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転生魔術師の覇道譚  作者: 蒼翔ユウキ
第二章~インテグラリッシュ王国編~
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第16話~成長~

 ー第七階層ー


 ここには第六階層のウィザードが3体いる。

 そのためこの階層では魔術の回避能力、防御能力、そして攻撃の素早さが求められる少し難易度高めの階層である。

 

 「この階層からは総合力が試されるんだ。陽介の思うように戦いなさい。」

 

 三対一の数的不利な状態で相手は魔術を使って攻めてくる。

 俺は使える頭をフル回転させて作戦を練る。

 だが敵はまとめて攻めてくる。

 瞬間移動での回避も連続させると少し精度が落ちて、思い通りに飛ばないことも増えてきている。

 さらにウィザードが別々の魔術を使用し、俺を狙って襲ってくるので非常に厄介であった。

 右手に持った光電の剣で魔術を弾き飛ばしたり、魔術で相殺したりしてウィザードの攻撃を防ぐのが精一杯であった。

 

 「どうすれば...。いいんだよ!」

 ウィザードから繰り出される連続的な攻撃を防ぐだけで何も他に進歩しない。

 

 「陽介!まとめて相手してはダメよ。削れそうな奴から確実に仕留めろ!」

 春香がかなり声を張ってこちらにアドバイスを送っている。

 ただこの防戦一方の状況から反撃を繰り出すほどの隙が無い。

 

 ー 隙は無ければ作ればいいんだ...。

 

 俺は第五階層での戦いを思い出した。

 あの時は黒稲妻を撃ち込んでできた隙に付け込んで撃破した。

 先ほどと違うのは、相手はウィザードで遠距離攻撃を得意とする魔術師であるということだ。

 

 ならば結論は簡単だ。

 瞬間移動で移動し、超至近距離戦に持ち込んでしまえばこちらの光電の剣で斬り込みに行けるということだ。

 

 春香との戦術研究でも学んだことがある。

 遠距離攻撃を得意とする能力者は比較的防御力が低い傾向にあるということ。

 また、遠距離攻撃を得意とするものは、瞬間的な反応に鈍く、近距離戦に対応が間に合わないことが多いということだ。

 

 また、ここまで鍛え上げられた陽介の瞬間移動は、音速と同等に近い速度で行動することができ、超至近距離戦に簡単に持ち込むことができるということだ。


 「近づいて...斬る!」

 ウィザードから魔術が撃たれていてもお構いなしに俺は敵に飛び込んでいった。

 「まだ終わってなんかいねぇぞぉぉぉぉぉ!!!」

 

 至近距離戦に持ち込んだ俺は3体のウィザードを瞬殺した。

 

 「これ...この感覚...。これなんだよ!!」

 「少してこずっていたけど見事よ。もう少し早く気付けともっとよかったわ。」

 

 そう言った春香の顔はやや厳しい顔をしていた。

 陽介の戦いぶりにあまり納得していなかったのだ。

 陽介ならもっと早く気付けるし、もっと早く倒せるという確信があったからである。

 春香は自分と陽介は全く別物と理解してはいたが、どこかで自分と重ねて考えていたところがあったのだ。

 また春香は陽介の成長っぷりに関心はしているが、まだまだ戦場に立たせるわけにはいかないという思いと、ここまま送り出してはいけないという使命感、責任感から来るプレッシャーも少し感じていた。


 

 ー第八階層ー

 

 ここでは魔術弓使い(マジックアーチャー)の大群との戦いとなる。

 魔術弓使いの特徴は、それぞれが持つ魔術的能力を弓に込めて撃ってくる敵である。

 イメージは陽介の光の大太刀のようなものである。

 魔術弓使いは集団攻撃を得意とし、必ず他能力部隊と連携をとって攻撃を行ってくるが、この階層では他能力はいないため、単体での戦いとなる。

 

 「ここはさっきと一緒で遠距離攻撃を得意とする相手との戦闘だわ。でもさっきよりも数が多い。よく考えて戦いなさい。」

 

 春香からの説明を受けると一斉に弓が放たれた。

 炎を纏った弓に水流を纏った弓、電気を纏った弓に風を纏った弓など種類は様々である。

 

 「こんなんもう慣れたもんよ。瞬間移動からの後ろから光撃砲撃!!」

 

 ドカァァン

 

 「...あれ...。効いてない...。」

 それは敵の中に防御特化の魔術を使う者がいて、その敵の放った矢で光撃砲撃を無力化したからである。

 ただ陽介はそれに気付くことなく懲りずに光撃砲撃を撃ち続けた。

 

 何で効かないと考えるも一向に策が湧いてこなかった陽介だったが、あることに気付いた。

 それは陽介が攻撃する度に見える緑のような光であった。

 それが陽介の攻撃を完全に防ぎきっていたのである。

 

