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転生魔術師の覇道譚  作者: 蒼翔ユウキ
第二章~インテグラリッシュ王国編~
22/57

第21話~ドラゴン~

 ー第二十八階層ー

 

 ここまで来ると敵の強さはこれまでと比べ物にもならない。

 最強の魔物であるドラゴンに上級悪魔、天使と言った現実でも戦うことの少ないような魔物との戦闘が続いていく。

 この階層では氷のドラゴンとの戦いとなる。

 ドラゴンはその体の大きさから圧倒的なパワーとスピードで襲い掛かってくるような戦い方をする。

 また最強の魔物と言われるのに相応しく、防御も非常に硬い。

 上級精霊の金属の装甲のような硬さを誇り、スピードと合わさることで魔物の中でも最上級の防御力を持つ。

 

 そんなドラゴンを見つめて陽介はかなりビックリしていた。

 ドラゴンという名であるが、空を飛んでいるわけではなく二本足で地に足をついている。

 そして背中の翼で宙に浮かんだり飛んだりしている。

 イメージとは全く違うどちらかというと人に似たドラゴンの見た目に驚いていたのだ。

 

 春香曰くドラゴンという存在はもっとも神に近い存在として扱われる魔物であり、大きな教会になればなるほどそのドラゴンの因子を保有しているという。

 ドラゴンの因子を保有していることによって外国への牽制の意味合いもあるのだとか。

 ドラゴンを現実世界へと召喚させるためにはそのドラゴンの因子、つまりドラゴンの魂の拠り所としての器を用意する必要があり、それは生物や錬金術等でできた体の中に魂を移植させる必要があるという。

 双方技術者よりも数が少なく世界的にも貴重な存在であるドラゴンを人の中に因子を移植させた結果がこの秘密迷宮にいるドラゴンだということだ。

 

 「これが最強の魔物、ドラゴンか...。」

 「妾は氷のドラゴン、フロストウィングだ。ここまで辿り着いたのは貴様で13人目だな。貴様はどんな能力を使うんだ。」

 「俺の名は陽介...佐藤陽介だ...。光の魔術師だ。」

 「貴様...。佐藤陽介は魔術師なのか。魔術師でここに来るのはアブドゥル=ハピダルと春香未来の二人以来だな...。妾が遊んでやる。構わず来い佐藤陽介。」

 「フロストだな...容赦はしない。遊んでやるなんて言ってる余裕はもう終わりだ!」

 「鬼を見るような眼をしてるな...。いい目つきだぞ佐藤陽介。来い。」

 「じゃあ手始めにこれを喰らえ。黒稲妻(ブラックライトパレス)!」

 「なかなかの火力だが...妾には効かぬ。」

 「無傷...なのか...?」

 「次は妾の番だな。氷の竜巻(アイストルネード)。佐藤陽介。お前の幻想はこれで終いだ。」

 

 「まともに喰らったろ...。ん?いない...だと...?」

 「背中はとったぞ...。これでも喰らえ光撃砲撃(ライトニングバスター)!」

 「氷の盾(アイスシールド)!」

 光撃砲撃は一瞬にして消し飛ばされた。

 一点に集中させ、圧力が増した光撃砲撃であったがドラゴンには全く効かない。

 

 「貴様。いつの間に背後に回り込んでいたのだ。妾の氷の竜巻で巻き込まれているはずじゃぞ。」

 「言ってなかったな。俺は瞬間移動者(テレポーター)でもある。双方技術者(ダブルスキル)だ。」 

 「双方技術者か...。だから貴様のような少し火力の足りない魔術師でもここに辿り着いたというわけか...。」

 「だからってお前には関係ねぇってことだろ?んなことわかってんだよ。」

 「貴様剣も使えるのか...。なかなか使いやすそうな能力じゃの。」

 「必ずお前の首斬り落としてやるからな...。」

 「貴様に斬られるわけがない。まだ貴様は妾の体について何も知らない。」

 「そんなこと知ったこっちゃねぇんだよ。お前はここで何人もの人にやられてここに立ってるんだろ?だったら俺もお前を倒してやる。」

 「やられたけどよ...この数倍も数十倍もの人をここで葬ってるんだよ...。妾に勝てるなんて思うなよこの小童がよぉ。」

 「上等だ...。全力でぶつかってやるよ...。たとえここでこの身が砕けようともな...。」

 

