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「水車が無事動きました、
リリアーナ様には感謝しかございません、
まさしく女神様でございます!」
力いっぱい称賛する領地の管理人に、
苦笑しつつ、報告を受ける。
どうやら水車は上手く動いたらしく、
雨が多い年しか作付けできなかった土地も、
穀物が取れるようになったらしい。
そう言えばとゲームの知識を思い返す。
「この土地ではイモを育てていたわね」
「はい、小麦が少ない年は、イモを食べ、
冬を越していました。
しかし、リリアーナ様のおかげで、
もう、その必要もございません」
少し考えてから話す。
確かゲームでは、原因は覚えてないけど、
食料不足で国が荒れる場面があったわね・・・
それで、教会とつながりがあるヒロインが、
民を助け、一気に知名度が上がるイベントが・・・
「イモの生産は今まで通り、
いえ、今まで以上に行ってちょうだい」
「え?」
「王都で、良くない噂を聞いたわ、
念の為、食料は多めに確保しておきたいの」
「わかりました」
恐らく、領地の管理人は、
良く分かってないのだろう、
それでも、私の言う事だからと言う事で、
素直に従ってくれる。
今まで、この領地でやってきた信頼に、
笑顔になる。
ヒロインの活躍を奪うつもりはないけど、
私も領主の娘として、領民を守る義務がある。
そう言えば、王子とヒロイン
上手くいっているのかしら?
何の噂話も飛び込んでこない事に首をかしげながら、
領地の管理人との話を終えた。