 「なるほどな...。通りで効かねぇわけだわ...。まずはあのシールド野郎をぶっ倒すことが最初だな...。」

 そうつぶやくと陽介は両手に込めてあった光を防御使いに向かって瞬間移動で飛ばした。

 「効かねえなら体内にぶち込んでやりゃ早い話だろうがよ!!!」

 すると防御使いを一瞬で消し炭にしてしまった。

 

 そして飛んでくる矢を避けながら瞬間移動で敵に接近しては光電の剣で斬りまくった。

 今まで倒せなかった理由が分からないくらいの速度で瞬殺した。

 

 「魔術無駄打ちしすぎ。相手のことに気付くの遅すぎ。陽介は何のために今戦ってるの?その戦いぶりで満足していたら一級品の能力者なんて目指すどころかその土俵にも上がらせてもらえないわよ。私はマリアーノ様と陽介が立派な能力者に育て上げることを約束したわ。けど今のまんまじゃ全然ダメ。何のために座学もやってたと思うの。陽介の戦術的な判断能力の向上の為よ。陽介は少し戦術的なところに欠ける戦い方をしている。まさにこの階層での戦いのようね。そこの改善が見られないようじゃ全く意味がないわ。」

 春香はもの凄い勢いで怒った。

 顔はまさに鬼のようで、すごい圧力を感じる。

 改善されなきゃ魔術を撃ち込むぞというようなオーラを纏っている。

 

 陽介はそんな春香の態度から重要なことに気付いた。

 春香はやはり焦っているのではないかと思った。

 陽介と春香はタイプが全く異なり、春香は陽介にはない瞬間的な思考力を持ち合わせている。

 思えばどんな時も的確で最も効率的な作戦を伝えてくれていたのも春香であり、俺は春香の指導の下戦っていた。

 春香の戦術に頼りきりになっていたのが原因で、自分で素早い判断というものができていなかったのだろう。

 それで陽介の戦い方が気に入らなかったがために、今回みたいに春香が怒ったのである。


 怒られてから陽介の頭はとにかく考えることでいっぱいになっていた。

 ”怒らせないような戦い方をしなければいけない。”や”少しでも気付きを早くするんだ。”などの思いで頭が埋め尽くされてしまった。

 

 

 ー第九階層ー


 ここでは武装したホブゴブリンとウィザードをそれぞれ相手しなければいけないフロアとなっている。

 この階層の特徴は近距離攻撃を得意とするホブゴブリンと遠距離攻撃を得意とするウィザードを複数ずつ相手する形になっていて、能力の応用力が今まで以上に試される。

 

 さらに今まであった春香からの指令もワンポイントアドバイスもない。

 これは全て己の力で突破しろというメッセージが春香なりに込められていた。

 ただ陽介には春香が怒っていてただシカトしていると勘違いしていた。

 そして必ず見返してやるという気持ちに心を動かされていた。


 ホブゴブリンもウィザードもこれまで戦ってきた相手で、データも頭の中に入っている。

 あとは己の能力をどう活用できるか。

 先ほどの戦いのように防御を使ってくる可能性だって加味しなければならない。

 

 そして陽介は一斉に襲い掛かってくるホブゴブリンを瞬間移動でかわし、ウィザードを引き付けてから光撃砲撃を放った。

 これは防御使いがいるか否かのチェック的な要素も含んでおり、あわよくば当たればいいなというマインドの攻撃であった。

 案の定光撃砲撃は弾かれてしまったが、陽介にはまだ余裕があった。

 これまで戦ってきた経験を生かしてウィザードの懐に飛び込み一気に光電の剣で滅多切り。

 ウィザードの衆を木端微塵にしてみせた。

 残るはホブゴブリン。

 まとめて陽介に突進してくるホブゴブリンを瞬間移動で引き付けて一撃、光撃砲撃を放ち消し炭にしてみせた。

 

 この階層での戦いは春香も関心していた。

 「陽介...。先ほどとは違い余裕が生まれたわね。いい戦いだった。やればできんじゃん!」

 第八階層の時とは違い、顔の緊張もほぐれて、さらなる飛躍を期待するかのような顔つきをしていた。


 次は第十階層。

 これまでの戦いを総括するための敵が現れる。

 陽介は非常にプレッシャーを感じていた。

 第五階層で死の可能性を覚えた陽介にとってはその時よりも強い敵。

 どんな難敵かとそわそわしていた。

ご覧いただきありがとうございます。

こちらの作品は不定期更新となっております。

また作者の語彙力のなさなど思うところはたくさんあるかもしれませんが、温かく見守っていただけると幸いです。

また、本作品はTwitterでの投稿告知を行っておりますので是非「転生魔術師の覇道譚」(@tenseimajutsusi)で検索していただけると助かります。

今後ともよろしくお願いします。

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