すれ違いのじれ甘
最近は予約投稿を利用しているのですが、今回先に予約している方が消えてしまった為もしかしたら2重にになる可能性があります。
帰宅後確認しますがおかしなことになっていたらごめんなさい。
「加賀、いい本知らない?」
「感想文用か?」
夏休みの宿題読書感想文、私の1番苦手なもの。
先日から夏期講習の休み時間ごとに読んでいた小説は、読み終わったものの『感想』となると、どこから手を付けて良いのか判らなくなって……選択ミスをしみじみ自覚した昨日だった。
「終わったんだろ? アレ、感想文なんてオマケみたいなもんで、要はちゃんと読んだかの証明程度に考えて良いと思うが?」
「うん、だけど、原稿用紙が『全く』埋まらないのでは、流石にマズいかなって」
「まぁな? なんで寄りにもよって恋愛もん? って思っちゃいたが」
加奈子に借りたのはここ最近のベストセラーで映画化もされるという話題の一冊。
本そのものは漫画以外は何でも良いと言われているし、感情がメインのものなら『感想』って書きやすいかもって、思ったんだけど、ね
「あー、そーゆー発想だったわけか……んで、感想は?」
「思ってることははっきり言え」
「……多分、アレの醍醐味はソレできねーからこそのすれ違いって奴だと思うぜ?」
「帯にも有ったね、そんなキャッチコピー『すれ違いのじれ甘』がなんちゃらとか?……私はその醍醐味には辿り着けず、感想文1行で終わっちゃった。」
「まぁ、行間読む系の恋愛ものだしな、塾終わったら図書館でも行くか? 感想書きやすそうなの見てみようぜ」
「暑いのにごめん、飲み物くらい奢るから」
図書館のあるビルにたどり着いて自動扉をくぐると、さっと冷えた空気が体を包んで……その心地よさに体の力が抜けて、そしたら良いことを思いついた
「出来るだけ短いのどうだろ! いっそ詩集とか?」
「あのな? 文字が少なくなればなるほど『意をくみ取る』とか難しいぞ? 俳句とか短歌とか得意だっけ?」
「……めっちゃ苦手です」
でも、その思いつきは加賀に一蹴された
「知ってる、本来は適度な長さのわかりやすいテーマのある小説とかなんだろうけど……楠、時間あるか?」
「ん?」
「1本有名どころの短編解説してやる、それなら読み直すのも楽だし、俺もまるごと教えてやれる」
……こういう所、本当に面倒見が良くて、いつもの揶揄い癖はどこに行くんだろうと思う
「ありがたいけど……お礼、アイスで良い?」
ジュースよりランクアップしてみるけど、いつもお礼出来てるのかな? 悪いなって思う、今日だって1、2冊おすすめの本でも教えてくれればって思ってたのに……。
「良いな、終わったら駅ビルのアイス屋行こうぜ?」
「む……」
「なんだよ? おまえよく行くじゃん?」
「思い出した、この前もお礼って言ったのに、加賀ってば私の分払ってくれちゃって……私、お礼出来てない!」
そういえばそうだった、あの日の宿題、こんがらがった読解問題。
ゆっくり紐解いてくれて、するすると解きほぐされた物語とその手腕に感動して、お礼するよって誘ったのに!
「……おまえさ、楓とかに甘い癖に、甘やかされるって苦手だよな?」
困ったようにそんなことを言われて吃驚してしまう
「私が加賀にお礼をする理由はあっても、加賀が私にお礼を言う事なんてあんまり無いでしょう?」
「俺がお前を甘やかしてぇ……とか思ってるって言ったら?」
私を……甘やかす? 加賀には確かに勉強教えてもらったり、頼ってしまっている部分はある……だけど、それを当たり前って思うのは駄目だと思っている。
同学年の友達なのに頼りすぎたら、対等でいられない、だから、それは受け取れない、かな?
私は加賀の後輩でもないし、ちゃんと友達でいたいって答えたら、くすりと……加賀にしては気弱に笑って。
「はいはい、今日はちゃんと礼を受け取るよ」
何でかな? 受け取ってくれるって言うのはホッとするんだけど、どこか苦しげなのがちょっと引っかかった
少しタイトルで遊んで見ました。
ここまで読んでいただきありがとうございます。




