写真
「あ、優穂ちゃん居た! これ優穂ちゃんの」
3学期が始まってすぐの休み時間、渚ちゃんが綺麗な封筒を私にくれて
「ごめんね、この後私理科室なの!」
そのまま、慌てたように教室から飛び出ていった
「何だ? それ?」
加賀は不思議そうに封筒を見つめていて、でも私も何だか判らなくてそのまま封を開け白い便せんに包まれた少し固い何かをするりと出して無防備に開いてしまい
「~~っ!!」
慌てて再度封印し、封筒に戻そうとしたんだけど
「何だよ? それ」
「うん、気になる……写真?」
2人とも、明らかに挙動不審だった私とその原因の封筒を見て居るから、不用意に渡してきた渚をちょっと恨んでしまいそうになる。
「ちょ、ちょっと待ってて」
後ろを向いてもう一度それらを取り出し、中の写真を見てみて、ほっと息をつく、流石写真を趣味にしているという渚の叔父さんが撮ってくれたものだけに、自分とは思えないくらい綺麗に撮れていた、だからこそ、何だか色々ものすごく恥ずかしく、耳のあたりが熱を持つのが判る。
「優穂~? この私に隠し事とは……」
「見せるって! ちょっと心の準備がね」
写真の束を加奈子に渡したけれど、見ているところは見たくない、顔を背ければ加賀と目が合い
「俺も良いか?」
興味津々って顔に書いてあって
「……良いけど、揶揄ったら、怒るよ?」
そのまま加賀は加奈子に手を出して、加奈子は見終わった写真を其の儘回しているのに教室を出て行きたくなってしまう
「本当にめっちゃ綺麗、どうしたの? これ」
写真と現物を見比べながら聞いてくるのが判るから居たたまれなくて、ぼそぼそと事の経緯を話せば
「ほほう、太っ腹なお婆さまだね、良いお着物だよ、これ……って、なんて顔してるの? 凄く綺麗だよ、よく撮れてる」
「私もよく化けたなーとは思ったけど、でもなんか色々凄く恥ずかしくて」
「生で見たかったなぁ」
しみじみため息をつく親友の言葉は真実味があって、ホッとしていると
「加賀?」
珍しく揶揄う言葉も無いのは刺した釘が効いたのかもしれないけど、そんな素直だったっけ? とも思う。
「加賀君?」
加奈子までが不思議そうに加賀の顔の前で手をひらつかせて
「……この写真、くれねぇ?」
「ええっ!?」
「ああ、私も欲しい! お母さんにも見せたい、きっと驚く」
カナママは、小さい頃からよくお世話になったからまだ判るけど、加賀の方は揶揄いにでも使う気なんじゃ無いかと思うと素直に頷く気になれなくて
「ネタにしない?」
「しねぇ……し、えと、親戚がな?」
「うん」
「成人式の着物探してて……これ、良くねぇ? って」
「ぶはっ!」
「か? 加奈子?」
急に吹出して咽せだした加奈子に驚いて、背中をさすりながら
「親戚に見せるなら私だけのにして置いて、もしかしたらふたりに迷惑掛けるかもだし……あと、多分その着物一点物だと思うよ?」
「問題ない、お前だけのにするし、親戚は……イメージだけ伝われば」
「くぅ……くくっ」
咽せた後、加奈子は何だかどっか痛いのか、何なのかぷるぷるしてるし、加賀は写真1枚だけすっと選び私に見せて確認したら、それをジャケットの胸ポケットにしまいながらさっさと席に戻ってしまうし
「限界……ちょっとトイレ」
「え? 授業始まるよ」
「……お腹痛いって事にしておいて」
加奈子はとてもお腹が痛いとは思えない速度で教室を出て行ってしまい。
渚からの封筒は幸い揶揄われずにはすんだけど……ほんと何なんだろう? これ。
次作も次週月曜日頑張ります




