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柊高校物語  作者: 萌葱
37/61

ダンス

相変わらずタイトル付けが下手です、もっとピシッと付けたいのですが……。

この所1話ずつが少し長めになってしまっています。

お時間有るときにお付き合い下さい(とはいえ、1000文字程度ではありますが)

「凄く評判良かったらしいよ」

「歓声凄かった物ね、良かったよ」

「Wキャストな分、岬先輩の胸に迫る演技と優穂の殺陣のシャープさがそれぞれ際立った、って」

「そか、嬉しいね」

「楓君もお姉様ファン増えたよ~……でね、再演決まった」

「……うぇ?」

「優穂は、ダンスを練習することになりました♪ パチパチパチ」

「……いやいやいや、なんかおかしくない?」

 一見慈悲深げな笑顔、でも、これ、押し通す系のやつ……どゆこと? 最初演劇部に協力することすら反対して無かった?

「そんなの! 問題が解決したのなら私は演劇部につくよ」

「つくって、なに!?」

「私はね、優穂のその感受性ぶっ壊れは元々のもんだけでは無いと思ってる、だから、刺激物は大賛成!……明日、部の方から正式に依頼したいから来てほしいって、行くよね?」

 ……ぶっ壊れ? 微妙に残念娘から進化してる気がするんだが? 心配しているのも、私を思ってくれてるのも良く分かるだけに、否定はしにくいんだけども、さぁ……


「白いブーツが恋しい……」

「……ドレスにそれは、流石に無理だろ?」

「人生でこんな歩くのが嫌だって思う日が来るなんて」

「先輩? そこまで苦痛ならそのシーンの削除、依頼しますよ?」

 ぐちぐちと呟く私に加賀は苦笑していて、楓君はどうも本気の色を見せて言ってくれるから、一瞬それも良いかもとか思ってしまう。


 評判の良かった劇の再演、文化祭での出来事としては異例らしく、その期待に応えようとした結果、再演にワンシーン付け加わることになった。

 しかも例の一連の事件の犯人である彼女の加筆で。

 心底反省し曇りのない視点で見たあの劇は、エンターテイメントの重要さを心底知らしめ、脚本家としての彼女の胸に火をつけたらしく、この話が決まってすぐに、その提案をして来たらしい。

 岬先輩にも私にも見せ場が加わる形で……って、それは、彼女なりの反省でもあるのだろうし、いろいろな気持ちの浄化の結果と思えば、結局は受け入れるのが最良……とは、思うの、だけど。


 ハイヒールというものを生まれて初めて履いてみて、運動全般には苦労したことはない私もこれは勝手が違うとしみじみ思った。


 振りを覚える事そのものは殺陣とあんまり違いが無いんだけど、足元が安定しないってのがこれ程のものとは……あとさ

「加賀、もうボディガードは要らないし、再演(コレ)まで付き合わなくて良いんだよ?」

演劇部の問題が解決するまでボディガードを買って出てくれた彼は、それだけでも申し訳なかったのに再演の手伝いまで巻き込まれていた

「別に暇だし構わねーって、つか、俺レベルに踊れる奴、多分(ココ)でもあんまいねーぜ?」

 そう、追加シーン私は楓君とのダンスシーン……ドレス姿での。

 殺陣が評判良かったなら、何故追加も殺陣ではいけなかったのかな? って、正直思ってる。

 流石に普段のダンス練習にドレスまでは着ないけど、ハイヒールは慣れなきゃいけないのもあって靴は必須で

「右左前……っ!」

 ステップの度にあっちにふらふらこっちにふらふらって

「先輩大丈夫、リードは僕がしますからまずは靴に慣れてください」

「足踏むかも、とか、考えるな、こっちはちゃんと避けれるし逃げる余裕も有る、まずは俺に合わせろ」

 交互に相手役してくれる彼らは、よろける私を支えて尚余裕があって、何だかひたすら情けない気持ちになった。


「うん、少しは、安定してきたかな? でも、加賀には借りばっか増えてく気がするなぁ……」

「……お前さ、もう、あんま借りとか、考えんなよ」

「ん?」

 ここは、ダンスの練習に演劇部が借りている空き教室、再演日まで間が無いし、今は私のダンス練習が最優先で放課後はほぼここに居る状況。

 なぜだかダンスまで得意だった加賀と、これまたそんな物までこなしてみせる楓君の協力もあり、3日目には漸く形にはなってきて、踊ってる間くらいはヒールにも我慢できるようになっていた。

「俺は結構面白がってやってるぜ? 演劇(この)手伝い、とかさ、別に強制されてるとも思ってねぇし」

「そりゃ、まぁ、嫌そうとは思わないけど、出演者でも無いのに毎日でしょ? 加賀にはこれ以上付き合わせるのは悪いかなって」

 そう、実際踊りながら喋れるくらいには余裕も出てきていて

「……それさ、もし俺来なくなったら、お前ココで楓とふたりっきりで練習とかになるけど?」

「衣装係とか部長とかそれなりには来るけど?」

「あのな? このダンス練習中に誰が何人来たか、なんて俺は全部言える程度だぜ?」

「それ、加賀の記憶力故じゃ無い?」

「褒めてくれてんのは分かるけど、そーゆー問題じゃねぇな」

「えー、でも私覚えてな……っ」

 急に背に腕が回りくるりとターン、ココでそんなステップあったっけ?

「お、うまくなったな、ちゃんと付いてこれてる」

「吃驚した、舌かむかと」

「俺、お前といるのは楽しいぜ? だから、コレは俺の選んだ俺の選択肢、そら、もうひとつ」  

 くるんくるんと予定に無いステップにクラクラする、けど

「っと、あれ? ちょっと楽しい?」

「そりゃ、そもそもダンスって楽しくなるモノだ、それによ、……トモダチと一緒にいるってのも、そんな礼とかいらねぇし楽しいもんじゃね?」

「そりゃ、そう……だけど、でも一方的なのはなんか、さ?」

「なことねーよ、俺は今お前に付き合ってて楽しいし、お前の現国の珍回答聞いてるのだって、おもしれーし?」

「……加賀の娯楽なの? 私の回答」

「まぁ、100パー違う、とは言わねーけど、今のはそーゆー話でもねぇ……し?」

「っと!」

 また、くるんって! でも、なんとなく加賀の表情(かお)から来るって分かった、から

「お? 乗ってきたか? お前さ……もうちょっと色々考えるのやめろ」

「ん?」

「多分、考えすぎなんだよ、元々向いてねーのに」

「失礼な」

「現にお前の体はあんま考えない方がダンスに乗れてる、だろ? それに、少なくとも俺はやりたいことやってる、お前のその律儀さは悪いもんじゃねーけど、借り、とか、変な遠慮、とか、俺は要らねーって言われてるみたいで……っ」

 最後に一つ大きなターン、そして、耳元で小声で

「……却って、傷つくぜ? それ」

 はっと、その瞳を見つめれば、優しいけれど少し困ったような色を乗せていて、思わず言葉を失ってしまった、の、だけど

「加賀先輩? いい加減交代良いですか? 限界です」

 不機嫌そのものの楓君の声に吃驚して、今何をやってたかを思い出した。

演劇編のオマケと言いますか……。

もうちょっとだけ続きます。

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