第18話~証明~
ー第十二階層ー
ここでは地の中級精霊との戦いとなる。
精霊は基本的にその主要魔術6属性ごとに複数存在しており、その中のランク付けは上級精霊から中級精霊、初級精霊となる。
精霊は基本的に人間や魔獣とは違い、膨大やエネルギーを操作して魔術を放つ特徴がある。
また精霊には、生存するためのトリガーとなるコアがあり、倒すためにはその個体のコアを破壊しなければならないという特徴もある。
精霊は、この世界に存在する精霊、悪魔、天使の中では悪魔に強く天使に弱いという力関係を持っている。
精霊は基本精霊術者の精霊召喚靴式によって呼び出される。
そんな精霊を目の前にしても陽介はとてもワクワクしていた。
光電の剣を使っての光の大太刀を撃つチャンスであるからだ。
ただ陽介は地の魔術と対戦するのは初めてであり、攻撃のレパートリーや種類なども全く分からないのである。
しかしそんなこともお構いなし。
「光電の剣よ、この地に在るすべての光をここに収束させて放て。光の大太刀!!!」
両手で持った光電の剣を右肩辺りから振り下ろすと、地の精霊に向かって電気を纏った衝撃波が襲っていく。
そして光の大太刀の最大の攻撃力の大元である雷撃も精霊の上に落ちた。
すると精霊は麻痺して、その精霊の外殻は割れ、下腹部にあったコアがむき出しになった。
「陽介!そのコアを粉砕しなさい!」
そう春香から精霊の倒し方のアドバイスを受けると瞬間移動でコアの目の前に行き、光電の剣でコアを一突き。
あっという間にコアは粉砕され、精霊も砕け散っていった。
陽介はもの凄い手応えを覚えた。
葉山から貰った大太刀を使わなくてもそれ以上の火力の光の大太刀を光電の剣で放てたのである。
光電の剣は魔術的能力から作る剣であるため、自分の意思通りに動き非常に扱いやすいのである。
「まさか使えるとはね...。陽介...。君は凄いよ...。私の望むことをやってのけるんだから...。」
春香も驚いていた。
さらに自分の教え子の成長力が凄まじく、若干涙ぐんでいた。
またこれをマスターした暁には、陽介が自分を超えるような能力者になるとも思っていた。
春香にはない俊敏性を兼ね備えた陽介の攻撃は、火力の良し悪しだけではない総合的な戦闘能力ではすぐにでも春香に並び、越していくであろうと思われる。
陽介の魔法ランクはまだ魔導士であるが、双方技術者である陽介には正直魔法ランクなんか関係ない。
魔術師でもあり異能者である彼にとって魔法ランク、異能ランクはただの肩書きであり、それは何も意味しないのである。
陽介は手に残る感覚を覚えたまま何も言わずに上の階層へと歩みを進めた。
表情はかなり強張っていて、非常に集中しているように見える。
光の大太刀の発動条件は魔法陣の作成、術式と属性の適合性、詠唱の三つであるが、今までは大太刀に組み込まれた術式によって魔法陣の作成が補助されていた。
しかし光電の剣で行う際には自らが魔法陣の作成を行わなくてはならず、それが陽介にはできないだろうと春香は思っていた。
ただそれを苦にすることがなく陽介は光の大太刀を撃ち込むことができたのである。
ー第十三階層ー
ここでは火炎能力者との戦闘である。
この秘密迷宮での初めての異能者との戦いであり、魔術師とは全く違う戦い方を強いられる。
火炎使いは春香の下位互換的な存在であるが、陽介はいまいち異能者の能力の使い方を理解していない。
春香からのアドバイスは「時間がかかってもいいから陽介の好きなようにやりなさい。」であった。
同じ能力を使う異能者でもそれぞれに得意な分野があり、十人十色であるのが異能者の特徴である。
春香も火炎能力者の側面を持ち、その能力は火炎操作。
発火能力自体は弱いが、魔術で創り出した炎や自然に存在する炎を操る能力が強力である。
一方アルザードのメンバーであるエリスは発火能力自体が強力で、自らが生み出した炎を使った火力勝負の戦いが特徴である。
陽介の考えは、まず相手をスピードで揺さぶり、その能力の隙をついてひたすら攻撃していくという狙いである。
陽介の戦い方の特徴としては自ら先制攻撃を行わず、まずは相手の攻撃を見てからスタートする。
