2-6
その年の秋、ゲーム通り内乱が起こった。
とある領地が不作にも関わらず、
領主が贅沢してできた借金の為、税を上げ、
領民が反旗を翻したのだ。
その領地は芋の産地で、王都では食料不足が起こった。
ただ、父親にも芋の生産を増やすよう
伝えておいたので、援助ができ、王都の混乱は、
ゲームよりだいぶ抑えられたようだ。
そんな報告書を読んで、ほっとしてると、
屋敷に訪問者があった。
作業着を着た大柄な男は、
玄関に入るなり、膝をついた。
「お助け下さい、リリアーナ様!
もう、貴方様しか、頼れる方はいないのです!」
「事情を話して頂戴」
「はい、私は宝石ギルドの者でございます。
王都で混乱があり、宝石の注文が入らず、
しかし、原料の支払いは必要で、
下の者に、給料も支払えないのです、
どうかお金を貸して頂けないでしょうか」
「どれぐらい必要なのかしら?」
「1000万レーベほど・・・」
男が苦しそうに言う。
1000万レーベ、貸した所で、
返すのはかなり困難な金額だ、
それは男も分かっているのだろう、
返すあてもないお金を借りたいと言って
いるのだ、恐らく商店からは、
駄目だと突っぱねられたのだろう。
「お金は貸せないわ」
男は落胆の表情を浮かべ、更に頭を下げる、
「お助け下さい!リリアーナ様!!!」
その場から動こうとしない男に、
屋敷で働いている者が強引に連れ出そうとする。
「待って頂戴、お金は貸せないけど、
ネックレスの依頼はできるかしら?」
男が驚いたような顔で、凝視する。
「依頼は2000万レーベのネックレス、
最高の物を作って頂戴」
そう言って、執事にお金を用意するよう、
指示を出す。
男は依頼の意図に気づいたのだろう、
泣きながら「ありがとうございます」
を繰り返した。