4-1 王子の恋【番外編】
学園での生活がスタートした、
今まで王宮で常に人に囲まれる生活をしていたので、
1人で好きな事をできる時間があるのは、
素直に嬉しかった。
護衛騎士も最小限で、学園である事を考え、
年の近い者が選ばれている。
名前はロイと言った、
そのロイが1人の少女を褒めたたえる、
恋に落ちたかと微笑ましく思っていると、
他にも信者と思えるような者が何人かいて、
それほど男性を魅了する女性に、少し興味が湧いた。
ロイの話だと、元々は庶民で教会育ち
だったらしい、
可憐で、でも逞しく。
伯爵家に引き取られてからも、民を思い、
可憐で優しい少女との事だった。
この時は、まだ単なる興味だったのだが、
その少女、エリーザと会ってから、
私も彼女の魅力に取りつかれるようになった。
母である王妃とは対立し、
一部の貴族からは呆れられていたが、
彼女以外は考える事ができなかった。
そんな時、内乱が起こり、
食料難が起こる。
エリーザはすぐさま、教会にかけあい、
民が飢えないように働きかけてくれている。
やはり彼女は魅力的な女性だ。
それに対し、貴族は自分の地位を守る為、
食料を買いあさり、食料の値段はどんどん
上がっている。
貴族の考え方は分かっていたが、
自分の事だけを考え、民を顧みない行動に、
腹立たしく思っていた。
しかし、公爵家のエルバート家だけは、
イモが余ったからと、街頭でイモのお粥を
配り始めた。
この事に誰もが驚いたが、この国でも広大な
領地を持つ公爵の援助とあって、
多くの民が救われた。
そして、エルバート家の息女が、
自分の婚約者候補である事を思い至った。
多くの民に手を差し伸べた公爵の令嬢、
数回王宮で挨拶した程度で、
それ程印象に残っていないが、
予想よりずっと魅力的な女性かもしれない。
それまで、エリーザにぞっこんだったのが、
薄れていった。