3-8
「余計なお世話よ!私は知っているのよ、
内乱が起こり、国民が苦しんでいる時に、
貴方は高額なネックレスを作り、
楽しんでいた。
そのお金は、住民の血税でしょう!
民を何とも思わない貴方に、
王妃の資格なんてないわ!」
品もなく、わめくヒロインを、
ただ、冷たい目線で見つめる。
王子が私に近づいてきた。
「リリアーナ嬢が、領地で何をしていたか、
僕は全て知っている」
「王子!そうですよね!リリアーナ様は!」
王子に手を伸ばすヒロインを、
王子はうっとおしそうに、避ける。
「宝石ギルドはお金に困っていた、
リリアーナ嬢は、お金を返す力もないギルドに、
宝石を依頼する事で生活を助けたのだ」
その言葉にヒロインが、表情もなく固まっている。
ヒロインを着替えさせようと近づく侍女に、
王子は冷たく言い放つ。
「教会の事も、いずれ決着はつける、
着替えは必要ない、馬車で自宅に送り届けるように」
「そんな!」
と暴れる彼女に、侍女だけでなく、
騎士も加わり、ヒロインを退場させる。
ユリウス様は私に向き直り、
優しい微笑みを浮かべる。
「正式に求婚させて欲しい、
僕の花嫁となり、王妃となり、
共にこの国を支えて欲しい」
「はい」
涙があふれるのを、何とか我慢して王子に応える。
王子は私の手を取り、耳元でそっと呟く。
「愛しているよ、前世から」
その言葉にはっとなる、
前世、病気で別れを告げた彼、
性格が似すぎているとは思っていたけど、まさか・・・
「もう、後悔はしたくない、
絶対に、この手を離さない」
こらえていた涙が、溢れてくる。
前世、結ばれなかった恋人は、
今世、二世の恋を誓い、幸せな一歩を踏み出した。