3-7
時はあっと過ぎ、12月の卒業パーティ、
本来なら、私が断罪されるイベント。
しかし、王妃候補として、
欠席する事は許されない。
淡いピンクのドレスは可愛らしく、
しかし、全体に落ち着いたデザインの為、
大人びた雰囲気も持つ。
前世の私なら、お姫様!と飛び上がって
喜びそうだが、今はとてもそんな気になれない。
はあ、溜息をついてパーティに出席する。
ヒロインは・・・ハイ、睨んでますね。
そのまま私に近づき、話しかけてくる。
「王子に何をしたの?」
「ユリウス様に?」
「王子イベントは全てこなしたはずよ、
なのに王子は全然私を好きにならない!」
この言葉に、ヒロインも転生者だったのかと
思い当たる。
そして、ユリウス様は攻略されていない?
そんな事を考えていると、
ヒロインの口がニヤリと歪む。
「でも、退場して頂戴」
ヒロインがそう言うと、誰かに背中を押される、
「きゃ!」
あわててバランスを取るも、よろけて、
ヒロインにぶつかってしまった。
その衝撃でヒロインのドレスに、
持っていたドリンクがかかる。
「きゃー!!ひどいわリリアーナ様!
いくら私が嫌いだからって、
ドレスにドリンクをかけるなんて!」
あまりにも酷い演技にあぜんとしながらも、
泣きまねをするヒロインを、
冷静に見つめる、
今までヒロインは避けてきた、
でも、私は公爵令嬢、王子を愛する者として、
ほおっておく訳にはいかない。
私は、泣きまねしているヒロインに、
王宮の侍女を呼んで、ドレスを変えるよう指示を出す。
「私がよろけてしまって、汚してしまったわ、
お詫び致しますわ。
しかし、王宮では嫉妬や駆け引きが、
日常茶飯事の世界、
少しの事で泣いているような者は、
この世界では生きていけませんのよ。
どんな毒にも、笑顔で流す度量が必要、
覚えておきなさい」
毅然と言い放った私に、ヒロインが顔を赤くして、
わなわなと震えている。