 二人の煽り合いはかなりヒートアップし、フロストウィングからは青く冷気を纏ったオーラが、陽介からは光輝き電気を纏うオーラが現れていた。

 「俺がここでお前を倒す。光撃砲撃!」

 「そんなものが利くと思っているのかこの小童が。氷の光線(アイシングビーム)。」

 

 真ん中で衝突した互いの攻撃が押し合いになっている。

 「貴様の火力では妾には到底及ぶことはない。」

 「ここでは火力とか能力にも大事なものがあるってことをお前に教えてやるよ。」

 「大事なものは己の力のみだぞ小童。貴様から学ぶものなどない。氷漬けにする。」

 

 すると陽介が放った光撃砲撃は氷の光線によって氷漬けにされてしまった。

 「危ねぇ...。掌まで凍るところだったぜ。ギリギリで避けれた...。」

 「貴様にいいことを教えてやろう。春香未来が妾と戦った時には核撃魔法を使ってきよったぞ。春香未来は貴様の師匠じゃないのか?師匠は捨て身の覚悟で戦っていたぞ。」

 「でも俺は春香を超えなければならない...。核撃魔法を使って倒してもあの人と同じだ...。」

 「だからって言ったって貴様に使える魔術なんて糞みたいな小魔法だろ?」

 「なめるなよこの三下がよぉ...。」

 「三下は貴様だろ?妾はドラゴンなのじゃぞ。貴様のような雑魚魔術師に負けるような胆じゃない。」

 「黙れ...。お前はまだなんも知らねぇんだよ。俺特製の最強魔法を味合わせてやるよ。」


 すると陽介は光電の剣を両手で持ち自分の前に掲げ目を瞑りある想像をし始めた。

 「光の牢獄!これによりお前は暫く動けやしない。始めるぞ。」

 「拘束されたぐらいなんたってことはない。」

 「光の神よ、此処に存在する全ての光の物に告ぐ。我が能力上限の拡張を要請。次に我が術式光の大太刀(ライトニングブレイズ)を魔法陣の複雑化による火力の上昇を要請。」

 

 ー 要請事項二つ、すべて承認されました。 ー

 

 「次に光撃砲撃の術式と光の大太刀の術式の複合化を実行。さらに完成した術式を展開。」

 すると階層まるまると包み込むような非常に大きな魔法陣が完成した。

 

 「貴様...。こんなもので妾を葬るつもりというのか...?」

 フロストウィングはこの非常に大掛かりな魔法陣を完成させた陽介に少し驚きを隠せなかった。

 

 「お前に使うのが初めてだぜ。光の大太刀と光撃砲撃の合わせ技。光太刀砲撃(バーストブレイズ)!」

 

 光太刀砲撃を放つとあたり全てを消し去ってしまった。

 すると床が傾き始めた。

 「陽介。ここは崩落するわ。今すぐ逃げなさい。」

 「なら春香は俺につかまって!瞬間移動で外へ飛ぶ。」

 「分かったわ。」

 「ついでにドラゴンも回収していく。早くつかまれ。じゃないとお前本当に死ぬぞ!」

 「妾は空を飛べる。妾を気にするより貴様は春香を抱えて早く出ろ。妾も必ず後に続く。」

 

 陽介は秘密迷宮から少し離れている、最初ここに来た時に秘密迷宮を眺めていた場所に瞬間移動した。

 「春香。怪我は?」

 「私は平気よ。それより陽介...。あれは...。」

 「なんか秘密迷宮ぶっ壊れちゃいましたね...。もう結構なボロだったし普通に壊れたんじゃ...?」

 「いやあれは陽介の魔術によって耐えきれなくなっただけよ。つまりあなたが壊したってことよ。まあでも...凄い魔術だったわ。」

 「佐藤陽介...。妾は貴様のことを認める。大した魔術師だ。」

 「フロスト...。」

 「春香未来ほどの魔術師ではないが久しぶりにこんな感覚味わったわい。まだ妾も鍛えなおす必要がありそうだな...。」

 「それと陽介。恐らくあなたは”覚醒状態”にあったと思うわ。普段とは全く別人のような顔つきに口調。あなた自身にはおそらく気付いていないでしょうけど...。」

 「あと小童。貴様ここの修理...。どうしてくれるんだ?」

 「そうよ陽介。ここが壊れては他の人たちが使えないじゃない!」

 「え...。あ...。しゅ、修理...?」

 「だいたい3000万フェイロンと言ったところかしらね。んでどうするの陽介?」

 「ここがないと妾の居場所がないじゃないか...。どうしてくれるんだ佐藤陽介。」

 「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 陽介は瞬間移動で二人に追いつかれないようにひたすらインテグラリッシュ王国の中心に向かって逃げていた。

