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柊高校物語  作者: 萌葱
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瀬文 渚

詳しくは活動報告の方につらつら呟かせて頂きましたが、見切り発車ながら新作開始したいと思います。

状況説明を兼ねて3話ほどぽぽっっとupしその後は整えつつ進んでいきたいと思います。

基本はいつも変わらずの鈍感主人公とその周り達の青春物語となります、愛でて頂けたら嬉しいです。

「あれ? 優穂? 今日の体育って体育館に変更だったけど、そっちは違うの?」

 校庭に向かってたら廊下で会った加奈子に声をかけられて嫌な予感がする。

 変更の伝達、私にだけ知らされてない?

 授業に遅れたら腕立て20回、出来無いわけではないけれど、やりたくはない。

 窓からちらりと校庭を見て同じクラスの姿がないのに方向転換してそのままダッシュを続けて、体育館に走りこみ、まだ体育教師(せんせい)が来ていないのに安心して整列を始めている生徒の列に並ぼうとして……すっと目の前に出された足に引っかかって転びそうになるのをたたらを踏んでこらえる

「いったーい、ちょっとちゃんと見てよね?」

 明らかにわざとだと思うのに、被害者ぶる生徒をちらりと見ると

「なぁに? 何とか言って見れば~?」

 私より頭ひとつくらい低い身長に華奢な体、可愛いといっても良いんじゃないかと思えるような顔なのに、どこか歪んだ笑顔でそんな事を言ってくるのをひとつため息をついていなし、私は黙って列へと向かった。

 世間では良家の子女が集うと言われている名門高校、だけど私への嫌がらせは実に幼稚で、こんな子もいるのかなぁ? って思うと実に残念。


 新学期、幼馴染の加奈子とクラスは別れたけど、ま、なんとかなるでしょうと扉を開いた教室(ばしょ)で、私は瀬文 渚と知り合った。

 その姿を初めて見たときは、思わず息を呑んだ。

 透き通るほど白い肌、くるくると渦巻く柔らかそうなキャラメル色の髪、黒目がちの大きな瞳とそれを囲む長いまつげ、。

 後日加奈子に耳がとんがって無いのがかえって違和感と驚きを伝えたら人外扱いするんじゃ無いと怒られた。

 素直に同じ人間なのか? って思う位綺麗って言いたかっただけなんだけど……。

 実の所彼女は実にキラキラしていてそれに引き寄せられた子達は枚挙にいとまがなく、華やかな交流を広げるその世界を別世界だなぁと眺めていたのだけど、何が切っ掛けだったか、ある日から私の片腕にふわりと両腕を絡ませ

「優穂ちゃん、一緒に行こう?」

 そんな風に声をかけられるのが日常になっていた。

 その声音は同い年なのに少し舌っ足らずで甘く、その振る舞いは少し危なっかしく思えるほど無邪気で、私は渚に出会って初めて自分に庇護欲的な物があると知った。

 てらい無く大好きを伝えてくれる渚の隣は、くすぐったいけど嬉しくもあって……。


「いつも私の後ろに隠れてた優穂が大人になって……」

 急速に近づいた私たちの仲を加奈子はそう揶揄って来て、それは幼稚園の頃の話だろうと思いつつも、私も渚の存在を特別だと感じていることは否定できなかった。


 けれど、歯車が狂ったのは、1時間目の授業の終わりに担任に呼ばれて、頼まれごとを済ませた後、そのまま理科実験室へと向かった、あの時。

 用事を頼まれた私が実験室についてもまだ渚は居なくて、あれ? とは思った、その後、本鈴ギリギリに教室へと駆け込んできて、妙にこわばった表情で私を見るとぐっと唇を噛み締めて席についたのに何かあったのかな? とは思ったけど、まさかこんな事になるなんて。


 授業の終了後、彼女は先程一緒に教室に入ってきた、よく彼女と居る少女と共に私の席に来て

「なんで、先に此処にいるの?」

 そう、硬い表情で私に言う

「何でって? 先生に呼ばれたし、職員室から教室戻るより、そのまま行ったほうが近いと思ったんだけど?」

「だったら、声をかけてくれれば一緒に行ったのに!」

「用事頼まれたのは私だよ? そんな込み入ったことじゃなかったし」

「そんな……私っ」

 悔しげに何故か黙りこむ渚に変わり、一緒に来た少女が今度は私を苛立たしげに睨みつけて

「渚待ってたんだよ? さっき、ひどくない?」

 そう言われて、慌てて渚を見る

「そうだったの? ごめん、約束とかしてたっけ? 私覚えてなくて」

「そうじゃなくてっ! 普通一緒に行くでしょう? なのに楠さん、渚ひとりにして、すっとどっか行っちゃうことあるし、優しくないよ」

 それって、例えば私が教室を出るとき、渚がひとりで居るかどうかって、いちいち確認すべきってこと? 私は心底驚いてしまう

「友達だからって、ずっと一緒に居なきゃダメなの? 他のクラスの友だちに会いに行くときもあるし、移動教室の途中に寄る場所があれば、一人で行ったほうが効率的でしょう?」

「効率って何? そんな冷たい言い方、渚が可愛そうでしょう!?」

 ツメタイ? カワイソウ? 言葉は耳に入ってくるのに理解が出来ない、なんだか現国のテストを受けてるみたいだ。

「何でそうやって、優穂ちゃんひとりで行っちゃうの? 渚はいつも一緒に居たいのに」

「私も渚と居るのは楽しいよ? でも、必ずいつも一緒とかって……、ごめん、それは約束できない」

戸惑いつつそう答えると

 その隣にいた、幹本さんは

「もういいよっ! だから渚にはこんな人似合わないって、何度も言ったじゃない!」

 しびれを切らしたように、うつむく渚を連れて教室を出ていってしまった。

 私は起こったことがよく分からなくて、呆然としてその背中を見送ってしまったのだけれど、それがトラブルの始まりだった。


 それからは、急に渚の目が悪くなったなどと言い出して、渚の席は私から離れた前方の席に移され、一体どんな噂が広がったのか、今まで渚の周りにいた女の子たちは急に私を避けるようになり。

 何故か、彼女たちと仲よかった男子は私に妙な嫌味などを言い出すようになって……。

 今まであまり接点のなかったクラスメイトたちはトラブルに巻き込まれた私を遠巻きにするようになって……何だか妙なことになってしまった。

新作1話目お付き合い頂きありがとうございます。

状況説明メイン回で展開早め&長めになっており、読みにくかったらごめんなさい。

極力本日中に3話までは頑張りたいと思いますのでお付き合い頂けましたら嬉しいです。

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