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転生魔術師の覇道譚  作者: 蒼翔ユウキ
第二章~インテグラリッシュ王国編~
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第29話~俺の最強~

 帰路を急ぐ陽介らには特に障害はなく、順調に進んでいた。

 しかし嫌な予感がするのは当然だ。

 それはアンドロメダ皇国の本土はもぬけの殻であり、全勢力がエクスパンドライズに攻め込んでいる以上、多大なる時間をかければ春香の命が、マリアーノの命までもが危ないと危機を感じていた。


 しばらくすると右手見えたのは空に放たれる魔術であった。

 大きな爆発を横目に丘へと続く坂道を駆け上がっていく。

 まだみんな持ち堪えているのかという希望とともに進んでいく一行であった。

 

 流れ弾を避けながら進んでいく一行はついに坂を登り切り、丘へと到着した。

 そこにあったのは大量の遺体であった。

 そしてその横少し離れた場所に一生懸命魔術をかける回復術師と血まみれで横たわっている春香の姿があった。

 

 「魔法の神官。只今戻りました。」

 「恭介、よく戻ったわ...。状況は...見て分かるわよね...。」

 そういわれた葉山はこの状況を一瞬で理解して合流した組を集め伝えた。

 「一人の召喚者は春香が倒したそうだ...。だが二人目の存在で気をとられ隙をつかれたのが原因で今は戦線には立てないような重傷を負ったらしい...。俺達にはこの状況の打破が求められている。陽介の力を中心に二人目の召喚者を倒す。だから他のメンバーにはそれを成す為の補助をしてほしい...。あとは陽介。お前は師匠の敵討ちをしてこい。」

 「要するに俺は召喚者を倒してこればいいってことですね...。春香さん...。あんたに学んだことはめっちゃ多かったよ...。感謝してる。その恩をここで返す。必ず俺の手でこの戦いを終わらせてやる...。」

 

 陽介を先頭に一斉に丘を駆け下りていき、各々最高火力の攻撃で立ち向かっていった。

 召喚者に向けて一斉に駆けていく彼らは次々に敵を蹴散らしていく。

 仲間が大量に殺されたことによる怒りと、仲間の死より得た使命感が彼らを動かしていた。

 

 ーみんなは命を懸けて戦っていたんだ...。

 ーだから俺もこの命果てるまで戦わなければならないんだよな...。

 

 突き進んでいくとついに真打が登場した。

 「お前が召喚者か...。」

 「貴様が佐藤陽介か...。儂の名は皇雄一(すめらぎゆういち)だ。我々は貴様の回収が第一優先だ...。このまま大人しくついて来てくれればこれ以上の手出しは止めよう。ただし...。貴様が抵抗するならばこれ以上の被害を生むことになるぞ...。さてどうする...。」

 「お前がどんな奴だろうと知ったこっちゃねぇ...。俺の仲間も...師匠も...町も全部お前らのせいで失くしてんだよ...。そんな奴らを許すわけにはいかない...。」

 「それは儂についてこないということでいいのか、佐藤陽介よ...。」

 「あぁもちろんだ...。その傲慢な考えもお前という人間も...。全部ここでぶっ壊してやる...。」

 「なら容赦はせんぞクソガキがぁぁぁぁ!!!お前ら俺の力となれ。」

 そういうと先ほど同様に周りの仲間を殺し、自分の炎の糧とした。

 「この状態の儂に貴様が敵うとでも思ったかぁぁぁ。火炎放射!!」

 「甘いな...。お前がどんな攻撃してこようが俺は避けるだけだ...。」

 「小賢しいな...。瞬間移動者か...。ならここにフィールドを作ってやりゃ貴様の瞬間移動にも制限が出るはずだよなぁ...。」

 「周りを炎の壁で覆うがお前の負けはもう決まっている。この剣でお前のことを斬ってやる...。この野郎...。喰らいやがれぇぇぇ!!!」

 「火炎の盾。貴様は光属性との双方技術者であったか...。だがこんなもん簡単に防げるわい。儂をなめておるのか貴様...。口だけでは何とでも言えるよなぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 「黙ってろ...。俺はここで必ずお前を倒す。例え何時間でも...何日かけてでもお前を倒す...。それが俺の使命なんだよ...。」

 二人はお互いに弾かれ合い少し距離が開いた。

 「傲慢なのは貴様なんじゃないのか?佐藤陽介よ...。何をいろんなもん背負って戦ってるつもりになってんだ...。貴様は弱い。儂が断言してやる。」

 「なんとでも言うといいさ...。どんな経緯があろうとお前は必ず俺が殺す。光撃砲撃(ライトニングバスター)

 「火炎放射!!」

 お互いの攻撃は相殺され、互いの能力や火力が拮抗していることが証明された。

 

