ふぁんくらぶ?
お付き合い頂いた上に、いいねや誤字報告感想等誠にありがとうございます。
本当に励みになります。
水曜日にお休みがあるので可能でしたら水曜午前にもう1話upしたいと思います。
力尽きましたら、又次週月曜日となります。
「先輩! これ、例の攻略本です!すいません、ちょっとここ隠れてるので、見なかったことにして下さい!」
教室でしゃべってたら、ガラッとドアが開いて楓君が入ってきた、其の儘教卓の中なんかに入り込むのに思わず加賀と視線を見合わせたけど……加賀は教卓の前に立ち、私は教室のドアを閉めた。
それから1.2分? なんか廊下がざわつくなと思った途端ドアがガラッと開き、そこに並ぶのは数名の女子生徒、見覚えはないし……多分全員1年生?
「瀬文君来ませんでしたか?」
必死に言いつのる手元には紙とペン
「……知らないよ」
「本当ですか? この辺の教室大体見てみたんですが、それに……先輩って、瀬文君と仲いいですよね?」
気の強そうなひとりに睨まれるけど、教える筋合いは無いと思うんだよね?
「楓が何かオマエらにやったのか? なら話、聞かねーわけでもねーけど?」
「加賀?」
教卓から離れてこっちに来た加賀は彼女たちが手に持ってた紙をペッて持ち上げて
「あっ!」
「……ファンクラブの誓約書ぉ?」
「返してください! 大事なものなんです!」
「オマエらの用事ってそれ?」
「ほっといてください、先輩達には関係ありません」
「へぇ? なら俺達も関係ねーけど……オマエらさ? 追っかけ回してるってことは本人嫌がってるんじゃねぇの? そんな事したってアイツ手に入らねぇぞ? 嫌われるだけだ」
「……っ!」
嫌いって言葉は、凄く強いと思う、その攻撃力は私もよく知ってる。
「ひどいこと、言うんですね」
「そうか? アイツは多分直接は、お前たちにそんな事は言わねぇだろう、だが嫌だから、逃げてる」
その言葉に硬直した彼女達に加賀は畳みかけるように言葉を重ねていて
「代わりにそんな可能性があるって言ってやる俺は優しい先輩じゃねぇ? よく考えろ? ……それに、お前らの理由がそれなら、ここに例えば楓が居ても、居なくても、協力する気はねぇな」
きっぱり言うと、気圧されたように彼女たちは後ろに下がり……加賀は其の儘、ドアを閉めてしまった。
そして、暫くドアの前では人の気配はあったけれど、少ししたら静かになって、そしたらやっと楓君は疲れた顔をしてそこから出てきてくれた。
「すみません、ご迷惑おかけしました」
「気にすんな、しかしお前結構面倒なことになってねぇか?」
「ずっと、あの変な紙にサインしろって言われてるんですよね、もうホントに勘弁、なんですけど、先輩の言うとおりベースが好意で有ることを考えるとキツいことを言うのは躊躇ってしまって」
「ま、この場合正解かもな、あんまバッサリ行くと、妙なとこを不満のぶつけ先にしかねない」
「はい、僕もそれが怖くて……」
なんか2人ともこっちをみてブツブツ言ってるけど意味がよくわからない
「不満のぶつけ先?」
「気にすんな、こっちの話、……モテる奴がフリーだと厄介だな? 案山子でも作るか?」
「本物の案山子なら考えますけどね、生身の人間である以上その人に迷惑がかかる、出来ませんよ」
なんて、ツルツルとふたりで会話を進めてるんだけど、私はよく判らない。
「案山子? どゆこと?」
「さっき、あいつら紙持ってただろ? あれ、楓のファンクラブを認めろって紙」
「……ふぁんくらぶ? あのアイドルとかの?」
「そーそー、ウチでも時々居るぜ? そーゆーの持ってる人気者 例えば春日、とか? あいつはそれ使ってとっかえひっかえって聞いたことはあるな」
我が校の有名な光源氏的人物の名前に思わず楓君をまじまじ見てしまう
「加賀先輩、敢えて最悪の例を出さないで下さい、さっきはちょっと感謝したってのに」
「お? そうか? だってお前あんまりしらっとしてるからよ?」
「お互いが納得してれば良いとは思いますよ、そう言う人たちが居ると言うのは人気者だってステータスにもなる、女子だったら、彼らに守って貰う、その代わり誰のものにもならず、公平にファンクラブのメンバーには接する、みたいな」
「何となく判ったけど、なら何で渚にはないのかな?」
校内での人気者なんて言ったらすぐ浮かぶ彼女、でもそんな物あるって聞いた事もない
「アイツは既に強烈なのがもう出来上がってるみたいなもんだ、崇拝者みたいなのが多いだろ? 逆に言えばだからお前があんな目に遭った、とも言える」
「なるほど……私はある意味抜け道で近づいたくノ一みたいに思われたのかな?」
「先輩は渚ちゃんの命を狙ったわけではないですけどね?」
「相変わらずだな、お前のその現国センス」
「ほっといて……んで、案山子って?」
「要は弾よけだ、そいつにはもう彼女がいる、とかさ」
「いや、作りませんよ?」
楓君はふるふると首を振っていて、加賀はそれを同情半分面白半分みたいな顔で見ていて。
そっか、入学早々トラブってクラスに友達居なかったのも厄介ではあったけど、とても好かれるって事もなかなか大変そうだ。
ありがとうございました。




