第11話~非完全体~
俺は大きな剣を振りかざし、光の大太刀をあいさつ代わりに放つとそこには衝撃波とともに稲光の様な雷光が撃ち落された。
その威力は凄まじく、そこに直径2キロ、深さ30メートル程のクレーターができた。
魔力増大の術式が組み込まれた剣のおかげで魔導士レベル以上の威力を誇る必殺技が完成したのであった。
そこにいた敵はほぼ全滅。一瞬にして戦争の半分を終わらせてしまったのである。
丘の上から草原の真ん中に向かって撃ったため、敵軍は両断され、連絡手段も途絶えたためほぼ半壊していた。
そして両サイドではエリスとイザベラによる最高火力の攻撃が行われていたため戦闘自体はほんの3分程度で終わってしまった。
後方支援に回っていた葉山と柊とロジェスタンスのメンバーはその強さに唖然としていた。
「なんて威力だよ...。あんなん敵に居たら勝ち目ねぇな。ハッハ」
葉山の笑い方がいつもの様な高笑いではなく、少し引いているような笑い方だった。
それもそのはず、転生してきておよそ2カ月でイザベラに並ぶ魔導士並みの魔術が使えるとなると引くのもおかしくはない。
ただ、葉山は双方技術者がいかにロマンのある異能者であり、陽介の成長速度にさらなる可能性を感じていた。
そして早々と戦闘を終え、教会に帰還していた。
「非常にスムーズな戦闘で見応えもあったわ~。陽介の成長ってのもよくわかりけるし今回は出陣させて良かったと思うわ~。とりあえずお疲れ様だわ。今日はゆっくり休みなはれ~。」
魔法の神官もこの戦闘を術式を使って見ていたという。
口調はいつも通り落ち着いていてなんか変な日本語だったが、表情はかなり引きつっていた。
魔法の神官曰く、今回の陽介が使用した光の大太刀の威力はイザベラの地獄水魔を超えるほどの威力であり、その威力はこれからの成長次第では倍にも3倍にもなるというまさに最強の術式であるといえる。
しかし今回の戦闘でその威力・火力が発揮されたのは、葉山の攻撃力増強バフと術式の組み込まれた剣のサポートがあったからだという。
さらに、位置的関係と相手にハイレベルの魔術師がいなかったことも、今回の威力を発揮することができた要因であるという。
陣地も圧倒的に有利なところからの攻撃であったため、相手をあまり気にせずに戦えたということが大きな要因であるということだろう。
そのため、イザベラの地獄水魔のように敵との戦闘の中で使用する高火力魔術として扱うのにはまだ訓練をしっかり積むべきであるという。
ただ、俺は今回の戦闘で手応えを感じていた。
初めて使用した光の大太刀の圧倒的威力に心を完全に奪われてしまっていた。
さらに自分自身の未知なる可能性を感じていた。
短期間で習得した魔術に瞬間移動を使った連係攻撃の組み合わせで相手を圧倒できるということを頭の中で妄想していた。
自分の能力の扱い方にもかなり慣れてきてからのこの戦闘で何かを掴んだのだろうか。
顔つきも闘士のようで非常に生き生きしているようにも見える。
「陽介~。ちょっとこっちに来なさいな~。」
俺は自分の今日の活躍に若干浮ついていたところを魔法の神官に呼び出された。
「今日の経験ってのはかなり大きなものだったと思うわ~。けど貴方の才能はこれがまだ序章と言っても過言ではないわ。はっきり言って初めての大きな戦闘だったから多少浮ついてしまうのはしょうがないと思うわ~。私には何でもお見通しだわ~。」
「俺としても今回の戦闘でつかめたことはたくさんありますが、これがまだまだ手始めってことくらいは認識しています。ただ初めて光の大太刀を使ってみて他の術式による火力の増幅があったとしてもあれだけの破壊力を出せたということはいい収穫だったと思います。少し試したかった事があるとしたら、敵陣の中で瞬間移動を使った攻撃魔術との連係攻撃ですかね...。」