すると相手は両手に炎を起こしてこちらに向けて思いっきり撃ってきた。
「火炎放射。」
来る攻撃は当然瞬間移動で避けていく。
何回も瞬間移動で飛んでいくがどこ見てもなかなか隙が見当たらない。
すると火炎能力者は自らの体の周りに炎の渦を巻いて完全な防御態勢をとった。
「隙の一つもねぇじゃん...。作るもの...。無理...。そう...?」
全く体が見えない相手に少し望みがなくなっていた。
とにかく攻撃するしかない。
隙を作るに兎にも角にも瞬間移動しているだけではなく攻撃していくしかないのである。
魔術者とは違い、色々と未知数である異能者には攻撃を重ねてボロを出させる以外の戦略はない。
陽介は光電の剣と瞬間移動でひたすら炎の中に突っ込んでいくが、すべて炎の壁によって防がれていく。
何回やっても壁をこじ開けてもすぐに炎が覆いかぶさってくる。
あと炎一枚の壁が破れないのである。
さらに相手からも攻撃を受ける。
「火炎放射。」
俺は腹に直に火炎放射を食らい、壁まで吹き飛ばされてしまった。
するとこちらの方に手に炎を溜めながら敵は向かってくる。
陽介は気付いた。
さっきまであった炎の壁が消えていて、その炎は手に集中している。
この火炎能力者は複数個所に炎を使うのは難しいのではないかと考えた。
よく考えれば、火炎放射を受けた際にも敵の周りには炎の壁はなくなっていた。
この場合の一番の有効手段は...カウンターだ。
陽介の能力的にはカウンターは容易いことである。
至近距離での攻撃を仕掛けて相手の反撃を待ち、その反撃後にすぐ後ろに回り込み光電の剣で斬り込むという作戦である。
早速行動に移してみる。
「まずは攻撃させればいいってことだよな...。でも今は手に炎は集中してる...。今!」
至近距離で斬り込みに行くが、敵の炎は形を変えて盾となり光電の剣を防いだ。
ならば後ろと思い背後をとるがすぐに反応されて盾に阻まれる。
そして陽介はあることに気付いた。
この部屋の明かりが消えているところがあり今までの階層とは違い若干暗いということだ。
そしてだんだんろうそくで照らされる明かりが消えていくにつれ、敵の炎が大きくなっているのか分かった。
敵が纏う炎によって居場所は視認できるがそれ以外はあまり分からない。
陽介も能力によって周りを照らすことができるが、あえてその作戦は実行しないことにした。
それは陽介の瞬間移動は視認できるところ、もしくはイメージできるところに飛べる、飛ばす能力であり、今回は敵を視認できている以上無理に自分の居場所を敵に明かす必要がないからだ。
ただ敵もそんなに甘くはない。
炎を見せずに居場所を隠して移動しているのだ。
「なんだ...。簡単じゃんか...。」
そう呟くと陽介はおもむろに光撃砲撃を真っ直ぐ放った。
敵が反応するまで放ち続けた。
すると5発ほど撃った時に炎の盾が見えた。
盾を反応させて居場所を探っていたのだ。
ただ光撃砲撃では撃ちながら瞬間移動すると攻撃自体が終わってしまうというデメリットがあり、この守られ続けている間に斬り込みに行くというのは難しいことである。
「お主もまだまだのようだな。この程度の魔術ならこの我が簡単に受け止められるわい。魔術師としてはまだまだ未熟じゃ。これまでここに来た魔術師の方がまだ手応えよかったわい。」
その火炎能力者は陽介の魔術を嘲笑いながら煽り口調で話しかけてきた。
ただ陽介の集中は切れることはなく、とにかく考えることを止めなかった。
「これのコンボはできないか...。でもあいつの場所はわかった...。なら...。光の神よ、我が光電の剣に大いなる力を与えよ。そして我が術をはここに完成する。光の大太刀!」
「そんな攻撃は読めておる。こんなん我の炎上の盾で簡単にかき消せるわい。」
「甘いな...。俺はもうこっちだぞ。」
陽介はそう言い残すと光電の剣で斬り込んだ。
攻撃は見事に命中し、敵はその場に倒れ込んだ。
「お前の能力はもう見切っていたからな...。炎は複数方向には撃ち出せねぇんだよな...。ならそこの隙をついてやりゃ簡単だってことよ。お前はもう終わりだよ!!」
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