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柊高校物語  作者: 萌葱
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帰り道

見切り発車感は否めませんが、2月から開催のアルファポリス様の恋愛小説大賞にエントリーしました。

週1更新は原則変わらずですが、この期間意識的にこの世界に浸かり、先に向けて進みたいと思います。

見守って頂けましたら嬉しいです。

「優穂ちゃん忘れ物は無い?」

「はい、大丈夫です」

 私の返事を聞くと、加奈子のお父さんは優しく笑って、車を出発させた。

 大晦日の日も初詣に出かける直前に帰ってきたけれど、明日行われる新年早々の会議に出る為ひとり自宅に戻るそうで、忙しく飛び回っているのは相変わらずのようだ。

「ゆっくり休めたかい? 加奈子が凄いテンションだったから大変だったろ」

「いえ、楽しかったです、……私、凄く心配、掛けてたんですね、加奈子だけで無く、カナママにもカナパパにも」

「君にそう呼ばれるのは久しぶりで嬉しかったよ」

 あの日を境に変えたこの呼び方……だけど、別荘にお世話になる時についほろっと口に出てしまうと自分でも驚くほど言い馴染んでいて、ついそのまま過ごしてしまった。

「伸吾君にも倫子さんにも随分会えてないな……相変わらず頑張っているようで名前はよく聞くけれど」

「そうですね、本当に仕事仕事で、体壊さないと良いんですけど」

「……君は、大丈夫か? 殆ど一人暮らしに近いと瑠璃子や加奈子から聞いているが」

「カナママにも加奈子にも沢山助けて貰っています、去年体調崩した時も面倒を見て貰って、よく夜ご飯とかもお世話になって」

「はは、どんどん来てくれ……君は我が家にとってはもうひとりの娘のようなものだ、こんな事を言ったらあのふたりに怒られるかもしれないがね」


 そうなのかな? 怒ったり、するかな? うちの両親は。

 つい、そんな事を考えてしまい慌てて首を振る、久々かもしれない、この感覚、じわりと心に雲が掛かりそうな時、私は昔はよくこうして払っていたような……?

「おや? 寒いかな? 気温を上げようか」

「いえ、大丈夫です、考えたら遊びすぎて殆ど宿題進んでないの思い出してしまって、戻ったらやらなきゃ……って」

 取り繕うつもりで言った別の真実は、でも口に出すと思ったよりも懸案事項で今更ながら焦る

「うぁ……現国だけでも大晦日の時にやっておけば」

「しっかり者の優穂ちゃんにしては珍しいね、大晦日か、そう言えば今回は面白いゲストがいたね、加賀君……中々の大物だ」

「いつもの冬休みはたっぷり時間があるので油断しました、でも、大物? なんですか?」

「そうだね、とても権力を持つ一族だ……当人を見ていると、とてもそんな風には見えない、気さくな子だったけれどね」

「ですよね……」

「けれど、色々、高校生離れはしていると思うよ」

「高校生っぽくない、ですか?」

「……優穂ちゃんは感じない? 他の子とは違うな、とかね」

「あんまり知らないんです、他の男の子、彼は塾も一緒で何だか気があって、勉強とか色々助けて貰って、こんなに一緒に居る男の子って初めてで……もうひとり仲の良い男の子は居ますが、後輩なんですけど、彼も凄くしっかりしてるから……」

 昔から知ってるカナパパとこんな話をしているのは何だか恥ずかしくて、下向き加減につらつらと話してたら、急に返事がなくなって 

「……っ?」

 ふと隣を見ると眉をひそめて、眉間にしわが寄ってて驚く

「あ、いや、ごめん、良い関係だと思うんだ、人に恵まれた良い高校生活を送ってるんだと嬉しくも思う……ただ、言ったろ? 君はうちの、もうひとりの娘みたいに思ってたから、あの僕のスカートの陰に隠れていた子がなって思うとね……ちょっと複雑だ」

 その反応に私の胸は有り難いとも、切ないともなんとも言えない思いがこみ上げる……お父さんに、私の大切な友達の話をしたら、こんな風に答えてくれるのかな?

「うん、でもね、僕は君を娘のように思っては居るけれど、友達のお父さん、だから言える事をあえて言っておこうと思う。」

「カナパパ?」

「とてもいい、縁だと思う、ただ、きっと彼も背負う物の多い子だから、もしそのへんの事で困ったら、ひとりで抱え込んだら駄目だよ? もし伸吾君や倫子さんが忙しくて相談が出来ないときは僕たちもいるって、思い出して欲しい。」


 ああ、私は、本当に恵まれている。

 なのに、なんでかな? 胸の何処かが少しだけ、なんだか寒くて。


次回更新は来週月曜日となります

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― 新着の感想 ―
[一言] 例え周囲の人に恵まれていたとしても、では自分の親はと考えた時に複雑な心境になるでしょうね。 いくら仕事の為とは言え、まだ高校生なのにほぼ一人暮らしなんて淋しいですよね。 頑張りすぎるのも心配…
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