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柊高校物語  作者: 萌葱
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天神様

すみません、この暑さの中冬の話、我ながら違和感があります。

個人的事情により、この先リアルが過酷になる為、投稿がランダムになります。

書き溜めてある部分までは極力週1は目指したいのですが…。

長さ自体はまだまだなのでお付き合いいただけましたら嬉しいです。

「なんでお前そっち? 家逆だろ?」

 冬期講習も終わって、駐輪場を出ていつもと全くの逆方向へ走り出す楠に声をかければ

「ちょっとこの先の天神様へ行くんだ」

「はぁ? まだ、進路すら決まってねえのに?」

「私じゃないよ、楓君のお守り欲しいなって」

 戻った返事に、ホントこいつ、あいつに甘ぇよな? って思う。

「神社……例の汁粉屋の近くだな」

「うん、ついでに寄っていく? そういえば久しぶりかもね」

 この前甘納豆も補充したが、年末年始の人の出入りで茶請けとかにも使われてたし、それも悪くねーかなって思った。


「流石、学業の本家、お守りだけじゃなく鉛筆なんてあるんだねぇ」

 汁粉屋を越えて更にその奥のうっそうとした森を目指すのは知ってたから道は問題なかったが、楠はその入り口ではたと気付いたように

「楓君ならお守りもう持ってそうだよね?」

 なんて言い出した。

 まぁ、みるからに愛され坊ちゃん系だし、親戚なんぞから集まっては居そうだが

「うーん……あんま重なると負担になっちゃうかなー」

 とは言ってもここまで来て戻るのも……と、ブツブツと呟いてた楠は売り場でそれを見つけて、パッと顔を輝かせた。

「うんうん、これなら使い切ったら無くなっちゃうし、良いかも!」

 何となく取っとくんじゃねぇ? とは思うが

「楓の合格祈願ねぇ……」

 あいつにとって俺は楠のオマケ程度のものだとは思うが、それでも礼儀正しく先輩なんて言って来るし、入試上手くいきゃ良いなって位には思ってる。

 でも多分、こいつが渡す神社とおんなじとこのお守りなんかを渡したら、楓にとっては縁起モンにはならなくなるんじゃねーの? って気もして

「俺は賽銭だけ少し弾んでおくわ、あんま構っても重いだろーし」

「重い……」

 ここで、若しかしたら自分のも? とか考えるんだから、こいつの鈍さは筋金入りだ。

「お前のをそんな風には思わねぇだろ、つか、間違っても現国の試験の時は出すなって言っとけ」

「失敬な! 最近はずいぶんマシになったって言われてるんだから」

 跳ね返るように戻る言葉に

「そりゃーな? 全く上達しなけりゃ塾も沽券に関わるだろ、俺も甲斐がない」

 こっちもつい、揶揄う言葉を重ねてしまうと

「もう良い、これあげない」

 そう言えば、楠の手元にはもうひとつ包みがあって……

「なんだ? それ」

「加賀、バイクの免許欲しいって言ってたから、交通安全のお守り、ここで買えば試験のご利益もつくかなって思ったんだけどね」

 其の儘、塾の鞄に仕舞ってすたすたと歩き出すのを慌てて追いかける

「待て待て、勿体無いだろ? なんでしまうんだ」

「良いよ、楓君に試験会場迄の無事を祈ってこれも渡す」

「俺のために買ったんだろ? 違うやつに渡してご利益あるのかよ!?」

「だって加賀、私からのご利益はいらないんでしょ?」

 本気で怒ってはいないみたいだが、拗ねたように尖らせた唇にからかい過ぎたって自覚した。

「ごめん、欲しい、お前からのご利益、だから、それ、俺にくれねえか?」

 すると、ぴたりと足を止め、落ち着きを取り戻す様に大きなため息をひとつ、そして鞄から白い小さな包みを出すのに、我ながら大げさに思うほどホッとした

「はい、でも、免許取っても本当に気をつけてね」

 俺のからかいに拗ねてた癖に、かけられた言葉は柔らかく優しくて。

 危うく楓に流されかけたその白い包みを、俺はそっと、ダウンの内ポケにしまった。

 


読んで頂きありがとうございます。

可能でしたら今週中に後1話頑張りたいと思います。

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