なんでこんな事に②
楓くん目線の練習風景その2となります。
とは言っても、いい事も無い訳ではなくて……
「ジェラルド2音目のキンッ! ってとこ、立ち位置逆にして、ヒルダ合わせられる?
「うん、いけると思う、楓君行ける?」
「ええ、大丈夫です」
「お疲れ! さっき楓君の分もお茶買っておいた」
「ありがとうございます、じゃ、次は僕が買いますね」
「律儀だね、じゃぁ交代で行こうか」
「楓君! 帰ろう」
「はい! 塾の前に何か食べていきます?」
「そうだね……どこ行こっか?」
例えば、これの最中は毎日先輩と一緒に居られる。
放課後は殆ど毎日劇の練習をして、そのまま一緒に塾へ行く日もあれば、結構動き回るとお腹もすいて、寄り道することもあるし、何もなくて家に帰る時も途中にある分かれ道までは一緒に帰れる。
「楓! 今日塾の前にFF寄っていこうぜ」
「寄り道は賛成しますけど、FF……ですか?」
「あのジャンクさがいーんじゃねーか、時々無性に食いたくなるんだよな」
「変な習慣付けると太りますよ?」
「るせぇよ、成長期だほっとけ」
「え……やっぱこれだけ動いててもヤバいかな?」
「お前はもうちっと肉付けてもいーんじゃねぇ?」
「加賀先輩、それ、セクハラというのでは?」
とはいえふたりきりでは無く、当然加賀先輩も一緒で、だけどこれは仕方が無い、優穂先輩の安全には変えられないし、それに……
「あのっ! そのタオル私がお洗濯したらダメですか?」
「ごめんね、そういうの人に頼むの苦手なんだ」
断っても、ぎゅっと唇をかみしめて潤んだ瞳で僕を見る……そんな目で見られてもって思うけれど、去り時に困ってしまう、かと言え、ここで折れたらとんでもないことになるのは目に見えてて
「おら楓、部長がお呼びだぜ?」
強引と言って良い強さで俺の肩を押して
「わりぃ、こいつ借りていくな?」
部長が僕に? 演技指導はさっき終わったと思うけど
「先輩?」
「良いから合わせとけ、どうあっても受ける気ねーんだろ?」
スタスタと優穂先輩達の居る一角に引っ張って行くから、助けてくれたんだと判る。
「あのっ! 一緒に帰りませんか?」
練習が終わるなり女子数名に囲まれた
「ごめんね、ちょっと帰り寄るところがあるんだ」
「それ! 私たちも付き合います! だから……」
何か、もう……本当に、面倒くさい、思わずほっといてくれって言いたくなると
「楓っ! 何やってんだ? 置いてくぞ」
あえてなんだろう、よく響く迫力のある低音が少し苛立ったように僕を呼んで
「ごめんね? 先輩呼んでるから」
そうすると不満げながらも僕を囲んでいた一角を開けてくれる。
「すいません……僕、先輩生け贄にしてますよね?」
「生け贄って、お前、語彙力楠に似てきてねぇ? 大丈夫か?」
「でも、積極的に敵意集めてくれてますよね?」
「何のことだか、俺は腹減っただけだし?」
クッと頬の端で笑う先輩は本当に大人で。
優穂先輩のためとはいえ、放課後を毎日潰すボディガードをさらっと引き受けてくれた上に余力で僕まで守ってくれて
「楓君! ごめんね、私が行こうと思ったら加賀に怒られた」
「たりめーだろ? 何のために楓がキレずに耐えてると思ってんだ?」
「私だって楓君呼ぶくらい出来るよ」
「馬鹿、女の先輩ってだけで嫉妬するぜ? あいつら」
「うっ、まぁ、それはそうかも……」
時として、僕を守ろうとしてくれて暴走しがちな優穂先輩のストッパーまでしてくれるんだから、心強いのも確かで
「加賀先輩、良いですよFFで」
こんな譲歩がお礼になるのかも判らないけど、先輩は判ってるって言うように僕を見た。
「お、んじゃ、サイドメニュー全制覇行くかな」
「……いくらなんでも、太りますよ? 先輩」
急に寒くなりました。
多分大丈夫と思うのですが、体調が少し不安定でして、乗り切れればいつも通りの翌月曜日更新となりますが、もしかしたら多少前後するかもです。
延期等する場合は活動報告にて、お知らせいたします。




