第2話~挫折と出会い~
エルフにさんざん無視をされ続けて日が暮れてきたため、どこか寝泊まりできる場所を探すことにした。
その場所を探して歩きまわっている時に、俺はあることに気づいた。
それはエルフには無視し続けられ、そのエルフたちは全く違う言語で会話をしていたということだ。
この世界に転生し、きれいなエルフたちに気をとられてそんなことすっかり忘れてしまっていた。
ー ここは日本じゃねえ。ましてや地球でもねえのに日本語が通じるわけねえのに何必死になってエルフに話しかけてたんだよ...。ただの変態じゃねえかよ...。
俺はそんなことを思いながら周りを見渡しながら歩いていた。
しかもとてつもないほどの空腹と戦っている。
食べ盛りの男子高校生に丸1日何も食わずに過ごせというのは酷なことだ。
何か買って食べようとするけど、世界が違えば通貨も違う。もちろん一文無しである。
俺は空腹に耐えきれず動く気力をなくし、とうとう道路の隅っこに座り込んでしまった。
ー せっかく転生して新たな世界で頑張ろうと思ったのにもうゲームオーバーかよ...。転生してその世界でテッペンとるってラノベ主人公的な展開期待したのにこの様かよ...。情けねえ...。
俺はうつむいて自分の考えの浅はかさと情けなさに少しイライラしていた。
そして身体的・精神的な疲れからかそのまま寝てしまった。
目を開けるとそこは石畳の道の上で空には真っ赤な太陽が昇っていた。
太陽の高度的に大体11時くらいを指していて、街は多くの人で賑わっていた。
俺は昨日とは違い、今日は真面目な情報収集をしようと決意した。
昨日は言語の違うエルフばかりに話しかけてワンチャンを狙いすぎていたことに原因があると俺なりに分析して、今日はそこら辺の店のおっちゃんや道端のばあさんたちにも聞こうと思う。
少し歩いていると、剣を持った人や魔法の杖らしきものを持った人のグループがどこかに走っていく姿が見えた。
ー 剣に魔法の杖...。何のグループなんだ...?
ー ここは魔術の世界なんだよな...?じゃあなんで剣なんだ...?
様々なことを俺なりに考えてみるが一向に答えには辿りつかない。
そしてまたもや言語の壁に引っ掛かり、何も情報を得られないまま、何も食料も得られないまま1日が終わりに近づいて行ってしまっていた。
水だけは小川の水を飲んだり、水道水をそのまま飲んだりしていたからギリギリ生き延びたという表現に近いと思う。
しかし、どれだけ水分をとっていようがすでに空腹が限界に到達していた俺は力尽きてそこに倒れこんでしまった。
「あの...。大丈夫ですか...?」
何か声を掛けられた気がしたので少し目を開くとそこには1人の黒いローブを羽織った女性が俺のことを心配そうな顔をして見つめていた。
そして何か懐かしい気持ちを覚えた。
ー え?今日本語...喋ったよね...?
「すいません...。もしかして日本人の方ですか...?」
俺は日本語に反応してとっさに聞いてしまった。
「そうですね...。実際は元日本人というところでしょうか。私も数年前まで日本で暮らしていましたので...。」
「あ、そうなんですね...。俺、佐藤陽介って言います。」
「私は柊碧依。よろしくね。」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
すると腹から大きな音が鳴った。
ー そういえば俺、丸2日なんも食べてなくてここで倒れてたんだった...。
「すごい音なってますね笑。もしよかったらうちでご飯食べていきますか?そこでほかにもいろんなお話ができたら...。」
「いいんですか?じゃあ遠慮なくいただきます!」
空腹には敵わなかった。俺は本能のままかなり食い気味に即答していた。
ご覧いただきありがとうございます。こちらの作品は不定期更新となっております。
また作者の語彙力のなさなど思うところはたくさんあるかもしれませんが、温かく見守っていただけると幸いです。