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3-6

秋になり学園祭が行われた、

商業をメインにする者は出店を出し、

他の貴族は呼ばれた大道芸や劇を見たりと、

お祭りのような楽しい空気に包まれている。


普段、商人を呼んで買い物をするので、

出店での買い物は珍しく、前世を思い返してしまう。


この出店では、地方から集めた珍しい物も沢山あり、

見ているだけで、楽しめた。


もちろんバッチリ(主に食べ物を)購入もしている。


劇は今流行りの恋愛もの、

身分差があるものの、女性の勇気と知恵で、

大貴族と結ばれると言う、オーソドックスな物だった。


それらを楽しみ、夜になり、

簡単なパーティが開かれる。


そこで、ヒロインは王子とダンスをしていた。


この学園祭のパーティで誰と踊るかで、

誰を攻略しようとしているかが分かる。


王子と踊っていると言う事は、

ヒロインはやはり王子狙いだったのだろう。


そして、ここまでくると、

王子は攻略されてしまっていると考えてもいい・・・


ヒロインに合わせ、一流のダンスを披露する王子、

表情は穏やかで、幸せそうにすら見える。


お茶会をし、悪い噂からかばってもらえて、

なんとなく、攻略を回避できているかもと思って

いただけに、暗い気持ちになる。


ここはゲームの世界、私はあくまで悪役令嬢・・・


涙が出そうになって、踊る二人を後目に、

庭のガゼボに移る、夜風が肌に当たって気持ちいい。


「リリアーナ?」


「王・・・ユリウスさ・・ま」


いきなり現れた人物にどきどきする。


「どうしてここに・・・」


「うん、どうしても君と過ごしたくて」


「え・・・?」


攻略されているはずの王子、

でも、と思いながらも、少し期待してしまう。


「これを」


そう言って、王子がブローチを手渡してくれる。


これは出店で、恋が実るおまじないと言って、

売っていたブローチ!


「ありがとうございます」


前世私はおまじないとか、占いとかのグッズが好きだった。

そんな当たるかどうか分からない物を・・・とか言いながら、

前世の彼氏が買ってくれたのを思い出す。


決して高価な物ではない、おまじないグッズだった事は、

偶然かもしれない。


でも、私が好きな物を、沢山の物の中から選んでくれた事が、

私の中で特別で、嬉しかった。


微笑むユリウス様を見て、月の光が、全てを満たして

くれている気持ちになった。

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