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柊高校物語  作者: 萌葱
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おもしれー……女?

昨夜からの怒濤のup祭り、加賀君目線の現段階の胸の内でひとまず終わりにしたいと思います。

この後もう1人を今週中に出せましたら、その後は1週1話位で更新して行けたらと思っております。

ただでさえ色々苦しい夏に、勢いで始めてしまい戦々恐々ではありますが、彼らを皆様に読んで頂けると思うととてもわくわくしています。

今後暫く続く予定の柊高校の物語どうぞよろしくお願い致します。

 おもしれー……女?

 第一印象はそんな感じだった、女子にしては背が高いすらりとした体型にまっすぐの黒髪をショートヘアーにして、ボーイッシュというよりも尚、男寄り? ……そんなクールな印象通りに、しゃべっても女特有のベタベタしたとこはなく付き合いやすい……その癖、現国の授業中に限りかっとんだ答えを飛ばしてくるんだから、最初は耳を疑った。

  

 塾では前の席だったが高校ではクラスが離れてたから姿を見ることは少なかったが、ばっと目をひく瀬文や一部で有名な栗田なんかと居ることが多くて、栗田は兎も角、瀬文がくっついてるのはキャラが全然違うだけに記憶に残っては居た。

 それが最近は1人で居る事が増え、あげくに妙な噂が俺の耳にまで入ってくるようになって……知らねーフリも出来たが、どうにも気になって声を掛けた結果……何ていうか、予想外だった。


 下らない、勝手な被害者意識からの誤解と冤罪から発生したと思われる、殆どいじめとしか思えない現状。

 なんでやり返さない? こっちに理があると思わせる答えも、幼馴染のネットワークも使えるくせに身にかかる火の粉を払おうとさえ、していない。

 だけどこいつは、自分のことは放っておいて周りのことばかり心配して居て……。

 要領悪くね? とも思う、俺も、お前のその幼なじみも、お前の武器はそんなに弱くない。

 俺を攻撃してくる奴なんてそもそもそんな居ねぇし、その幼なじみの加奈子とやらは今季の1年生の中では知る人ぞ知るって存在だ。

 だけど、俺はそんな不器用さを悪くねぇな、とも思った。


 身勝手な噂に晒されても、自分のことはさして構いもせず、切っ掛けになった相手さえ守りたいとか言ってるこいつも、その力を持ちながら、使わずに大事な奴の窮地をただ見守るって、その友達も。

 幼なじみらしいふたりの関係は、聞いた噂の内情は胸くそ悪い女のドロドロ劇なのに反し、妙に清涼感すら感じるもので。

 

 俺にとって塾は成績の為ってよりは、周りを納得させるための道具みてーなもんで、要は俺が、今の高校(トコ)に通っていけてるのは塾に行ってるからってアリバイみてーなもの。

 加賀(ウチ)の一族はなまじ力を持ってるだけに面倒事は多く、当主が(ジジイ)なのもあって、派閥だの後継者がどーのって話は日常の一環。

 中でも本家筋の貴文は有望株で、だからこそ周りの奴はことある毎にその足を引っ張ろうとしてくる。

 俺と貴文は学年にして5年違うが、昔から馬が合って良く連んでたせいか周囲は俺達を比較したり貶めたり、引き離そうと根も葉もないうわさ話を流したりって、こんな物正面から立ち向かうの馬鹿らしくて……だから、ちょっと俺の爪は隠しておこうかって事になった。

 俺と貴文と両方の親と話してこれがベストだとは判っちゃ居るし、勉強に関しては効率は良かったから文句はなかったが、そんな息が詰まる人間関係を見てきた俺にとって楠って存在は、ちょっと目を覚まされる感覚があった。

 大事なモンが何かちゃんと判ってて、それだけを大事にしようとする愚直さ、塾の講師に指されて適当に決めたって誤魔化しもせずに言っちまう率直さ、そんなんは、俺の揶揄う言葉への反応にも顕著に表れていたから……つい、しょっちゅうからかっちまった。

 

 だけど、その日の楠はなんか妙だった

「だから、Aはあり得ない、判るか?」

「あぁ! 成る程、しかし、この主人公は言葉が足りないね」

「……そこを読み取るのが小説ってモンだろ?」

 約束してた現国の予習を終えるとふうと息をつき、俺を見る

「あのさ……加賀、好きなものって有る?」

「あ?」

「食べ物とか飲み物とか?」

「なんで急にそんな事?」

「え……っと、ちょっと気になって?」

 こいつにしては歯切れの悪い物言いと、妙に探ってくる雰囲気にイラついた、まさかと思うがそこらの女みてぇに、ちょっと勉強教えたって程度のことで簡単に男に惚れたりするのか?

 そんな可能性にたどり着いた瞬間、何か頭の奥がカッとなって

「特に思いつかねぇ……っと、時間余ったしちょっと出てくるな」

 自分でも強引と思う話の切り方をして、其の儘教室を出た。

 

 だけど、その次の塾の日に

「なんだ? これ」

 あげるって渡されたのは甘納豆だった。

「いつものお礼、この前なんて早出してまで勉強教えてくれたしいつも悪いなって、好み聞こうとしたら、行っちゃうんだもん、だから私の好みにした」

「……」

 そうだった、そういう奴だった……って知ってた筈なのに、勘違いしてあしらった自分を殴りたい

「悪かったな? 気を遣わせた、でもたいしたことしてねーし礼とかいらねーから」

「そう言ってくれると思ったから、聞きにくかったんだよね、でも受け取って、おいしいよそれ」

 惚れてるとかどこの馬鹿が言ったんだと思う、なんの裏もなく俺を見る透明な視線、それはとても心地良いと思うのに、少しだけ物足りない、なんて身勝手すぎてとても言えない。

だから、ほんと……全部勘違いって事に、したわけで。


ここまでお付き合い頂き感謝です。


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