第14話~秘密迷宮~
一方そのころ陽介と春香は隣国からインテグラリッシュ王国に送り込まれるモンスター型スパイの討伐に行っていた。
実戦は特訓の中でも一番効率のいい練習であり、絶好の技の磨きどころと考え、春香が連れてきた。
いつもの広い草原ではなく、低木が少し生えているような湿地帯での討伐ミッションであった。
「陽介。瞬間移動を利用した連続攻撃の中で電刃連鎖とか光撃砲撃とか自分のやりたいように戦ってくれ。」
「瞬間移動。からの黒稲妻!」
「そっから光撃砲撃!」
「ん~...。黒稲妻はかなり安定して使えるようになったな。けど問題は光撃砲撃。前みたいに撃ってすぐ垂れるみたいなことはなくなったけど、まだ足りない。火力が低いな。じゃあ忘れかけてると思うから一発光の大太刀を使っとけ!」
「集中しろ。我が光の力、金光の光となりてこの剣に、この一振りにすべてを与えよ。光の大太刀!」
光の大太刀は以前より大幅に火力が上がり、俺の能力の上昇は身に染みて分かる。
ただ一向に光撃砲撃だけは成長を感じられなかった。
「あら陽介~。特訓の調子はいかが~。」
「魔法の神官!お疲れ様です。今は詠唱をカットした魔術の使用を目標に特訓してるんですけど、光撃砲撃だけほんと上手くいかなくて...。」
「マリアーノ様。ご無沙汰しております。陽介なんですが魔術ランクは確実に上がってて能力も確実に成長しております。ですが少し物事をイメージすることが苦手なのかと...。ですが実戦でも使える魔術レパートリーは増えております。」
「それならよかったわ~。春香ちゃんに頼んだのに陽介が全く成長していなかったらハピダルになんて言えばいいかわからないものだからね~。とりあえず頑張りたまえよ。」
なんか陽介には魔法の神官の顔つきや声が少し強張っているようにも感じた。
「陽介!またあなたを狙った戦いが始まる可能性があるわ。それもアンドロメダ皇国が敵よ~。」
「マリアーノ様。アンドロメダ皇国と言いますとあの...。」
「そう。召喚者が一人いるわ。召喚者がいるということは前のような生温い戦争じゃない。かなり厳しい戦いにもなるわ。」
「そうなると俺の成長は必須であると...。」
「もちろんそうだわ~。陽介の成長は我々エクスパンドライズにとっても利益になるし、敵にもかなりの脅威になるうるわ。それに今回の対アンドロメダ皇国戦線においてはハピダルとも話してインテグラリッシュ王国との共同戦線を張ることが決まったわ。だからいつ起こるかわからない有事に備えてしっかり特訓しなさ~い。じゃあ私はこれで失礼するわ~。」
魔法の神官の言葉に空気が一気に冷え、緊張が走った。
能力によってまた新しい戦争の始まりを予知したということである。
「聞いたわね陽介。私たちのような能力者は国民を守る為に戦う義務がある。それを全うするためにお前を徹底的に鍛え上げる。だがら私についてこい。」
そういうと春香は周りのモンスターを一瞬で焼き尽くして、湿地帯の奥の方に歩みを進めた。
ある程度歩くと春香は足を止めた。
顔を上げるとそこには大きな城のようなものが現れた。
それは黒い雲に覆われていて、周りのは雷が落ちているようなところだ。
例えるならば魔王城という表現が正しいだろうかという見た目をしている。
「あそこが秘密迷宮だわ。今から秘密迷宮に行って急速に陽介を成長させることにしたわ。今までとは違い少し難しいけどその分成長は見込めるわ。私がバックアップについてるから大丈夫だわ。あと5日で30階層まで行って一気に仕上げるわよ。」
経験を大量に行うために、30階層ある秘密迷宮をに潜り短期間で濃密な特訓を行うためである。
春香はこの後近いうちにエクスパンドライズがアンドロメダ皇国との戦争になるだろうと悟ったのだ。
