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柊高校物語  作者: 萌葱
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災厄の訪れ

難産でした……加賀君は99%出来てると思って読み直してから、が、中々辛い目に遭います(作者が)。

まぁ、彼自身も中々の想いをしているので痛み分けという所でしょうか?

※最初の15分ほどタイトルを間違えてました、下書き用のメモのまま……お恥ずかしい限りです、ごめんなさい。

「カリナが来日する」

「……っ! いつ?」

「明日から3.4日とは聞いてる」


 土曜日に掛かってきた、災厄の訪れを知らせる電話。

 カリナ……一族の頭領の最愛の孫娘。

 優秀で有能で機械のごとくパーフェクトと称される彼の、唯一の弱点。

 明日から俺の時間は忙殺される。


 ただ、ちょっとだけ、思った。

 これで暫くの間考えないで居られる?

 まだ、恋も知らないような女に惚れて、でも側に居るだけで楽しかったから、ゆっくりで良い、俺と居ることであいつの中にそーゆー気持ちが芽生えればって、待ってるのも悪くないって、思ってた。

 だけど、加賀は無いって……あの言葉が、胸にまだ刺さった侭で、存在を主張するようにズキズキと痛む。

 判ってる、何も知んねぇからそんな事を言うんだって。

 楠は何も悪くねぇ……って。

 あいつの側は居心地が良すぎて、友達とか彼女とか何も考えないで近づいた、結果楠は俺を栗田みてーな、親友と似たような位置に見てる。

 俺の気持ちが友情の侭ならば光栄なことだと、本気で言える、真っ直ぐで率直で嘘の無いあいつに認められたって。

 だけど俺は……お前をもう、トモダチなんて思えなくて。


「学校は15時に終わるのよね? ならハイヤーを校門近くに着けるわ、遊園地行くの!」

 これが、7歳の発言なんだから……(ジジイ)本気かよって思う。

「今、ユウイチロウにはトクベツナヒトは居ないようね、良かった、だからいっぱい遊んでね?」

 厄介なのはこーゆー情報を中途半端に、溺愛されたお姫様の耳に入れている奴が居て、それが誰だかわかんねぇってコト。

 完全に調べが入ってるなら、そもそも俺が楠に執着してるなんてバレてる筈って思うが……色々不完全って所に嫌な予感がする。

 多分動いてるのは、雲霞のように群れたり散ったりを繰り返しながら、事あるごとに足の引っ張り合いを続けている一族(バカ)連中。

同族さえ喰い合うような連中に俺の執着する女の存在が知られれば、どんな発想をするか……想像するだけで、ゾッとする。

 だったら、()の存在は隠すのが一番だって……それには、俺の行動制限しかないって、理解し(わかっ)ては居たが……。


「わりぃ、マジ急いでるんだ、またな?」

 何度繰り返しただろう? こんな会話。

 嘘じゃ無い、カリナは学校の時間は正確に把握して、ほぼ毎日遊園地だ水族館だって俺や貴文を振り回してる。

 そのたびに、うん、またね? なんて寂しげに目を伏せ……でも、けなげに笑って。

 最初の頃はそんな顔を見せてくれるのは、少しだけ俺の痛みを和らげてくれた、……俺が居なければお前は寂しがるのか? って。

 

 だけど所詮は数日って思ってた期間が伸びていくのに、そんな余裕もなくなった。

 元々しつこいタイプじゃねぇ楠はもう俺には近づいて来ねぇし、今は物問いたげに俺を見つめる視線を時々感じる位。

 だからって言い訳をするにもドコにスパイがいるかも判らねぇ今は、無理だって判ってる。

 何より一族(アイツラ)に楠を気づかせないよう必死すぎて、これだけこんな事繰り返せば、カリナが帰った後、俺の居場所があるかも判らないって、気がついて青ざめたのは、最初は数日って聞いてた滞在が随分過ぎた頃だった。


 爆弾みてぇなお子様だが、その境遇には同情もあったし、ちょっと前なら気が済むまで付き合っても良いって思ってもいた。

 だけど、授業中少し離れた後ろの席でお前の背中から目を離せない俺がいる、もう随分その声さえ聞けてなくて……飢えるってこんな感じか? って思う。

 恵まれた国でそれなりに恵まれた立場で生まれて、体の飢えってもんを俺は知らねぇ……だけど胸の奥に居るダダを捏ねるガキみてぇな俺が、会いたいってずっと喚いていて。

 

「やっと帰るぞ? 明日の便らしいがどうする?」

「見送って、その足で塾に行く」

「了解、空港行く前、車で拾いに行く」

 貴文からの電話に漸くと、ため息が漏れる、どのみち見送りしてれば学校は微妙だ、なら、ココできっちり終わらせて、塾に行く。

 やっと会いに行ける、それは待ち望んでいたと同時に敢えて考えないようにしてた事でもあった。

 ろくに説明もしないまま離れた俺……怒られるのも詰られるのも覚悟は出来てる、ただ、もう知らねえ、って背を向けられたら?

 心をそのまま映すようなあいつの瞳に、どうでも良い人間と映るかもしれないと思えば……それだけは、怖いって、思う。

 神頼みなんて普段したこともねー癖に、こんな時だけ頼りたくなる。

 もう一度「加賀」って、いつもみてーに呼んでくれるなら、今はまだトモダチの(オマエが望む)ままの俺で居る、だから……。

 そのまま、机の引き出しを開け、いつかあいつから貰った白い封筒に入ったお守りを手に取る。

「交通安全には荷が重いよな……」

 そんな事分かりきってるのに、それを戻すことさえ、出来なくて。


お付き合い頂きありがとうございます、続きは来週となります。

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