おでかけ4
「ただ、面白そうだな、とも思いました」
最近時々感じるようになってきた、加賀や楓君に対する気後れするような気持ち。
私に足りない色々な物を持ってる彼ら、加奈子にこの前言われた刺激物は大賛成ってあの言葉。
「環境が人を作るって事、最近その意味が少し分かるようになったんです……私は、きっと色々足りていない」
RPGゲームで考えると良く分かる、例えば私はそこそこ裕福かもしれないけど中々の世間知らずな村娘とかで、加賀とか貴文さんとかは由緒ある騎士の家系とかで、渚とか楓君とかはやっぱりお姫様とか王子様とか? つまり……その立ち位置にそぐう経験を積み重ねてきた人達。
で、大切なのは、そんな人たちに私が出会えた、って事。
「ここって、レベル上げにはとても良さげな狩り場ですよね?」
「面白い、さすがこいつの選んだVIPだわ」
「……狩り場、お前、相変わらずの表現力だな?」
「そう? クラスチェンジに必要な経験値を得る為の狩り場、入場資格にそもそも沢山経験値要求されそうだけれど……って、言い得て妙と思うのだけど」
いつも表現力がどうこう言われるけど、今回は中々のピタリ賞だと思うのだけど。
貴文さんはクスクスと笑っていて、加賀は困った奴だと言いたげに眉間にしわを寄せて、でもどこかホッとしたようにひとつため息をついた。
「ありがとね、加賀よく考えてみるよ」
その後も色々貴文さんまで一緒に校内を案内して貰っての帰り道、お礼を言う私に
「お前の将来考えたら悪い話じゃねー筈だ、前向きに考えて欲しい、分相応とか言ってただろ? そんな風に思わせたんなら、謝る、そんなつもりは無いし、そう思ってたらここを勧めたりなんか」
珍しく妙に必死な加賀
「うん、ちゃんと理解してる、加賀は見学しやすいように100%配慮してくれたって……一緒の学校行けたら良いなって思ってくれたんでしょ?」
「あぁ……まぁ、栗田の目指す方向性とは違いそうだし、揉めるかもしれねーけど」
「ん~、加奈子とは大学は離れるからそれは平気かな」
「マジ? あいつがお前離すとも思わねーけど」
「やだな、どれだけべったりと思ってるんだか、加奈子はお家の仕事を継ぐ気で居るから、ご両親の出身校に行くはずだよ」
そんな話は昔からしていたし、私と同じクラスになって以降、それが今はたったひとつ残る彼女の昔から決めていた目標……。
「そっか、もう後1年ちょっと、なんだね、高校って」
散々聞かされてた話だからとっくに覚悟は出来ていると思っていたけど、改めて認識すると素直に寂しいなって思う、ちっとも覚悟なんて出来ていなくて……
「レベル上げ、か」
「ん?」
少し前にも進路調査で幾つかの大学を書いて提出した事があった、私の学力に見合った、それなりの知名度のそこは、まだ見学すらも行ってなくて、でも余りじっくり話す事の無い両親も私も進学だけは決めていたから、後は何となく決めれば良いかなと思っていた。
加奈子と違い、私は、家を継がない。
「ん~、取りあえずさ、勉強、もう少し頑張ろうかな、どこ行くにせよ学力は邪魔にならないし、塾のクラス置いてかれたら、なんか悔しいし」
「そこは寂しいとか言う気は無いわけ?」
「どうだろ? 揶揄ってくる人が居ないと平和かもしれないけど?」
「んだと? 後ろに俺が居なくなってから気づくんじゃ遅いからな」
軽口をたたき合いながらも、ふと思う、皇樹を目指さなかった場合は加賀も居なくなるんだって。
加奈子の行くところと違い、皇樹は距離的に遠い場所では無いけれど、でもあの校風に馴染んでいく彼を想像すると、世界は変わってしまうんだろうなって、思う。
そんなことを思いながらふと隣を見上げると、真っ直ぐぶつかる見つめている視線
「加賀は寂しい?」
ついほろっと出てしまった言葉に、彼は目を丸くして……そりゃそうだろう言ってしまった自分も吃驚だ
「くっ……お前な? 言いながら自分が驚いてるんじゃねーよ」
そんな私に加賀は吹き出して
「……そう思ってなかったら、こんな事しかけねーし?」
後に続いたのはささやくような小声だったけれど、とても真摯に聞こえて。
そして、そんな風に思ってくれていると言う事はとても嬉しいなって、思った。
続きは次週月曜日予定です




