第19話~核撃魔法~
陽介の成長に自分までもが誇らしく思えてきている春香であったが、以前自分がこの階層に来た時のことを思い出した。
春香は今まで数十回この秘密迷宮に来ているが、ボス戦以外で最も苦戦を強いられた階層がここ第十三階層であった。
それは春香と同系統の能力者であり、自分が魔術によって生み出した炎を敵に持っていかれて、敵にも多くの炎を提供することになってしまうからである。
自分の攻撃のために生成した炎を敵に利用されるというまさかの状況にパニックになったこともある。
また攻撃魔術がほとんど通らずにひたすら攻撃を仕掛けるが常に防がれるという戦いがずっと続いていた。
春香の能力は炎属性の魔術師で火炎操作系の能力を扱う。
そのため戦い方も基本的に似ていて、相手になるべく能力を使わせないためにも自分の能力をセーブしなければいけないために苦戦したと春香は分析している。
「お前の魔術ってこんなもんか?我にそんな魔術は通用せんぞ。ハピダルの奴もこんな変なのによくそんな期待したものだ。」
「お前がなんと言えど私は必ずお前を倒す。獄炎の鎮魂歌!」
「お前...なんも分かってないようだな...。この我が丁寧に教えてあげようぞ!火炎反射。」
春香は盛大に吹き飛ばされていった。
「お前...召喚者だよな?召喚者で双方技術者って最強さんだと思ってたんだけどなぁ...。我の能力に屈するってお前雑魚だな。なんだお前...なんも言えねぇのか?あぁ?」
「うるさい...。黙って...いろ。核撃魔法。この術式を我がマナ一つを生贄に発動する。地獄の炎龍。ここに出でよ。」
「お前...我相手に核撃魔法など...。貴様アホに違いない。」
「喰らいつくせ。地獄の炎龍!一欠けら残らず!!!」
すごく懐かしく、春香は感傷に浸っていた。
春香は召喚者として期待された立場であり、アブドゥル=ハピダルに連れられてここの秘密迷宮に来たが戦闘のアドバイスやその他の技などを全て使っても倒せずに、最終的には核撃魔法を使用して撃破した。
それに比べれば陽介は非常にスムーズな戦闘であり、非常に評価されるような内容であった。
ー第十四階層ー
ここでは中級悪魔と対峙することとなる。
悪魔は近距離攻撃、物理攻撃が得意であり小魔法も使えるというある意味双方技術者のような能力を持ち合わせている。
悪魔の属性は基本的には闇属性だが、属性を問わない小魔術を使えるような上位個体もいる。
また悪魔も精霊同様にコアを壊さないと死ぬことはない。
「陽介。悪魔に有効な手は遠距離でも近距離でもない適度な距離を保って行動することよ。」
春香からのアドバイスが一つあったが陽介には意味が分からなかった。
とりあえずアドバイス通りに適度な距離を保って戦ってはみるが悪魔のスピードが速くて結構簡単に詰められてしまう。
悪魔が近距離攻撃を得意としているため、悪魔はこちらにどんどん迫ってくるのを陽介は光電の剣でなんとか押さえつけているようだ。
「フフフ...。貴様の能力ではこの私を倒すことなんでできませんぞ。物理攻撃は魔術よりも強いことをこの私が証明してみせましょう。」
「なんなんだお前。ちっとも攻撃できる隙もねぇし...。」
「隙がこの私にあるとでも思いましたか~。貴様になんぞ隙は与えん。闇の光路。」
「危ねぇ~。回避するので精一杯かよ...。」
「チッ。貴様、回避するのは上手いようですな。ただこの私のスピード、攻撃力、瞬発力に貴様は追いつけるかな。フン。」
陽介は顔面に思いっきり右フックを食らって大きく飛ばされた。
悪魔は何度でも涼しい顔をしてこちらに迫ってくる。
そして陽介はひたすら殴られ続けた。
「貴様ごときの能力者がここまでこれたのが不思議でしょうがない。あいつらは何をやっていたのか...。ただ貴様はこれ以上先に進むことはない。この私がここで貴様を終わらしてやるッ!」
悪魔による渾身の殴打はもろ腹に入った。
陽介は考える前に飛んでくる悪魔に大苦戦していた。
陽介には何をやったらいいか全然わからなかった。
とにかく避けなければいけないという考えだけであった。
「貴様...。チョロチョロ飛び回りよって...。大人しくこっちに向かってこい。」
「黙れ...。俺はまだこんなもんじゃねぇ。まだなんもできてない。ただお前の攻撃はもう見切っている。」
「何が貴様に分かるって言うんだ。貴様には何にも分かっちゃいない。貴様はもう終わってるんだよ。」
「俺はまだ終わっちゃなんかいねぇ。お前はもうすぐ終わる。必ず俺が倒して上に行ってやる。」
「陽介!あれを使うのよ!」
春香からあれを使えという指示が入った。
春香が言うあれというのは光撃砲撃を覚えた時にとある最強魔術を春香から教えられた。
「陽介。いざとなった時の魔術ってのがあるわ。核撃魔法ってのがあるんだけど...。最大のピンチの時にしか使ってはいけない最終奥義だわ。」
「核撃魔法...最終奥義か...。それってどんなのなんだ?」
「自分のマナを一個トリガーにして発動する最強魔術よ。自分の体の中にいくつかのマナがあるわ。マナを生贄にして発動する魔術でどんな相手でも葬れるって言う圧倒的な魔術よ。」
「それはどうやって発動するんだ。」
「とにかく詠唱と信じる気持ちよ。隙を待つ戦い方じゃなくってどんな時でも使える。ただ自分のランクが低いうちに核撃魔法を使うとマナが完全に消滅する。マナが消えるともう魔術師ではなくなってしまうわ。」
「じゃあ俺にはまだ...。」
「いや...陽介にはもう十分に使えるわ。ただやっぱり使い過ぎはいけない。3回が上限ってとこね。」
ー そういえばそんな話もされたな...。
信じる気持ちが大切であるこの魔術を使うしかないのである。
「おい悪魔...。お前をここで蹴散らしてやる...。核撃魔法。この術式の発動に際し己のマナを生贄とする。光の神よ、我が核撃魔法に力を与えよ。光の龍神!」
「貴様...。核撃魔法...だと...?」
「だから言ったろ。俺は必ずお前を倒すって。喰い散らかせ光の龍神。」
悪魔は光の龍神によって喰い散らかされ、すぐにボロボロに崩れ落ちた。
「倒した...のか...。」
「よく一発で核撃魔法を発動させたわね。悪魔には少し相性が悪かったようね...。」
「すみません...。だいぶ手こずっちゃって...。」
「まあ相性の良し悪しはどんな人にもあるわ。次は中ボスよ。切り替えて挑みなさい。」
春香は陽介が悪魔に対して少し戦いにくい能力であることを把握したうえで、もう一つ使える魔術はないのかと模索した。
次はまた強敵が待ち構えている第十五階層。
陽介は少し不安な気持ちでいっぱいだった。
階段を上った先に感じるオーラに体に寒気を感じて震えていた。
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こちらの作品は不定期更新となっております。
また作者の語彙力のなさなど思うところはたくさんあるかもしれませんが、温かく見守っていただけると幸いです。
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