2-1 領地での生活
学園に入るのを辞める事を決意した私は、
そのまま体調が優れない振りをして、
飲み物と少しの果実以外は一切口に入れず、
領地での療養を希望した。
母親は、顔が蒼白になり、
母親の方が体調が悪いのではと思うぐらい、
心配をかけてしまったが、
私が断罪されて追放されると、
それ以上の負担がかかると思い、
心を鬼にして、療養を訴えた。
最初は学園に行かない事を、
渋い顔をしていた父親も、王と話がついたらしく、
療養する事を許可してくれた。
そして、領地を訪れ、
最初の2か月はベッドで本を読みながら、
おとなしく過ごしていた。
どうやら、好み、立ち振る舞いなど、
ベースはリリアーナのまま、
そこに、日本の知識が加わっただけなので、
周りの誰もが不審がる事はなく、
元々の知識や教養が一切失われてない事に、
ほっとする。
試しにピアノを弾いてみると、
日本では指一本でポンポンと鍵盤をたたく
ぐらいだったのが、
楽譜を見ただけで、すらすら演奏できるのは、
感動ものだった。
世話係の侍女達はいい人ばかりだし、
敬意を払い、勤勉に働いてくれている。
はあ、本当にボイコットして良かった~
しかし、美味しい物を食べ、のんびりしながらも、
どこか満たされないものがある。
前世は、生活の為にせっせと働いていたし、
今世は、お妃教育で大変だったし、
暇なのに慣れてないのよね・・・
私って貧乏性?(公爵家なのでお金はあるけど)
「どうされました?」
「いいえ、少し気分転換したいなと思って」
「でしたら、街へ出かけられますか?」
「あら、いいの?」
「お屋敷ばかりだと、気も塞がりがちになると思います、
違う景色をご覧になるのも、いいかと思いますが」
「そうね」
思いがけない侍女の提案に、頷いて、
街に行く準備をするように命じた。