 

 陽介は光太刀砲撃の威力と自分の頭の中の演算能力、そして実行力についてかなり手ごたえを感じていた。

 ぶっつけ本番で相手は自分よりも圧倒的に強いドラゴン。

 その中で自分の思うような攻撃で自分の手で仕留められたことが何よりの自信になった。

 秘密迷宮が崩壊してしまい、あとの二階層の更なる強敵との対戦はできなかったけれど今回戦った全二十八階層での経験は陽介の能力をさらに引き上げ、成長するきっかけになったに違いない。

 

 「ハピダル様、マリアーノ様。只今戻りました。今回佐藤陽介の戦いっぷりはお見事でした。通常での戦闘行為においてはほとんどマスターしたかと。氷のドラゴン、フロストウィングとの戦いでの陽介の魔術によって秘密迷宮は崩壊いたしましたので中断して戻って参りました。」

 「それはお疲れさまだわ~。秘密迷宮の修理費なら私の方が肩代わりするから陽介を責めないで頂戴。」

 「春香。佐藤陽介はどうなんだ...?」

 「どうと言われましても...。敵には回したくないとでも言っておきましょうか。もし仮に対戦するとしたら私も負ける可能性があると...。」

 「陽介はそこまで厄介な存在に成長したってわけね~。ところで春香ちゃ~ん。()()()()はどんな能力者になったわけ~?」

 「陽介は少なくも最強の魔物と言われるドラゴンを打ち破ったという実績があります。なのでエクスパンドライズにとってはより良い人間兵器となるのではと。他国への牽制にも使える双方技術者となったと思います。」

 「それはよかったわ~。なら陽介は今日付けでエクスパンドライズに帰すわ~。私もこれで失礼するからなんかあった時はよろしくね~。ハピダル。」

 「妾にその態度とれるのは本当にお前だけじゃぞ。マリアーノ。まあいい。ただどんだけ成長して手出しができなくなったとしても佐藤陽介は国家間のバランスを崩しかねない能力者であることは忘れるなよ。」

 「じゃあ陽介~。行くわよ~。」

 「待ってください魔法の神官(マジックプリースト)~。2カ月半ほどお世話になりました。また遊びにも来ますし会うことがあったらその時はぜひ。」

 「あぁ。陽介も立派になったな。ただまだ伸びしろの塊だ。努力を怠るなよ。またな。」

  

 弟子との別れにどこか悲しそうな春香とインテグラリッシュ王国の教会にいた人々に見送られながら陽介とアスケル=マリアーノは転移魔法によってエクスパンドライズに帰っていった。

 

 「陽介~。今回のインテグラリッシュ王国での修行で何か感じたことはありまする?」

 「少し気になったのが春香の発言ですね...。敵にしたくはないみたいなこと言ってたじゃないですか...。だからいつかはインテグラリッシュ王国は我々と戦争することも想定していたのではないかって...。」

 「ほんと勘が鋭いわね~。確かにその通りよ。陽介を送り込んだ時にこっそり盗聴用の術式ってのを仕込んであったんだけど~。戦争を揶揄するような発言もあったわ~。でもまだ心配することはないと思うわ。」


 インテグラリッシュ王国での違和感はあったものの、陽介はインテグラリッシュ王国で本格的に育ててもらい、違和感よりも感謝の方が強かった。

 ただアスケル=マリアーノの本当の狙いはインテグラリッシュ王国の情報解明であり、陽介を送った一つの理由としてはスパイ目的というものがあった。

 実際陽介はスパイ行為には及んでいないがアスケル=マリアーノの役には立てたようで、情報もかなり手に入れただとか。

 これからの二国間の動きにも注目しなければならない。

ご覧いただきありがとうございます。

こちらの作品は不定期更新となっております。

また作者の語彙力のなさなど思うところはたくさんあるかもしれませんが、温かく見守っていただけると幸いです。

また、本作品はTwitterでの投稿告知を行っておりますので是非「転生魔術師の覇道譚」(@tenseimajutsusi)で検索していただけると助かります。

今後ともよろしくお願いします。

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