「自分自身のやるべきこととかしっかり分析できていることはいいわ~。実際貴方がよく成長しているのも伝わってきた。ただ今回の戦争が起こったことで貴方の存在が世界に広まる大きなきっかけになったわ。これから更なる難敵が現れる、戦争が起こる可能性も否めない世界状況になってきた。少なくとも大国が手を出してくることはまだないだろうけど、権力を、利権を手に入れたい小国は双方技術者という一つの看板がほしっくてまた手を出していく可能性があるわ。幸い我々は今回の戦闘での消耗は極めて少なくあそこの戦場に空いたクレーターくらいだわ。」
「俺の能力の成長ってところも今後の課題ですね...。俺が強くなればここは平和になるし、俺が強ければ周囲のメンバーなしを引っ張らずに済む。まだ特訓する必要があるってことですね...。」
「陽介の悪いところはその性格かもしれないですわね~。陽介は何でも一人で何でもどうにかしようとしすぎですわ。チームのメンバーだっているしこの教会のメンバーみんな貴方の仲間なんってことをお忘れで~。全部自分で~って抱え込んでしまうのはやっぱりよくないし、せっかく仲間がいるんだから頼るがいいわ~。少なくともあなたはここで一番の後輩なのよ~。先輩を頼りなさ~い。」
そうだ。
俺はここで一番の新入りで本来ここまでできるって算段ではなかった人間なのである。
自分自身だけでどうにかしようって願い・思いが強すぎて周りが見えていなかったのである。
俺の光の大太刀があれだけの威力を出せたのは、多くの人がバフをつけて、結界を張って、いいムードを作ってくれたからである。
ー 何でも一人で抱え込んでどうにかしようとしてるわけじゃないけど、それが態度に、表情に出てしまっているということか...。
ここまで柊に救われて、葉山に技の使い方を学び、エリスとイザベラとともに戦い学んできた。
誰かに手を借りないと人というのは簡単に成長できるわけではないということである。
少なくともこの世界に転生してからの生活というのはすべてがゼロからのスタートだったからそれは当然のことである。
いろいろなことを肌で感じて、いろいろな経験ができたのも周りの人の協力が大きな要因であるに違いない。
俺やここの支配下の人たちを守る為に魔法の神官が動いていて、それを守る為に俺たちのような魔術者、異能者が戦っているということ。
一人の人の動きに対して必ずその周りの人間が何らかの影響を受けて動いているということ。
つまり、自分ばかりになっていた俺の考えを根底から叩き直す必要があるということだ。
「魔法の神官!俺のほかにもっと高レベルで優秀な双方技術者ってどこかにいないか?そいつに稽古をつけてもらいたい。ここの支配下でなくてもいい。友好国くらいはあるだろ?そこにいる双方技術者から戦についてだけじゃないすべておことを学びたいんだ!どうにかできないか?」
「いないとは言わないわ~。ただ私の考えは前から一緒なの。貴方になるべくここに居てほしいの。貴方の存在を失いたくないって考えってことは前にも伝えているはずよ~。」
「頼む。どうしてもなんだ。ここには必ず大きくなって戻ってくる。いないわけじゃないなら俺の成長のために協力してくれよ!」
「まったく...。仕方ないわね...。ならインテグラリッシュ王国に行きなさい。私から話をつけておくわ。明日の朝、私の転移術式で転送するからここへ来なさい。」
そんな流れで俺は一定期間、ここエクスパンドライズを出て稽古に行くこととなった。
自分よりも高レベルの双方技術者からどんなここを得られるかわからないが、ただただ楽しみであった。
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こちらの作品は不定期更新となっております。
また作者の語彙力のなさなど思うところはたくさんあるかもしれませんが、温かく見守っていただけると幸いです。
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