迷宮のせいもあるだろうけど今はそうじゃない。陽介...。チームって何のためにあるか知ってる?ただの個人の集まりはチームとは言えない。私は全てを信頼して背中を任し合える集団のことをチームだと思うの。その人たちのために命まで懸けられる人がここには集まってるのよ。きっと貴方も同じだと思うわ。」
「チームとは何か...。全く考えさせられることね...。でも今は柊を助けることに集中よ。イザベラ、エリス、陽介は周囲の攻撃に警戒して。攻撃が来たら相殺して。恭介は結界を。私と春香ちゃんでこの打開方法を考えるわ。」
こうしてエクスパンドライズによる柊碧依奪還作戦は始動した。
ご覧いただきありがとうございます。
こちらの作品は不定期更新となっております。
また作者の語彙力のなさなど思うところはたくさんあるかもしれませんが、温かく見守っていただけると幸いです。
また、本作品はTwitterでの投稿告知を行っておりますので是非「転生魔術師の覇道譚」(@tenseimajutsusi)で検索していただけると助かります。
今後ともよろしくお願いします。




