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柊高校物語  作者: 萌葱
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おでかけ

「楠、月曜日って空いてるか?」

「それって、この前の代休? 空いてるけど、どこ行くの?」

「まるっと1日付き合ってくれねーか? 昼も込みでめんどー見るから、お前は時間さえ空けてくれれば構わねぇし」

「また、そんな……ま、いいよ、付き合う」

 今までもお休みの日にどっか遊びに行ったり、買い物行ったりはしたことあったけれど、そんな時、加賀はいつもエスコートは完璧で困ってしまう。

 お昼やお茶もさらっと払ってくれちゃって、そりゃ加賀も私も(ココ)に通ってるくらいだしお小遣いには不自由してないけれど、一方的なのは受け取りにくい。

 かと言ってあれだけスマートに支払いを終わらせてるのに、こんな事で店内でもめるのは論外だとは思うから

「も~、じゃ火曜日はお昼持ってこないでね」

 そして私が決めた結論は、お昼ご飯の押しつけ。

 対価になんてならないって自分でも思うけど、なんならそーゆーコトするなら素人弁当食べる羽目になるよ? ってほんのり嫌がらせ寄りだったはずなんだけど、加賀は思った以上に喜んでくれちゃって

「助かる、じゃあな」

 当たり前みたいに嬉しげに頷くと、何だか忙しそうに加賀はさっさと教室を出て行ってしまった。


「なに? ここ」

 そして、約束の月曜日待ち合わせた駅からそのまま電車に乗って数駅、連れてこられたのはとても凝った作りのの大きな一軒家、だった。

「これから行くところの準備、さっき約束したとおり、後でいくらでも文句は聞くから取りあえず今日は従ってくれ、んで、お前はココで服を着替えてメイクな」

「は!?」

 とんでもないことを言い出す加賀は、そのままチャイムを押してしまい、すぐに出てきた中学生くらいの男の子に

「いつもお世話になってます、今日は彼女をよろしくお願いします」

「は? え?」

「じゃぁな、楠、1時間後に迎え来るから」

 そのまま私を預けて、何処かへ行ってしまった。


「こちらへどうぞ」

 まぁ、約束はしたし、と観念し案内されるがままに奥へ通されると、突き当たりの部屋にはその男の子のお母さんだという女性が居た

「いらっしゃいませ、アトリエNARUMIにようこそ、今日はよろしくお願いしますね」

 って丁寧に挨拶してくれたんだけど、私がここが何処かすらも良く分かっていないと知ると、凄く楽しげにコロコロ笑って

「あらあら、それでは驚いてしまいますね、私どもは生業(ないわい)としてファッションのトータルコーディネートを請け負っております、加賀の方々とも創業当時からのお付き合いとなっておりますので、ご安心頂ければ……ですので、こちらにお召し替えになって頂けますか?」

 いかにも着心地のよさげな、温かみのあるチャコールグレーのジャケットにホワイトシルクのカットソーと深みのあるブラックのパンツを私に渡した。

 促させるまま更衣室に入り着替えてみて驚くのは、その肌ざわりの良さと、何故か私の体にぴったりなこと……加賀にスリーサイズなんて教えたこと無いけど?

「いかがでしょう? 窮屈でしたり、緩いようでしたら……」

「あ、いえ、驚くくらいぴったりで……」

「良かったです、ふふ、ご安心下さい? 職業柄私がお客様をのサイズが判るというだけですので」

 丁寧ながらも親しみを感じる声音は、サイズのみならず私の気持ちまで見通していて、ここの接客の質の高さを肌で感じる

 別に知られて困るって訳では無いけれど、知らないうちに加賀がそんな物を把握してたら、流石に加奈子を締め上げなければいけないところだった。 

「よくお似合いです、では、こちらに」

 そうして促されたのは大きな鏡の前のソファー

「お化粧の経験は?」

「殆ど無いです、今年のお正月に着物を着たときくらいで……」

「確かに、乗せるのが勿体ないほどのお肌です、でも、少しだけ整えさせて下さいませ、お着物と同様に本日のお召し物ですとそちらの方がよろしいかと思いますので」

「お任せします」

 素直にそう答えて、すべてを預けるつもりで目を閉じた。

次話、来週月曜更新頑張ります

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