どうして……?
時間があったらあったで迷ってしまう物だと実感しました。
ともあれ、よろしくお願いします。
最近、加賀の様子がおかしい。
今まではクラスでも普通に顔を合わせていたし、塾でも席は私の後ろで……時間があえば一緒に帰ることも多かった。
なのに、最近はクラスには殆ど居なくて、授業が終わるなりするりと居なくなってしまう
塾も、来たり来なかったりで、来たとしても入り口近くの席に座って、本当にさっと帰ってしまう。
最初は用事でもあるのかなって思っていたし、暫くは何か忙しいのかなって思っていた
それが3日続けは流石に何だか変だって思うし、気がつけば1週間近くも、授業の確認(これはいつも私からのだったけれど)
に軽口の叩き合いなんてものをしていなくて。
……どうして?
そして過去が蘇る、ある日突然距離ができてしまった渚の件。
でも、あの時は少なくともお互いに切っ掛けはあって、今回はどう考えても私には理由が判らない。
何度かクラスを飛び出すときに呼び止めてみたけど、妙に優しい顔で、ごめんちょっと忙しいなんて躱されて、軽い笑顔でごめんな? なんて、いう。
そうすると、私はどうしたら良いか分からなくなってしまって。
私は加賀に一体何をしてしまったんだろう?
そんな饒舌でも無い癖に、私を揶揄うときはぽんぽんと言葉が出てくるから、頭に来る時もあったけれど、私が何かに困ってる時は自然に差し伸べてくれていた手、気がつけばいつも当たり前みたいに側にいた。
加奈子とも渚とも違うし、男子ではあるけれど、親友みたいに思っていた。
その加賀から突然距離を置かれて……私は途方に暮れてしまっていた。
渚の時の反省もあって、私なりに話を聞こうとしたり時間を作ろうともしたのだけれど、笑顔での拒絶って……そんなの有るんだって、初めて知った。
もう、一緒には居られないのかな?
「先輩……」
加賀に避けられていると感じてからちょっとして、今日は塾に顔を出した加賀を追いかけようと思ったけれど、もうその背中は遙か先で……ため息をついてたら楓君の躊躇うような気遣うような声。
ここ数日のわたし達の不自然な様子は明らかだから、そりゃそうだよなって思う。
「最初は、普通に急いでるのかな? 忙しいのかな? って思ってた、でも、これは、違うよね、私避けられてる」
「加賀先輩が自分から先輩と離れる、なんて考えられないのですが……何かありました?」
眉間に皺を寄せて考えこむような顔をして呟くように言うのにも
「心当たりがないから、こうして何度か聞こうとしているんだけどね……せめて、塾の帰りだけでももう少し待っててくれれば……って、この状況で待っててくれるわけないか」
馬鹿な自分に少し笑ってしまう
「……あの、柊って名門って言われてますよね、それって偏差値も必要ですが、名家の子女が多いからって知ってますよね?」
「うん? 確か楓君の家も一族のグループ会社みたいな話してたね、他にもどっかの創立者一族とか、お茶だったかお花の家元のお家とか……総合商社の会長の孫、とか? 結構居るって聞いたことあるかも……うちはそう言うのあんま関係ないから気にしたこと無かったけど」
「……そういう家って、しがらみも多くて、一族固有の問題って結構あるんです、僕も加賀先輩のお宅の事情は判りません、でも、もしかしたらって、今は先輩、そういう事にしておきませんか?」
私でも加賀でも無く一族の中での何かのトラブル……加賀にとっては大変なことかもしれないけど、私たちには関係ない、何らかの事情?
「大丈夫です、きっと状況が落ち着けば先輩は話してくれます……ひと月以上このままだったら、僕が罠仕掛けてでも足止めします、その時は先輩存分に聞いてください」
物騒な冗談を言いつつ、優しく笑う楓君、本当に彼はこの数ヶ月で見違えるほど大人びたなって思う、そんな考え方私は思いつきさえしなかった。
「ありがとう……うん、もうあんまり考えないことにする、それくらいならゲームするよ! ごめん変な話して、そもそも、ソフトの交換するって来て貰ったんだよね、駐輪場行こっか?」
「はい、今回のきっと先輩好きですよ? 歯ごたえたっぷりの戦略シミュレーション!」
「おぉ、期待出来るねぇ……そっちも欲しかったけど、私どうしてもSWの新作出ると見逃せないんだよ」
「良いですよね! なんて言っても圧巻のムービー」
「うん! 今回も期待に応えてくれた、楓君も堪能して」
「楽しみです」
大好きなゲームの話をしていると、胸に小石が詰まったようなどうしようもない苦しさを少しだけ忘れられる、楓君は、もう一切加賀の名前は出さずにゲームの話に乗ってくれて。
また、加賀といつも通りに戻れる日が来るのか、今は判らない、だけど追いかけても逃げてしまうならば、私はもう追いかけるのはやめておこうと思ったんだ。
読んで頂きありがとうございました。
続きは来週月曜日になります。