 ー俺が幾つもの戦いの中で学んできたことは何だったのか...。

 ー俺は何を春香に教えてもらったのか...。

 ー隙を突くって言ったって隙が無ければどうすればいいんだ...。

 ー炎を全身に纏っていたら秘密迷宮で戦った火炎能力者と一緒じゃねえか...。

 ーあの時はどうやって倒したのか...。


 陽介は次々と飛んでくる火炎放射をひたすら避けながら過去を振り返った。

 それは秘密迷宮での戦いの一幕だ。

 あの時は光電の剣でいくら斬り込んでもひたすら手に集められた炎で盾を作り防がれていたような記憶がある。

 カウンターだ...。

 どんな高位の能力者であれ多少なりとも能力に制限があり、特に異能者は魔術師ほど融通の利く能力ではなく必ず能力の使用間に短れ長かれインターバルを有す。

 ろうそくの火を利用して戦う秘密迷宮の火炎能力者と今回の違いは既に敵が大量の炎を有しているという点である。

 そして今回は若干薄暗いだけであり、周りで別の戦いも起こっているから敵が視認できないというようなことはない。

 光電の剣(ライトニングソード)による光の大太刀(ライトニングブレイズ)を放ち、それを防がれている隙をついて背後をとり、光電の剣で斬り刻むという以前と同じ戦い方で挑むという作戦で算段が立った。

 

 いや待てよ...。

 ドラゴンを倒した時に使ったのは光太刀砲撃(バーストブレイズ)で最強の魔物を唸らせたこの魔術ならばこの程度の召喚者は一蹴できるのではないと考えた。

 今持てる光魔術の結晶を放ち、もし仮に防御されようが前と上から向かってくる攻撃を防ぐのには必ず背後には隙が生まれるだろうということだ。

 春香でさえ陽介のこの魔術に負けるイメージを植え付けさせたものだ。

 圧倒的な火力で攻め入れば必ず首はとれるという考えだ。

 

 「俺の最強をお前に見せてやるよ...。」

 「貴様の最強が儂に通用するとは思えんがなぁ...。楽しみにしておこうじゃないか...。」

 「楽しみだとか通用しないとかそんな戯言はこの魔術を前にしたら関係ねぇんだよ...。」

 「貴様すげぇ覚悟だなぁ...。この儂によくそんな口が利けたなこのガキがぁぁ。」

 「光の牢獄...。うるさい野郎は大人しくしてな...。」

 「こんな魔術が通用するとでも思ったかぁぁぁ!!儂の火炎操作(パイロキネシス)はこの身が閉ざされようとも使えるんじゃぞ...。」

 「こんなもんは俺の最強じゃない...。光の神よ、精霊よ。我が金光の魔術に大いなる力を与えよ。この戦いを終わらせる最強の魔術をここに発動する。召喚者...。お前はもう終わりだ。光太刀砲撃(バーストブレイズ)!!!」

 「甘いな...。極・火炎の盾。縛られても我は戦える...。すげぇ火力だ...。でもそれがどうしたぁぁぁぁ!!わしは貴様の最強を防げるんだぞぉぉぉぉ!!!貴様の最強はこんなもんな...。」

 「隙ができたな皇...。」

 「な、なんだ貴様ぁぁぁ!!」

 ーしまった...。儂はこの魔術を防ぐのに精一杯でこいつが瞬間移動者ってことを忘れておった...。

 

 「さらばだ召喚者よ...。死ぬまでの時間で自分の過去でも振り返ってな...。」

 陽介は背後に回り皇の首を切り落とした。

 

 「あぁ...。儂は何て愚か者なんだ...。」

 

 皇は冷たいで徐々に遠のいていく意識の中で色んなことを思い出していた。

 

 あぁ、父さん...母さん...。

 儂はこんな生き様でよかったのでしょうか...。

 小さい頃...一生懸命やった野球...。

 チームメイトにも監督・コーチにもいろんなことを教えてもらいました...。

 毎日何もせずに過ごした夏休み...。

 どれだけ怠惰だったことでしょうか...。

 中学時代は力に任せていろんな人に酷いことをしました...。

 いかに自分が傲慢な人間だったのか...。

 学校中の嫌われ者だった高校時代の唯一の味方だった彼女のミカちゃん...。

 儂は少しは全うな人の道を通れたのでしょうか...。

 大学からの帰り道に急に魔法陣が出てきて転生したあの日...。

 それから儂はどんなことを思ってこの世界で過ごしていたのでしょうか...。

 儂の人生はこれで正解だったのでしょうか...。

 

 皇は人生の中の思い出や後悔とともにこの世を去った。

 

 陽介は大急ぎで師匠である春香の元へ戻った。

ご覧いただきありがとうございます。

こちらの作品は不定期更新となっております。

また作者の語彙力のなさなど思うところはたくさんあるかもしれませんが、温かく見守っていただけると幸いです。

また、本作品はTwitterでの投稿告知を行っておりますので是非「転生魔術師の覇道譚」(@tenseimajutsusi)で検索していただけると助かります。

今後ともよろしくお願いします。

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