第17話~可能性の片鱗~
ー第十階層ー
異様な圧力を感じたこの階層には第五階層にいたオークとウィザードの大群との戦闘となる。
オークは先ほど同様にフル装備。
ウィザードもこれまでとはなんも変わりないが、数がとにかく多かった。
正直一回戦った相手だし、ただただ数が増えただけと陽介は思っていた。
ただまたやらかすと春香から見捨てられかねないという危機感を持っていた。
複数の相手と対峙するときには全体を攻撃するのではなく、確実に殺れそうな相手から戦力を削っていくことが大切。
ならこの場合、すぐ殺れそうなのはどの敵なのか。
俺はとにかく考えた。
オークは硬くて防御力が高い。
一方ウィザードはその中に防御魔術を使う者がいるせいか全然遠距離攻撃が通らない。
ならば作戦としては非常に簡単である。
その防御魔術を使うウィザードから消していけばいいのである。
考えたら即行動。
また瞬間移動でそのウィザードに近づき光電の剣で斬る。
オークの突進と攻撃をひたすら避けながら残りのウィザードもとにかく斬る。
陽介はとにかく斬って斬って斬りまくった。
「残るは...お前だけだな...。」
陽介は前とは違う方法で、欲を言えばこの光電の剣で完全武装のオークを倒したいと思っていた。
そして光電の剣でオークを斬るための作戦を考えた。
完全武装の装甲を破壊してしまえばいい。
オークを倒すのに一番手っ取り早い作戦はもちろんそれである。
ただそのためには光電の剣の威力を増大させること、付け込める隙を作る必要もあり陽介はその方法をひたすら考えた。
光電の剣は光の魔術を集めて形にしたものである以上、魔術の量を増やせば火力の増加も見込めるのではないかと陽介は考えた。
思い立ったら即行動だ。
陽介はもう一度右手にエネルギーを集め、位置もよりも多くのエネルギーで光電の剣を作ってみせた。
それは従来のモノよりもエネルギー量が大きい為か、纏う電気の量と威力が圧倒的に上がっていた。
長さ、太さ、重さには大きな差はないものの輝きが違ったためこれは全くの別物であるかのように見えた。
そして隙を作る方法は、とにかくスピードを重視した戦いで体の大きな相手を翻弄して、少し混乱している状況で背中にある防具の隙間から斬り込み、確実に仕留めるという作戦である。
ー 隙を探すんだ...
ー とにかく隙を...
「見えた...」
飛んだ先には背中ではなく、既に盾がこちらに向かって襲って来ていた。
だがそのようなことは陽介には予想通りであった。
盾を瞬間移動でかわし、あっという間に背中に回り込むと最後。
オークを防具ごと粉々にしてみせた。
これには春香もご機嫌だった。
戦闘の中で陽介が能力だけでなく思考面でも大きく成長しているのが見ていて感じ取れたからであろう。
第八階層で怒った時には見られなかった陽介の思考力に感心していた。
「盾が来るのが分かっていて、それの囮のために一度あそこにわざと飛んだって言うのならばそれはお見事だったわ。すべてを光電の剣で相手できたのもいい収穫だったと思うわ。」
やはりはるかに褒められるのは陽介の中で特別であった。
自分と同じ双方技術者に褒められると、少しでも自分が成長できたと感じられるからである。
陽介は満足そうな笑みを浮かべてこれまでの秘密迷宮での戦闘を総括した。
これまでの戦闘では、外の世界では味わえなかった対武器、対魔術という所の戦いを経験した。
その中でとにかく隙をついて確実に倒していくということを肌身で感じた。
そして、対能力者であるとやはり頭の切れが大切で、一瞬の判断の速度と正確性が求められるのであった。
相手の弱点に合わせた攻撃を選択することがやはり大事で、相手の適性を一瞬で見抜かなければならないということだ。
ー第十一階層ー
ここでは一つのアーチャー部隊と戦う。
アーチャー部隊は以前も出てきたような能力を使い、周りの行動に大きな影響を受けて戦う少し特殊な部隊。
そのアーチャーのまとまり全てと対峙することとなるこの階層では、壁や高台などの障害物が現れていて、より実戦に近い形での戦闘が可能となる。
春香はここからの階層での戦い方は陽介に任せるつもりだが、今まで一緒に勉強してきた陽介ならばいとも簡単にこなしていくだろうと期待していた。
陽介の瞬間移動と魔術を組み合わせた攻撃はかなり多彩なバリエーションがあり、それは春香よりも多彩だという。
春香自身の能力は炎魔術に火炎操作と言ったところで、似たような能力を扱うのであるが、陽介は全くの別物。
大きな期待を寄せる意味も非常にわかる。
そして高台や壁裏から狙撃してくるアーチャーを背に、陽介は壁に隠れとにかく策を練っていた。
一度真上に瞬間移動して、壁の位置を把握し、矢が飛んでくるときには元居た壁に瞬間移動していた。
状況を把握できた陽介は、早速敵陣の一番奥にあるアーチャーが乗っている高台の下に瞬間移動し、光電の剣で支えている柱を全て切断した。
高台のアーチャーは足下から崩れ落ち、乗っていたアーチャーはみな潰された。
残りの高台は黒稲妻で焼き尽くし、壁の裏にいたアーチャーもすべて光電の剣で切り裂いた。
光電の剣の威力は光撃砲撃を直で食らうよりも凄まじく、高火力で扱いやすいがために陽介はすごく重宝していた。
また遠距離攻撃ではなく、至近距離攻撃の方が陽介が得意としているし、瞬間移動との組み合わせのしやすさという所で回避と攻撃のリズム生まれやすいというメリットも存在する。
およそ100という相手を行動開始から秒で倒し切ってしまう陽介の戦い方に春香は非常に満足そうな表情を浮かべていた。
春香の能力なら全体を燃やし尽くして片づけるところを、自分とは全くの反対である剣での戦いという所に陽介の成長をより親身に感じていた。
「陽介もやるようになったわね。私とは全く違う戦い方。まあでもまだ負けないわね...。」
少し言葉足らずだが、春香は陽介に対して自分自身の長所と短所を知り、それを思考、そして行動へ移せるようになるのは立派な成長の証だということを伝えている。
陽介も連続した魔術や瞬間移動に対して慣れが出てきたのか、今まで程の目に見えた疲れというものが見られなくなった。
そして陽介はあることを思いついた。
それは”光の大太刀がこの光電の剣によって撃ち込めるのではないかということである。
そもそも今までは自分の詠唱とイメージで魔術を撃ち、それを大太刀に刻まれた術式が反応することによって攻撃力を増幅させていた。
だが、魔力量が成長した今ならば、一撃の火力だけでなく精度も以前の方法に近づいているのではないかということだ。
さらに腰についている大太刀がなくなればさらなる速度上昇につながり、攻撃のバリエーション増加にも繋がると陽介は考えたのであった。
「春香。光の大太刀ってこの光電の剣でも撃てるんか?」
「それはやってみないとわからないわ。その剣の術式がやはり発動条件になってるかもしれないわ。次の階層で最初に試してみなさい。」
陽介の質問に対して春香は冷静に対応したが、内心は違った。
もし仮に光の大太刀が光電の剣によって発動できるとしたらどれだけ陽介の攻撃に幅を持たせられるかという可能性の塊のようなものであるという。
もし成功すれば自信をもってマリアーノに送り出せると思い、非常にワクワクしていた。
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