この秘密迷宮では各階層ごとに多くの敵がおり、インテグラリッシュ王国の能力者の鍛錬のために作られた施設で、レベルの高い能力者から低い能力者まで様々な人が挑戦してきた過去があるという。
春香自身も秘密迷宮は特訓を兼ねた暇つぶし程度によく来るという。
ー第一階層ー
ここは骸骨人間の巣窟で難易度は比較的低めである。
「春香。ここは俺に任せてくれ。一人でいろいろ試したいんだ。」
「分かったわ。ただここではあんまり体力を使い切らないように気をつけなさい。まだまだ階層はあるから無茶はしないようにね。」
「じゃあ行ってきます!瞬間移動!」
「電刃連鎖!瞬間移動!からの黒稲妻!!!」
ー うわぁぁぁぁぁぁぁぁ
骸骨人間の衆を一撃で完全に撃ち落とした。
ここ1カ月半の積み重ねから以前より自信を持って戦っている。
思えば学生時代も同じだった。
中学時代のサッカー部では毎日毎日必死に練習して、試合ごとに反省してまた練習の繰り返しの日々。
よかった時も悪かった時も何事も次のアクションへの架け橋だったということ。
努力する癖が今この世界に来て活きているということだ。
俺の中でわずかに感じる成長が形になって初めてインテグラリッシュ王国に来て、特訓してよかったと思えた。
ただまだここはダンジョンの一階層目であり、敵も雑魚ばかりである。
「陽介いいじゃん!詠唱カットの術式の発動もスムーズにできてるし、火力も悪くないわ。それに瞬間移動を合わせた攻撃も今までよりも迫力があっていいわ!」
「あとはこれに光撃砲撃を組み込むと自分なりにイメージしている攻撃になるんだけどな...。」
「この程度の敵なら光撃砲撃は使う必要はない。なるべく最小限の体力消費で敵を倒すことを考えるんだ。実際の戦争の時も無駄は一切省け。」
ここにきてかなりきつめの春香の指導がまた一段と厳しくなっていた。
ただそれは陽介を急速に育て上げて、一級品の能力者としての道を歩ませるという使命感から来ていたが、春香自身も内心焦ってはいた。
春香は誰かを指導するなんてことは今回が初めてで、今まで自分の能力強化、効率重視の考え方で急速に成長した能力者であるため、非常にマイペースであるが、せっかちでもある。
一回思うようにいかないとすぐさま解決案を提案してくれる素晴らしい教育者だが、少し気が短いのが難点である。
ー第二階層ー
ここも骸骨人間の巣窟だが先ほどより量が多い。
「陽介。ここは一撃で決めなさい。ここらへんで光撃砲撃を試しておくべきよ。」
「光撃砲撃!!」
瞬間移動を繰り返し、骸骨人間を一か所に集めて放った光撃砲撃は、見事に敵を一蹴した。
光線は垂れることなく真っ直ぐ進み、光撃砲撃はイメージ通り現出したのだ。
「上手くいった...。上手くいったぞぉぉ!!」
「見事だな陽介。私のアドバイス通りってところかな~。」
春香は少しうれしそうな顔をして、笑みを浮かべた。
実は前日に光撃砲撃の打ち方についてアドバイスを受けていたのだ。
今まで右手に光を集めて、それを押し出すように打ち込んでいた。
それを両手に光を集めて、思いっきり前に押し出すという新フォームに変更すると言うアドバイスを受けていたのだ。
その威力は自分の体が魔術の反動によって押し返されるほどだ。
ただ春香に言わせれば、まだコントロールが甘いというが、それはここから上の階層に上がっていくにつれてどんどん強化されるだろうということらしい。
実際魔術ランクも上がっており、日々のトレーニングの成果からか、魔力量も上昇しているという。
「じゃあ次。行こうか。」
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